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娘におくりたい、私が読みたいマンガ

マンガを買おうと考えている。電子書籍ではなく、紙のほうだ。タイトルにある通り私が読みたいもので、かつ娘に読んでほしいもの

前提として、私はニュージーランドに住んでいる。持っていたマンガ本は、移住時にほぼ処分してしまった。

紙の本は送料がかかるため、高い。けれど紙の本がいい。なぜなら、本棚にそっと置いておけるからだ

マンガを買おうと考えている目的が2つある。一つは、娘の日本語能力のため。現在、娘は6歳。家庭内は日本語、外では英語を使ういわゆる「バイリンガル」だ。

語学力は刺激にあわせて伸びるものなので、やはり英語の語彙力のほうが強い。ならば、親に出来るのは日本語の環境を用意することぐらい。娘の年齢を考えれば、この先、絵本以外に日本語で楽しめるコンテンツが欲しい。そのベストチョイスがマンガだと思う。

もう一つ、娘に日本的なコンテクストを吸収する場を用意してあげたいという思いがある。コンテクストなんて小難しい言葉を使ったけれど、ようは「あの時代」で暮らす日本の誰もが共有する、文化的な背景や脈絡のこと。学校の勉強ではなく、テレビや遊びの中から得る友だちとの共通項。つながりがあるだけで、人は仲良くなれる。

大げさに考えているわけではなくて、アジア人の顔をして日本人の両親と国籍を持つ娘が、セーラームーンやドラゴンボールを楽しんでくれたらいいなあーと、いう感じ。

娘に日本語を覚えてもらい、日本的な文化を吸収してもらおう……という目論見は、はっきり言って親の私のエゴだ。間違っても、「これ読みなさい!」と娘に押し付けたくはない。

その点、紙のマンガ本は優秀だ。主張しすぎず、ただ本棚におさまっているだけ。ある日、娘が「気づいた」瞬間から、マンガへの扉がひらかれる。それぐらいのさり気なさで置いておきたい

だからこそ、私が読みたい良いと思うものを、娘のためにチョイスするのが重要なのだ。娘が読まなくても、私が楽しめるからね。

とはいえ、名作山積みのマンガから、選り抜くのは大変難しい。予算の都合もあるし、置く場所の問題もある。先日、ふと下記のツイートをしたら、マンガのおすすめが10冊分ぐらい返ってきた。いかに、マンガというものが愛されている存在かわかる。

「教えて」とは一言も書いてないのに、おすすめ本を添えてくれる心優しいリプたち

ありがたいけれど、選択肢が多すぎると、選びきれない。秋に一時帰国をするので、そのときに10作品ぐらい購入したいと考えている。だから、あえて過去に250万乙女のひとりだった私が愛読していた「りぼん」に絞り、娘に送りたいマンガを考えてみた。

少女漫画入門

少女漫画への入り口。娘がマンガを読み始めるのは、あと2年くらいは先じゃないかしらと想像している。私自身、月刊誌のりぼんをおこづかいで初めて買ったのが、小学校3年生のときだった。

はじめて没頭する、少女漫画の「夢」「ときめき」そして「恋」の世界。2時間くらい真剣に考えた結果、この3冊を選んだ。

『姫ちゃんのリボン』

グラウンドを駆け回る男勝りな中学生少女・野々原姫子、こと「姫ちゃん」が、魔法のリボンの力を使い、様々な騒動を解決するなかでの心の成長を描く学園モノと恋愛、コメディ要素がバランスよく挿入された漫画。

お転婆で活発な性格、でもお気に入りの人形に「ポコ太」と名付ける純粋さと乙女チックな一面、なにがあっても「行け行けゴーゴージャンプ!」と挫けない前向きさ。

中学生のさわやかで淡い恋心を明るく描き、10代の「成長」を見せてくれる、まさに少女漫画の王道だと思う。

『赤ずきんチャチャ』

ファンタジー・ギャグ漫画。魔法使い見習いのチャチャが、幼馴染の狼少年リーヤ、おなじく魔法使い見習いのしいねちゃんと一緒に、一人前になるための「師匠との鬼ごっこ」に出るところから物語がスタート。

いつのまにか彼女たちは定住し、学園に通い、暗殺者のポピィくんが仲間に加わり、大魔法までやってきて……と、カオスに世界観が展開されていく。底抜けな明るさのギャグと可愛い絵柄の対比が楽しい。

