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痛みには、凪のような文章がいい

今朝は、お腹が痛かった。

夫と娘が早朝からブルーベリー狩りに出かけている間に、家じゅうの掃除をする。立ち作業が続くと、下腹部に鈍い痛みが走る。そのうち、たまらず椅子に腰を下ろしてしまった。

原因はわかっている。昨日受けた婦人科系の検診だ。痛みが残っていて、ちょっと無理をすると顔を出す。娘がまだお腹にいた臨月の頃、掃除機をかけるたびにソファーに横になっていた頃を思い出す。あれと、おんなじ痛み。

痛みはメンタルにくる。真っ青に晴れた空の土曜日だというのに、しょんぼりとしてしまう。

なんとなく弱っているときは、主張の強い文章が読めない。それが、光のものでも、影のものでも。文章を通して、誰かの意見を脳内にいれて受け止めるパワーがない。

窓際のソファーに座って、庭においたプールで遊ぶ子を眺める。頭上から照らす光が、地面に木の葉から零れ落ちたような模様を描いている。こちらが痛みを覚えようと、泣いていようと、お構いなしに変わっていく景色が癒してくれることもあるのだけれど。

こんな日は、とるにたりない文章が読みたい。誰かの、ほんのちいさな、もう通り過ぎた一日の話を。

ぽこねんさんのマガジンは、誰かを一生懸命はげましたり、とてもよい言葉をかけたり、じーんと心にくるエピソードを並べている、という表現からはちょっと遠い。ぽこねんさんの日常が切り取られ、エッセイの形でしずかにちょこんと座っている。

お腹が痛いこんな日は、癒しも励ましもしない、ただ凪いでいる海のような文章を読もう。

ころんとソファーに寝転んで、となりにモフモフの犬か猫でも寄り添ってくれれば、もう言うことなんて何もない。

(ちょっと元気になってきた)


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