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埴輪紹介所

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はにこが出会った埴輪たち。埴輪との出会いの衝撃をあなたにも。これはと思う埴輪がいたら、会いに行ってみて。埴輪のいる人生が始まります。
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2021年4月の記事一覧

腕で語る【埴輪紹介所その182】

目と口が大きい。ザクザクっと切ってあけたようだ。 計算がないのが良い。 もげてしまった腕。欠損が多く、胴とつなげない。 しかしその手には五本の指がしっかりついている。 埴輪の腕や手は、顔に並ぶほど表情がある。 腕は大きな曲線を描く。何かを囲っているよう。どんなポーズだったのか、全体像が知りたい。 振り分け髪に、ミズラが一部残っている。玉の大きいくび飾り。冑がないので、武装していたわけではなさそう。推理は続く。 埼玉県春日部市の塚内4号墳の男子埴輪。 所蔵は春日部市教育委

猫のヒゲ記号【埴輪紹介所その181】

埴輪を作るときには、型もろくろも使われません。一つ一つ、粘土紐を重ね、手びねりで生まれてきます。 そのためか 円筒埴輪も、よく見ると個性があります。 厚み、突帯(とったい)の形や位置、透孔(すかしあな)の形、上端の開き具合。 こちらの円筒には線刻があります。 透孔(すかしあな)の右に三本、左に三本か四本。猫のひげみたい。 このような、円筒埴輪に刻まれる紋様でも絵でもない線刻は、「ヘラ記号」ではないかとの説があります。何かの目印と推測されています。 何を示しているの