『ねこ・ねこ・幻想曲』

お月さまの魔力で人間に変身できる黒猫の「シロ」の成長・冒険を描いたファンタジー。これを読むと、しょっちゅう泣いてしまう。ほのぼのしているのに、ふとしたところで涙腺が崩壊する。

この作品、小学校低学年ぐらいのシロちゃんと、飼い主である高校生の里子がダブルヒロイン。「恋」をまったく知らないシロちゃんが、少しずつ自分の心の変化に気づく過程を描いているのが、りぼんの読者層に合わせていて見事だなと思う。

少女漫画中級編

さて、少女漫画に慣れ親しんで、娘の情緒も少し成長してきたなあと思う時期に手に取って欲しいと思うのがこの三冊。入門編が少女の入り口であれば、こちらの三冊は少しだけ大人びた、恋や友情を描いている。

『天使なんかじゃない』

巨匠・矢沢あいの殿堂入り学園ラブストーリー。説明するのがもったいないぐらいの名作。隅から隅までキュンキュンできると思う。『天ない』を読んで、ぜひ新設校の学園祭と体育祭にあこがれを抱いてほしい。

『こどものおもちゃ』

壮絶な学級崩壊したクラス、芸能界に片足突っ込んだ子役の倉田紗南、問題児のボス・羽山。小学校高学年から中学生にかけての子どもの視点で、大人の社会問題を切り取るような、深さのある漫画。たぶん、いま読み返しても「ほぅ……」ってなると思う。

『ときめきトゥナイト』

吸血鬼ファミリーで魔界の血を引く江藤蘭世が主人公。ファンタジー×恋愛の王道。真壁くんは永遠の王子様という説がいまだにある。三部作で展開されており、文庫本だけでも16巻あるので、時間がある子どものうちにぜひ読んでおいて欲しい。

少女漫画上級編

上級といっていいかわからないけれど。恋愛描写が大人っぽくなったり、題材を消化するのに、情緒的な発達を待ったほうがいいかなと勝手に思っているもの。

『ご近所物語』

矢沢あいが描く学園モノ。主人公は矢澤芸術学院(通称ヤザガク)に通うデザイナー志望の幸田実果子。前作の『天使なんかじゃない』よりも、さらに10代の葛藤が濃い。未来の夢についても、恋愛に対しても。ヤザガクの設定は、『Paradaise Kiss』にも受け継がれているので、このまま矢沢あいワールドに突入してほしい。

『有閑倶楽部』

お金持ち名門学校の生徒会メンバーが繰り広げる、破天荒学園アクションコメディ。大財閥のお嬢様、大病院の御曹司、警視総監の不良息子、茶道家元の深窓のお嬢様、宝石商の娘、駐日スウェーデン大使の息子と、登場人物の設定が「漫画かよ」とツッコむ隙を与えない。推理、サスペンス、冒険劇、たまに恋愛要素。オムニバス形式なので、どの巻を手に取っても楽しめる。

番外編

本棚においてもよいかわからない、でもいつか読んだら楽しいのでは!?と思う名作。

岡田あーみん作品は……しょっちゅう登場人物が吐血とかしているので……。

小さいときに出会うと、「絵柄がイヤだ」で終わるかもしれない。タイミングよく出会うと、一生忘れられない作品に。

選んではみたものの

選り抜きを決めたけれど、それ以外にも本棚に並べたい作品はつきない。りぼんの作品以外にも、『ちびまる子ちゃん』『赤ちゃんと僕』『ハチミツとクローバー』『動物のお医者さん』『笑う大天使』『ちはやふる』『彼方から』『なんて素敵にジャパネスク』『魔法騎士レイアース』『町でうわさの天狗の子』などなど、時代も出版社も超えて、手に置いておきたいマンガが山ほどある。

少女漫画に限定せず、少年誌・青年誌に広げればキリがない。


ページをめくれば、ドキドキもワクワクも体験できるなんてすばらしいなあと、あらためて思う。娘の日本語の練習になんてつまらない理由をつけてしまったけれど、あのマンガの世界を、思う存分楽しめる年齢のときに味わい尽くして欲しい

そんな思いはけして口に出さず、ずらっと本棚にきらめく物語を並べておこう。マンガって、いいよね。

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