見出し画像

【小説】あの日の写真

TBS金曜ドラマ「最愛」にドハマリしております。
最愛について色々と考える中で、想像をめぐらせていたら切なくなってしまい…物語にしてしまいました。ドラマ本編とは一切関係ございません。
また、方言間違っているかと思います。ご容赦ください。


「姉貴と俺の2人の写真、もう1枚撮ってもいい?変顔で。」
結婚式の日、変顔なんて滅多にしないタイプの弟の大輝が突然言い出した。

「え、なんで私の晴れの日に変顔で写真撮らなきゃいけないのよ。誰かに見せるつもり…?」
私の言葉に、大輝は明らかに動揺した。

「あ、いや…。今日大学入試で、元気づけたい人がおって…。」
顔を真っ赤にして狼狽える弟を見て、弟が変顔ツーショットを誰に見せるつもりかすぐに分かった。
「この前言ってた寮父さんの娘さんやね。分かった。いいよ。」
「違うわ。…でも、ありがとう。」
分かりやすい嘘をつく弟を微笑ましく思いながら、変顔ツーショットを撮った。


「大輝、実家にはいつまでおるの?」
「一泊して、明日には寮に戻る。全国大会控えてるし。」
「そっか。全国大会頑張ってな。応援しとる。彼女も待ってるもんね。」
照れる弟をもう一度見たくて私は言った。
「あのさ、さっきも言ったけど、結婚おめでとう。姉貴が幸せそうで俺嬉しいよ。」
照れながら祝福する弟を見て、なんだか男らしいなと思った。
「ありがとう。」

.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*

白無垢姿の姉貴はとても綺麗で、幸せそうだった。
お義兄さんも、優しくて素敵な人だ。
俺もこんな幸せな結婚をしたいな…と思って頭に浮かぶ人は1人しか居ない。

結婚は梨央が大学を卒業してからかな。
だとしたら薬学部は6年だから、少なくとも7年後か…。
今姉貴がいる位置に梨央がいて、義兄さんの位置に俺がいて、俺の位置に優がいて…。
白無垢姿の梨央は綺麗だろうな…。
ウエディングドレス姿も見てみたいな…。似合うだろうな…。

姉貴の結婚式が、自分の描く未来と重なって、梨央が大学に合格したらちゃんと告白しようと、俺は改めて決意を固めた。


.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*.☆.。.:.+*:゚+。 .゚・*..☆.。.:*˚✩∗*゚⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩˚✩∗*゚⋆。˚✩⋆。˚✩☪︎⋆˚✩∗*゚⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩˚✩∗*゚⋆。˚✩⋆。˚✩☪︎⋆˚✩∗*゚⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩˚✩∗*゚⋆。˚✩⋆。˚✩☪︎⋆


結婚してから15年の月日が経った。
結婚式の日の写真を、夫とたまに見返す。
もちろん、大輝と撮った変顔写真も残っている。
「大輝おじさん変顔するんだ。今度やってもらおう。」
姉弟の変顔写真を見た娘はこう言っていたっけ。
今刑事として東京で忙しく働いている大輝は覚えているのだろうか…。

あれから、陸上部で薬物問題があったり、内定が取り消されたり色々と大変だった弟に、彼女とどうなったか聞くことはできなかった。
弟からも、恋愛についての話はあれから1度も聞いていない。
大学時代の寮父の娘さんの話はよくしていたのに…。

いつか、弟から幸せな報告を聞きたいな…。近いうちに聞けますように。
そう願って、私はアルバムを閉じた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?