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急須でお茶を

実家の茶畑が新芽で覆われる春、一番高いところから茶畑越しに地元の404mの山を眺める景色が好きだった。

祖母は、来客があるとゆっくりと湯を沸かし、急須に茶葉を入れ、湯冷しでゆっくりと湯をさまし、急須を愛でるようにお茶を淹れながらなんともない話をした。
みな、美味しいと召し上がりながら、またなんともない話しを続けた。

お茶淹れの間は、どこか静かで、あまり喋らない時間が流れる。程よい緊張の中で急須からお湯呑へ注いで、どうぞ、とお客人の前にお茶請けとともにお出しする、同じ間を、空気を感じる優しい時間だ。

急須はもとより、茶筒、茶櫃、茶缶、茶托、湯ざまし、茶匙(茶荷)…その工程を見守るように、お茶淹れの時間のためにいろいろな道具がある。もちろん湯飲みも。

週末、大切な友とお茶を淹れながらおしゃべり。

同じ急須で淹れた同じお茶水を口に運べば、同じような心になるから不思議だ。
共有、shareはこう言うこと、デジタルとアナログの違いはあれど同じだと思う。

ありがとう。

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