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【競馬】ゴールドシップがG1馬の父になった日/オークス振り返り

阪神は週末に対戦する予定だった広島に多くのコロナ感染者が出た影響で試合が中止。ガンバ大阪は全くいいところがなく連敗中。うーむ、こんな日は山でも登って癒やしを求めにいこうと予定していたら、きょうの朝になって娘が体調不良を訴え自宅待機に。
もちろん誰を責めるつもりもないが、せっかくの梅雨の晴れ間の日曜が何もできずに終わっていく虚無感に襲われながら迎えた午後。玄関先で奥さんと娘と家庭菜園の様子などを眺めていると徐々にメンタルが回復していく。やはり陽光を浴びるのは人間にとってとても大切なことだ。

そうこうしているうちにオークスの発走時刻を迎えた。ゴールドシップ産駒ユーバーレーベンに勝ってほしい、ただソダシの牙城を崩すのは難しいのでは..そんな50%くらいの期待と、ほんの少しの応援馬券を持ってレースを見守っていたら、モヤモヤを吹き飛ばしてくれる最高の結果が待っていた。



早くから、タダモノではないことは知っていた。

極悪馬場を力強く伸びての新馬勝ち。ロングスパートで2着に割って入った札幌2歳S。ソダシとサトノレイナスに際どく迫った阪神ジュベナイルF。世代トップクラスの実力は、すでにその片鱗を見せていた。
ただ、器用さには欠けるタイプで年明け2戦のフラワーC・フローラSは差し届かず3着どまり。今回も前残りの展開が一番の懸念材料だった。

ところが勝つ時は何もかもがうまくいくもの。

序盤から意外なまでにペースが流れ、前半1000mは59.9秒の平均的なラップ。差し馬にもチャンスが出てきたところで、3角手前から徐々にポジションを押し上げると、直線入り口でも余裕のある手応え。脚色が厳しくなった先行勢を交わして早めに先頭に立つと、内から迫るアカイトリノムスメ、大外から伸びるハギノピリナらの追撃を封じ込め、歓喜のゴールに飛び込んだ。

ゴールドシップがG1馬の父になった瞬間である。

初年度産駒から重賞勝ち馬ブラックホールや昨年のオークス3着ウインマイティーを輩出するなど、決して質量とも恵まれているとはいえない配合相手を思えば「ようやっとる」という評価は得ていた。それでもG1を勝てる産駒を出すのは難しいのではという感覚だっただけに、2世代目にこれほどまでの能力を発揮できる「孝行娘」が出てきてくれたのは大きな喜び。これをきっかけに種牡馬としての評価もさらに高まってくれればいいのだが..

そして種牡馬ゴールドシップの可能性を見出してくれたのが、ビッグレッドFの総帥である岡田繁幸さんだった。今年の3月に志半ばでこの世を去った「恩人」は、この勝利を見届けてくれていただろうか。マイネル軍団にとっても初めてのクラシック制覇。ノーザンFのディープインパクト産駒を負かしての勝利もまた、格別の喜びとなったことだろう。

ミルコの手腕なくして得られない勝利でもあった。中団待機から少しペースが落ち着いたタイミングを見計らって3角手前からジワリとポジションを押し上げていったのが大正解。おかげで早めに前を射程圏に入れ、この馬の持ち味である息の長い末脚をフルに発揮させることができた。

「人生は難しい」とはまさにその通りだと思う。ミルコもここ数年は有力馬を任される機会が激減。G1でラフィアンの勝負服に袖を通していること自体が、今の彼のポジションを物語る。ただ、それでも大舞台での勝負勘はまだまだ健在。少なくとも柴田大知や丹内祐次の騎乗では、この勝利をもたらすことはできなかっただろう..w

ミルコに対する印象も人それぞれだろうが、少なくとも個人的には「厄年」という言葉がインタビューに出てくるほど日本の文化を愛してくれているイタリア人を嫌う理由などない。これからの活躍も期待し続けたいし、好相性のゴールドシップ産駒たちを揃ってよろしくお願いしたいところだ。

Screenshot_2021-05-23 JRA ネット投票

手元にあるのはささやかな単勝馬券だけ。いやー、正直なところ勝ち切れる自信はなかった。でも「ゴールドシップ産駒の初G1の瞬間に記念馬券がないという事態だけは避けたかったので..よかったです、またこれでおいしいランチでも食べに行かせてもらいます。



2着のアカイトリノムスメも優秀。3~5着が限度、と思ってたけどしぶとく伸びてきましたね。この日は外の方が馬場もよかったのに。
デビュー当初は本当に頼りない印象だったが、1年足らずで見違えるほどの成長力。どこかでG1が取れればいいが、現時点でも母アパパネの名に恥じないだけの活躍。

ハギノピリナの3着激走には一同びっくり。未勝利を勝ち上がったのが重馬場の阪神2200mという超タフな条件で、今回もその適性がハマった印象。それにしても..
先般の件で望まぬ形で名前がクローズアップされた藤懸貴志にとっても、悔しさと充実感が入り交じる初G1騎乗となったことだろう。

ついでに岩田康誠のタガノパッションが4着ってのが何かを言いたげでw この馬は強いですね、スイートピーSとは全然違うレースになったにもかかわらず、しっかり脚を伸ばしてきた。なるほどゴールデンサッシュの一族か、今後も要注目である。

アールドヴィーヴルも桜花賞に続く5着。前とは少し離されたが、よく頑張っている。展開や馬場は向いただけに、現状の限界を見た感もあるが。

最高の形になった勝ち馬とは対照的に、ソダシにとっては最悪の形になってしまった。序盤から引っ掛かり気味でリズムを乱し、さらに外からも被されるなど終始ストレスのかかるレース運びに。ペースも流れて息が入らず、こうなってしまっては無敗の桜花賞馬もスタミナの限界が訪れる。血統的にはやむを得ない失速だが、これまで色々な不安説を乗り越えたソダシならもしかして..という思いもあっただけに、妥当であり意外でもある初黒星となった。

最近よく言及してる気がしますけど、コースや距離によって勝ったり負けたりするから競馬はおもしろいんです。ずっと勝ちっぱなしのソダシより、こういう脆さも見せてくれた方がよっぽど魅力的。秋の雪辱、さらには誰しもが待っているダート投入の時が楽しみ。



思わぬ形で祝賀ムードが訪れた我が家(喜んでるの自分だけですが)。しかし残念ながら夕食は簡単に済ませる予定だったので、準備していたタンドリーチキンを焼いてビールで乾杯しました。お祝いは来週末、日本ダービー前夜祭にでも盛大にやりたいですね。

素敵な一日をありがとうユーバーレーベン。

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