ちょっとアバッキオが好きすぎるから話を聞いてくれないか
アバッキオが好きだ。それはもう、狂おしいほど。
アバッキオに思いを馳せすぎてそろそろ日常生活がままならなくなってきたので、ここらで少し気持ちを吐き出しておかなければ近いうちにアバ死(アバッキオが好きすぎて死ぬこと)してしまう。
あと、私はひとが自分の好きなキャラクター評をしているのを見漁るのがだ~いすきなので、私のネットデブリもそんな誰かの目にちょっとだけ触れる機会があったらいいな、というほんのちょっぴりの下心もある。
だから少しだけ、私のアバッキオへの気持ちに付き合ってくれないか。
■注意
・以下の文章には、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』のネタバレが多分に含まれます。未読・未視聴のかたはご注意の上、ぜひ本編をご覧ください。今から何も知らない状態でジョジョに触れられる可能性のあるあなたのことが、私は心底羨ましい。あなたの人生に黄金の風が吹きますように、心からお祈りしています。
・独自の考察や分析を行う才能には残念ながら恵まれませんでした。先人達が何万回と言ってきた感想を、遅ればせながらもう一度繰り返すだけです。
noteのテストを兼ねて冗長なオタク語りをするだけですので、どうぞお時間があるときにのんびりご覧いただけたら嬉しく思います。
アバッキオという男① ジョルノに突っかかる
レオーネ・アバッキオ。言わずと知れたギャング組織「パッショーネ」の構成員でありながら、過去には正義を志し警官として市民のために身を粉にして尽くしてきた男だ。
己の正義を見失ったためにギャングに堕ち、身も心もパッショーネと共にありながら、彼はそれでもずっと、かつて警官だった男だった。
アバッキオはパッショーネの中ではわりあいまともな服装なせいだろうか、それとも私のバイアスだろうか、落ち着いて大人びているようにも見えるけれども(承太郎に雰囲気がよく似ていると思う)、ジョルノとの顔合わせシーンを見返したら全然そんなことはなかった。パワハラにもほどがある。
パワハラと言えば、警察にギャングと組織生活が長かったからか、作中を通してやたらジョルノに突っかかりがちなのも彼の魅力のひとつだ(ジョルノもジョルノで大概クソ生意気な新入りではある)。でも、どれだけデカくて怖い先輩に詰められたりデカい声で恫喝されたりしても怯まず食ってかかれるジョルノはすごいと思う。あのメンタルこそ社会人が持つべき黄金の精神だ。上司に怒られたときとかに思い出して強くなりたい。
話が逸れてしまったが、私はジョルノへのアバッキオの難癖を見るたびにウケていた。実際のところアバッキオはいちゃもんつけ屋さんというよりはむしろ、年功序列という組織のルールや彼の常識、良心に則って後輩を指導しているだけのむしろ世話焼きな先輩な気もするのだが、言い方だとか目つきだとかがな~んか全部ヤクザみたいで偉そうで面白いのだ。いや実際ヤクザというか、ギャングなんだけど。
同じことをチームの他のメンバーが言っていたとしても、人間がずば抜けてよく出来ているブチャラティや陽気なミスタ、裏表のないナランチャや普段のフーゴならあんまり角が立たないだろうところを、アバッキオだけはめちゃくちゃ鋭利にとんがった言い方をするのがすごい。背後にある優しさや思いやりがあまりにも周りに伝わらなさすぎる。
味方側にこういう、いわゆる最後まで怖くてめんどくさい先輩がいるパーティってあんまり無い気がする。嫌味だったり面倒だったりするやつなら時折見かけないでもないが、そういうやつは大体ちょっと痛い目を見て主人公を見直したり、そのまま心が折れちゃったりするのだ。
あんなに突っ張り通した男、私は初めて見た。ジョルノの才気自体は認めつつも、最後まで「先輩」としてのスタンスは崩さずに自分を通した彼がなんだかいじらしくて、いとおしいなと思うのだ。
アバッキオという男② 粗暴
アバッキオはすぐに声を荒げるが、加えて粗暴でもある。すごい。
作者・荒木先生によれば、単純な腕っぷしだけならチーム内で1番強いらしい。すごいではないか。でもブチャラティチーム、単純な武闘派は少ないもんな。
粗暴と言っても、涙目のルカみたいに普段からオラついているわけでも、フーゴのように突然スイッチが入って狂暴化するわけでもないのがアバッキオだ。
私がアバッキオの人間性を象徴するエピソードとして本当に好きなのはアニメの22話「ガッツの「G」」だ。お好きな方も多いだろう。
ナランチャが飲んでいたワインがスーツに跳ねた通りすがりの男が、ナランチャに文句を言うシーンがある。彼の怒りそのものは至極真っ当なはずなのだが、そのブチギレ方が完全に反社会的な感じだったため、ナランチャは彼が敵であると誤解。ミスタと一緒に男を「敵かッ敵かッ」と言いながらボコボコ蹴りまくる。
