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埴輪紹介所

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はにこが出会った埴輪たち。埴輪との出会いの衝撃をあなたにも。これはと思う埴輪がいたら、会いに行ってみて。埴輪のいる人生が始まります。
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2020年10月の記事一覧

書類ケースとコンパス【埴輪紹介所その147】

もとになった物がイメージできない。 頭に一体なにを乗せているの? 図録では「箱形の器」となっていた。 たしかに箱形。薄型の箱。やや台形。書類ケース? 埴輪時代、まだ紙はないか。ギリギリあるか? そして額の左端に挿している棒は? 櫛かかんざしのようなもの? ペンじゃないよね。筆はあるか? 筆は挿さないか。 円盤状の髷が丸顔に似合う。 白地に赤い水玉模様の上衣も。 円の中心には小さな穴がある。コンパスみたいな道具で円を描いたらしい。正円である。きちょうめん。 はっ 

気になる中身ふたつ【埴輪紹介所その146】

右手に持っているのはなに? 図録では「ひさご形の容器」となっていた。 何にせよ、モデルがあったはず。 柄杓のようなものだとしても、その持ち方だと今はカラね。 中に何か入るとしたら、液体かな。 頭に乗せた器の上は閉じている。 あけて見せて。 壺を頭に乗せて水を運ぶ、というのは世界各地で行われる行動のようだけど、これは壺ではない。 何を入れるための器なんだろう。フタの形状から見て液体っぽくないな。 鼻から眉にかけての整った曲線。 頬を赤く塗る。 凝ったネックレス。 耳

布は残った【埴輪紹介所その145】

上から左側へと垂れているのが布。 その下の板は経送具(たておくりぐ)というものらしい。 右側の丸みのある部分は機織る人の上着の裾らしい。 織る人は、ほかは腕のかけらしか出土していないらしい。 頭部がないと髪型がわからない。ということは厳密には性別不明なのだ。 そして、顔がないと、図録やポスターのメインからは外されてしまう。 機も不明部分が多いが、原始機(げんしばた)や腰機(こしばた)と呼ばれる機らしい。 栃木県下野市の甲塚(かぶとづか)古墳出土の、機台を持たない機で機

縞・水玉・市松を難なく着こなす【埴輪紹介所その144】

よく見ると、色付き。 中央の布は赤と黒の縞。 それを織っている機(はた)は白黒。 織る人の上衣は、白地に赤の水玉もようで裾はぐるりと赤い。 スカート状の裳(も)は、白黒の市松文様で赤い縁取りがされています。 腰の後ろにあるのは何だろう。体を支える道具? 衣装の一部? 復元すると、鮮やかな色の縞・水玉・市松もよう。 埴輪は難なく着こなすが、当時の人々が本当にそうだったのか、埴輪世界の色彩と紋様なのか。 顔はないけれど、髷(まげ)は出土しているもよう。 ということは女子で

スタッズ付きブレスレット力士【埴輪紹介所その143】

こんなに大きいスタッズはないか。 鈴か玉かな。 それを両手首につける。鈴ならかなりうるさいが。 当時の相撲は命がけで蹴り合ったらしい。 だが戦い方以外の点で、ブレスレットをはじめ、この埴輪は引っかかることが多い。 まず、太ももに孔! しかも前後に孔! なぜだ。通気のためだとしても、後ろだけでよくないか? 前後に孔をあけたらもろくなってしまうのでは? そして、裸足なのに、なぜ脚結(あゆい)をつけているのか? たくし上げる袴をはいていないなら、不要では? おしゃれなのか

何かを得意がっているような【埴輪紹介所その142】

段差のある眉がそう思わせるのか。 いや左側がわずかに上がった口元か。 左右非対称だと表情が生まれる。 一般には、左右対称のほうが整っているとされるようだが、埴輪の顔は厳密には左右対称ということはない。手作りだから。ちなみに、型取りの埴輪はない。 残念ながら頭部しか出土していない。 もし体が出たら、何を得意がっているのかわかるかも。 それまでは謎。 ふふん。 伝・千葉県松戸市の栗山古墳群出土の人物埴輪。被り物をしているので、たぶん男子。 所蔵は松戸市立博物館。 撮