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透明性の高い仕組みを構築する気があるなら#スリランカ女性の映像開示を。

■SDGs目標達成の大前提となるゴール16

今回はSDGsのゴール16「平和と公正をすべての人に」について書いてみます。ゴール16は、このように目標を定めています。

持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、
すべての人々に司法へのアクセスを提供し、
あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。
(国連広報センター)

全部で17あるSDGsのゴールでは、いろいろな目標が定められています。貧困や飢餓の撲滅から、教育の普及やジェンダーの平等、産業の発展や街づくり、さらには環境問題の解決まで…。これらの目標達成の大前提として必要な、平和や人権について定めたのがゴール16です。

もし私たちの暮らしが常に暴力に脅かされ、戦争が絶えず、法律が機能しない社会だったら、SDGsどころではありません。そんなカオスな社会にならないよう、ゴール16は暴力や虐待、拷問、人身売買といった、あらゆる人権侵害の根絶を目指しています。

■YouTube#ビデオ開示を求めます#入管法改正案の行方をご覧ください

ゴール16では、平等な司法へのアクセスや情報開示の重要性もうたっています。たとえばこんなふうに。

16.6 あらゆるレベルにおいて、効果的で説明責任があり透明性の高い仕組みを構築する。

政府や企業は不祥事があった時に説明責任を果たさなければなりませんし、そもそも不祥事が起きないよう透明性のある仕組みを作らなければなりません。

しかし日本の状況はどうでしょうか? 名古屋入管で亡くなったスリランカ人女性・ウィシュマ・サンダマリさんのニュースに心を痛めた方も多いと思います。亡くなったと書きましたが、ストレートに“殺された”と書いた方が的確かもしれません。

現在ご遺族が来日し、亡くなる寸前のウィシュマさんの様子を収めたビデオ映像の開示を求めています。しかし法務省は「保安上の理由」を盾に、頑なに拒否しています。

この件について入管庁がまとめた報告書に、嘘があることも明らかになっています。外部の医師が弱ったウィシュマさんをみて「入院させた方がいい。入院が無理なら点滴を」と言ったのに「医師からはとくに何もなかった」と真逆のことが書かれていたり…。

とにかく「効果的で説明責任があり透明性の高い仕組み」など知ったことか!という感じです。法務省の対応がどれだけトンでもないかは、ぜひこちらの動画をご覧になってください。まさに「百聞は一見にしかず」で、私が書きたかったことがすべて語られています。

長さは1時間ちょっとですが、時間を忘れて見入ってしまうと思います。

■法務省のブラックボックス化は何よりも怖い

犠牲になったのがオーバーステイの外国人だったこともあり、ネット上では“不法滞在した方が悪い”と、ウィシュマさんを非難する声も少なくありません。

しかし“たかが”オーバーステイ(あえてこう言います)で、満足な医療を受けさせず生命まで奪うのを、異常と言わずして何と言うのでしょうか。また、“オーバーステイの外国人=犯罪者”と決めつけるのも短絡的すぎます。

そして何よりも深刻なのが、不誠実な対応に終始して隠蔽に走っているのが法務省であること。

法務省は法の秩序を維持し、人権を守るという重責を一手に担っています。刑罰や死刑制度の運用もしており、あらゆる省庁の中でも大きな権力を握っているのが法務省です。

入管も管轄しているのは法務省で、入管庁の不誠実な対応にも法務省の意向が反映されています。

そんな強大な権力機構が平然と一人の人間の生命を奪い、関連する情報を隠蔽していることの恐ろしさが、どのぐらい理解されているでしょうか。

もっとも公平性や透明性が求められる法務省が、もっともブラックな無法地帯と化しているのです。一般企業でいう「コンプライアンス」(法令遵守)など、完全無視です。

建前上は法務省もSDGsの推進を公言しており、こんなことをうたっています。

法務省では,安心・安全な社会や,差別や虐待のない人権に配慮した社会の実現を目指し,再犯防止対策や様々な人権問題への対応を行っています。
(法務省ホームページより)

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こんな立派なロゴもつくっています。MOJというのは、英語表記の Ministry of Justiceのことです。はたして法務省にJustice(正義)はあるのでしょうか?

実は法務省の野蛮さは今に始まったことではなく、他にもたくさんの過ちを犯し、隠蔽してきました。

私はボランティアで冤罪(えんざい)事件の支援活動も行っており、法務省の悪辣ぶりに大変な憤りを感じている1人です。

ようやくそのことが、広く社会に知られた…というのが正直なところです。

冤罪や死刑というのは重いテーマのためどう伝えて良いか迷っていますが、いずれ機会を改めて書いてみたいと思います。 

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