その様子を、ワイン片手に平然とした顔で見つめるアバッキオ。早とちりした2人を諫めるのか、と思いきや
次のカットでは、2人と一緒になって男を思いっきり足蹴にするアバッキオの姿が。
「敵かッ敵かッ」と威嚇(?)し、おふざけみたいな蹴りを入れていた前述の2人とは違い、掛け声は「ゥオラ ゥオラァッ」である。もう既に怖い。身体のばねを活かして爪先に体重を乗せる、お手本のような蹴りを披露するアバッキオ。暴行に彼が加わった瞬間、キックのSEも鈍い音に変わった。完全に蹴りたいから参加したひとだ。
ひとしきり蹴り終わったアバッキオは、何かに気がついたようにはっとした顔で2人を止める。恐らく彼にその資格はない。どうしてそんな顔ができるんだ。
(主にドカ蹴りアバッキオによって)可哀想なくらいぶちのめされ気絶した男だが、「ついでだから」という理由でアバッキオ直々に「あ~ん」してもらっていたので、羨ましいと言えばまあ羨ましいかもしれない。何がついでなのかはわからないが。
アバッキオという男③ スタンド
アバッキオのスタンドは「ムーデイ・ブルース」。指定した日時、その場所で、誰が何をしていたのかビデオ再生のように巻き戻して視認できるスタンドだ。スタンド能力や能力者自身の顔が敵にバレてしまうこと自体が命取りである能力者の場合、彼のスタンドはとんでもない脅威になる。
が、再生中は攻撃・防御が一切できずアバッキオが外部に対して非常に無防備な状態で晒されることになるというアバッキオ自身にとっても致命的な欠点がある。そのため、アバッキオ自身も自分のスタンド能力の開示についてはとっっっっっても慎重だ。新入りのジョルノの前では、逃げ場のない海上で仲間たちが次々敵に拉致され追い込まれた状態であってもスタンドを発動させたがらないほど、その慎重ぶりは徹底していた。
応用すれば、パイロットの動作をリプレイして飛行機を飛ばしたり伝言の再生ができたりといろいろ便利に使えるので、旅の中盤からは結構バンバンスタンドを発動させている。
スタプラのように腕力に物を言わせて敵スタンドをブン殴ることもできるだろうが、いかんせんパワーやスピードに欠けるためか、護衛チームの中では唯一オラオララッシュに類するフルボッコシーンがない。というか、スタンド戦自体ほとんどない。
ギャングの抗争にはとことん不向きなスタンドである一方、地道な捜査をコツコツ続ける警察にとっては何よりも需要のある能力だっただろう。
五部のスタンドは、スタンド使いの内面や精神状態が色濃く反映される傾向にある。だからこそ、正義が何かを見失い、失意の果てにギャングに流れ着いたアバッキオが、ギャングらしさのかけらもないムーディ・ブルースを発現した瞬間のことを想像するたびに胸がギュンッッとなる。
きっと驚いたことだろう。何度も何度も後悔して、もう底を尽きたはずの後悔が再び込み上げてきたに違いない。今からではもう遅いのだ、何もかも。
誰かに頼まれて、あるいは必要に迫られてムーディ・ブルースを発動するとき、彼はどんな気持ちだったのだろうか。唇をぎゅっと引き結んだいつもの機嫌の悪そうな仏頂面からは、彼の感情は読み取れないままだ。
賄賂を受け取ってからずっと、気がつかないふりをして心の奥底に閉じ込めて、いつしか完全に気がつかなくなっていた真実へ向かう意思が、これ以上ないほど強く顕現したスタンドだと思う。彼にとって最も大切なものは、今なお正義なのだ。
気持ちを鎮めるためにこれを書き始めたはずなのに、書くためにもう1度アバッキオを見返したら再び感情がおかしくなり始めて、なんだかポエミーな文章が増えてきてしまったのでここらで切り上げようと思う。
ミスタの大騒ぎにヘッドフォンして素知らぬ顔をしながら4つあったケーキを1つ取ってあげる細やかな気遣いだとか、おつかい前のナランチャとフーゴの喧嘩を理性的におさめる大人びた様子だとか、ジョルノに食ってかかるときに無意識に顎クイをするモテムーブだとか、ひと言も発さず静かにザ・グレイトフル・デッドに掛かっちゃうところだとか、もちろんみんな大好き「今にも落ちてきそうな空の下で」だとか、言いたいことはまだまだたくさんあるのだけれど、とりあえずは一旦この辺で。
また気持ちがバーストしそうになったら追記しに帰ってこようと思う。このnoteは私の突沸を防ぐ沸騰石のようなものなのだ。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
またいずれ、お目にかかる機会がありましたら。
アリーヴェデルチ。
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