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秋の訪れを感じる瞬間

夜明け前、木の葉の擦れる音で目が覚めた
最初は雨音かと思った
それにしては乾いた音だった
もう一度目を閉じて眠る
外が明るくなってきた
起き上がって部屋のカーテンを開けてみると
朴の木と山ぐるみの葉が風に揺れていた

梅雨明けの猛暑日が続いたある日ふと感じる秋の気配
信州では例年8月の上旬
お盆の前だ
空気の気配で「ああ、今年も来たな」
そう感じる
標高が高い北アルプスの稜線を越えて秋は確実にやってくるのだ
けさはさらにそれをハッキリと感じることができた
台所に差す朝の光も秋色だ

先月は毎週のように山に登っていたので
先送りしていた依頼先の庭仕事を今頃になってようやく片付けた
松、糸檜葉、高野槙、白樫、もみじ、柊など、、剪定した後、箒で掃除をして片付け終える
この家で一人暮らす彼女はとても褒め上手だ
去年の暮に剪定してもらった百日紅が
今年も綺麗に咲いてくれた
とても自然な樹形で気に入っていると言う
お茶を戴く
近所の事、健康の事、山の話
とりとめもなく話題が移る
ガラス越しに鹿島槍とそれに続く峰々がよく見えるこの家の玄関が好きだ
お互いに生きた分だけ歳を取り身の回りも大きく変化した
変わらないのはここから見える稜線のシルエットだけだ
死者を迎えそして送るのがお盆なら
夏を送り秋を迎えるのもまたお盆
朱色に染まるナナカマドが山肌を彩る季節もそう遠くはない

#秋を感じる #お盆 #エッセイ #庭

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