プロローグ

漫画の中の彼女は言った。
漫画の中の彼は言った。
死にたくても、裸になれないならまだ死んじゃダメだよ、と。
裸になって失うものがなければ死んでもいいよ、と。

とある服飾家は言った。
表現は人を生かすものでありますように。
殺すものになりませんように。
キラキラして見えた。
なのに、彼女はこの世を去った。

ある音楽家は歌った。
死のうと思った、今日も上手くは生きられなかったから。
消えたかった、優しくなんかなれないから。
死ぬのが怖くて生きのびちまった。
キラキラして見えた。
人生の憧憬。
ステージの照明。
輝いて見えた。
そんな彼は今年この世を去るらしい。
なのに何もできない、できるかもしれないのに動けないでいる。
何も届かない。何か届いて欲しい。

何が正しいのか。何が間違ってるのか。
わからない、わからないんだ。
明日は目を瞑ればやってきちまう。明後日も同じようにやってくるだろう。
昨日はどう足掻いたって、やってこない。
ただそれだけ、ただそれだけ。
ただそれだけなのに、胸が苦しい。
嫌だという感情だけが確かだ。
ナニモノにも染まるな。
きっと綺麗だ。

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