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軍服を着た女【埴輪紹介所その154】

右手に頭椎大刀(かぶつちのたち)を持つ。

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大刀持つ女子埴輪はめずらしい。これ1体のみかも。

個人的に感銘を受けたのは、たすきの薄づくり。見事です。

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線刻や彩色も細かく丁寧。

甲冑をつけた女子埴輪はない。少なくとも、はっきり女子と分かる埴輪では今のところない。この埴輪も、甲冑をつけてはいない。
しかしこの埴輪のたすきは、どこか軍服を思わせる。

くび飾りは小さい玉をたくさん連ね、中央に勾玉を着ける。
たいていの埴輪の耳環(じかん)はドーナツサイズで頬に貼り付けられているが、この埴輪の耳環はリアルサイズで宙に浮く。
髷だけが写実から離れ、板状である。
赤・白・黒の顔料が使われている。

群馬県太田市の塚廻り4号墳出土の女子埴輪。高さ78.7cm。
国の重要文化財(所有は文化庁)に指定されており、群馬県立歴史博物館及び群馬県埋蔵文化財調査センターが保管・展示。

塚廻り4号墳からは大刀形埴輪も出土しているが、その形は頭椎大刀ではない。

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楔形柄頭(くさびがたつかがしら)に護拳帯(ごけんたい。勾金(まがりがね)ともいう)がついた形をしている。どこの大刀形埴輪もたいていこれ。
人物埴輪の持つ大刀とはなぜ形が違うのか?

撮影は2019年、『集まれ!ぐんまのはにわたち』(於・群馬県立歴史博物館)にて。

またね。

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