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埴輪紹介所

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はにこが出会った埴輪たち。埴輪との出会いの衝撃をあなたにも。これはと思う埴輪がいたら、会いに行ってみて。埴輪のいる人生が始まります。
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2021年2月の記事一覧

農と武【埴輪紹介所その173】

ちょっと斜めな立ち姿 それを補うためなのか すこーし首をかしげている その頭には菅笠らしき被り物 鍬を肩に担ぐ と同時に大刀を帯びている 農と武。 顔というか頭部は赤く塗ってあるように見えた。 化粧は日常なのか、マツリのための色なのか。 出土地不明の男子埴輪。 所蔵は埼玉県。もとは長瀞綜合博物館(旧名称は長瀞汲古館)が所蔵し展示していました。 収蔵は埼玉県立さきたま史跡の博物館。 撮影は2016年『新収蔵品展 ~旧長瀞綜合博物館からの寄贈資料~』(於・埼玉県立さ

慰めたい切なさ【埴輪紹介所その172】

胸に手をあてる それは埴輪ではめずらしくないが 切ない顔だ。 何かを強く訴えているように思えてならない。 何を訴えているのか、それを聞かせてほしい。それがわかれば慰めたい。 彼はただ祈っているのかもしれない。 指は深く刻まれている。 腰に下げているのは大刀にしては小さめ。刀子か鎌か。 腰の後ろにも何か下げている。 こっちが鎌かな。わからん。 左右から棒を突っ込んだようなミズラと、二本のツノが折れたような頭の突起、それぞれモデルが気になる。 作りは全体に粗いのに

コンビネーション【埴輪紹介所その171】

彼は 対で出土した、といわれている女子埴輪と、どこか似ている。 対で出土した、と聞いたからそう感じるだけか? 左右対称となるポーズのせいか? 胸に当てたミトンのような手は確かに似ている。 女子は挙げた左手に棒状のものを持つ。 その正体は、いまだ不明。 彼も挙げた右手に何か持っていたかもしれない。 ほんとうに対だったのなら、互いの持ち物からそれぞれの正体がわかるかもしれないのだが。 埴輪は1体のみを立てることはない。 人物埴輪2体だけを立てる墳墓もまずないだろう。 こ

ピエロの襟【埴輪紹介所その170】

鶏とは美しい鳥 だから埴輪になったのか? いや 戦う鳥だから? 尾はアーチ状(筒尾)、脚は止まり木をつかむ。 首のぐるりの輪っかは何だろう。 ピエロ服の襟みたい。 『よみがえる大王墓・今城塚古墳「遺跡を学ぶ」077』のグラビアのキャプションには「頸羽を逆立てて鳴きだす瞬間」とある。 読みは「けいう」らしい。 ピエロは興奮状態ということらしい。 鳴き声が無視できない鳥だから埴輪になったのかもしれない。 埴輪の鶏は静かだが。 大阪府高槻市今城塚古墳出土の鶏形埴輪