ちびっこ円筒埴輪【埴輪紹介所その89】
円筒埴輪としては、かなり小さいほう。高さ35㎝。
バリエーション豊かな展示室では、残念ながら、いちばん目を引かないこと請け合い。
でも見ましょう。円筒埴輪は謎の尽きない埴輪時代の大事な手がかり。
プロポーションは下総型円筒埴輪に近い。
下総型円筒埴輪は、だいたい、口径:底径:器高の比率が2:1:4程度、突帯 (とったい)3 条(つまり4段構成)、透孔(すかしあな)円形、とのこと。
「下総」と呼ばれていることからわかるように、下総型円筒埴輪は千葉を中心とする利根川流域から多く出土している円筒埴輪である。
多くあるということは規格化されていたと思われる。
規格化することで効率的な埴輪生産を図ったのかもしれない。
もちろん、形が似ているだけでは、下総型とは言えない。
この埴輪は大阪出身。どこでも簡素に作ろうとすると似た形になるのかもしれない。
突帯は真ん中が押され、断面がM字状になっている。ちなみに下総型の突帯の断面の形状は一定していないらしい。
最下段は別に狭くない。ちなみに下総型の最下段は狭いらしい。
大阪府大阪市の長原古墳群の長原61号墳出土の円筒埴輪。
所蔵は一般財団法人大阪市文化財協会らしい。
撮影は2020年『発掘された日本列島2020』江戸東京博物館にて。
長原古墳群のほかの円筒埴輪も見てみたい。
ちなみに、最大の円筒埴輪は高さ242㎝。
ちびっこ円筒埴輪がすっぽり入る。横にしても入る。いくつも入る。
またね。
お読みいただきありがとうございます。サポートいただきましたら、埴輪活動に役立てたいと思います。