ひとりの夜の"美味しくない"ハイボール
「あぁ、美味しくない」。
ハイボールを口にして、やっぱりなぁとつぶやく。
夫が出張でいないので、夏の終わりを告げる虫の音を聴きながら読書する。
そのおともにはハイボールを用意した。
毎日晩酌する私たち夫婦には役割がある。
アテは私が作り、夫はハイボールを作る、というものだ。
高いウイスキーやスコッチはもちろん美味しいけれど、我が家はリーズナブルなウイスキーを常備。
だけれど、夫が作るハイボールはうまいのだ。
最近、より美味しくなった気がする。
氷とウイスキー、そして炭酸水の割合が大事だという。
さらに決めては炭酸水。
ウィルキンソンでなければだめらしい。
以前こんなことがあった。実家に帰省する数日前に夫は義母に炭酸水の有無を確認し「炭酸水ならあるよ」と返事を得た。
だがしかし、帰ってみるとウィルキンソンじゃないことがあった。
すぐに近くに買いに走った夫。
それ以来、実家はウィルキンソンを常備してくれている。ハイボールを好む私たちのために。
さて、思い出話は置いといて…
夫、もとい我が家のマスターに作り方を何度も教えてもらうのだけど、同じような味にならないから不思議だ。
だから、夫がいない夜は美味しいハイボールが飲めない。
毎晩、グラスが空に近づくと「足してくるね」と席を立つ夫。
だから私のグラスが完全に空になることがない。
「マスター、ありがとう」なんて言っているけれど、自動的に満タンのハイボールが常に手元にあるなんて幸せなことだ。
さぁて、今夜もひとり美味しくないハイボールを飲む。
明日はヘロヘロになって夫が帰ってくる。
ヘロヘロなところ悪いが、やはりハイボール担当は夫だ。
今日のうちにウィルキンソンを何本か冷凍庫にいれておこう。
そして、アテの下ごしらえをしよう。
明日は虫の音よりも私たちのおしゃべりがにぎやかになる。
あぁ、早く帰ってこないかなー。
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