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FOOT ~1~

人間の歩行では質量中心(COM)がほとんど支持基底面の外側にあるため、リハビリテーションにおけるセラピー場面で歩行パターンを安定させるのは難しい挑戦である。

歩行の際に足部の特に、位置・形状(clialance)を安定させた歩行パターンの維持は重要である。今回は足部の重要性について述べていく。

運動連鎖の関係性から、足が安定できれば、動的に足関節を動かし膝関節は安定する。stability とmobilityの関係は交互に切り替わり、結果上肢はフリーとなって物を運んだり、リーチすることを可能にする。ノーマルムーブメントではmobilityとstabilityの関係が肢位によってどこに安定が与えられるかによって入れ替わり・切り替えることが出来る。

Bobath  conceptでは、上記に加えて、タスクを反復的に一貫して実行するために、最適な筋肉の柔軟性、強さ、固有受容性、持久力を有する必要があるものとして運動連鎖を理解している。筋肉の力だけに頼ると、同じことを繰り返すことは難しくなるので、構造の助けが重要となる。

臨床では、「足が軽くなった!」といわれる理由の一つとして、足のアーチを形成し、体重がかかったアーチにエネルギーを筋肉の連鎖によって、上行性につながれていったことが挙げられる。つまり運動連鎖が産まれるということは、効率性をUPさせることにつながる。そこで、運動連鎖のベースとなる「Foot」について考えていく。

評価として、後足部と前足部だけでなく、中足部にも注目する。歩行中はCOMが外側にあることが多いため、中足部にアーチが形成されないと内側と外側、そして正中の差を感知できない。内側縦アーチの頂上である舟状骨が挙上しないと運動連鎖を生み出すことが出来ず、挙上できないと歩行着地の際にいわゆる「べた足」になり、アーチが形成された足が歩行では重要となる。

足部と姿勢の安定性については、誤ったアライメントの足は下肢の近位関節の代償を生み出し、誤った上行性の運動連鎖により誤った姿勢アライメント・コントロールへとつながる。長年の誤ったアライメントは変形性関節症などを2次的に生み出す。例えば、内反した足は膝を過伸展し股関節を屈曲させる。体幹を起こそうと肩は挙上位をとり、上肢をフリーに動かすことを難しくする。

ノーマルの運動連鎖では上記な例が挙げられるが、中枢神経疾患などでは、それだけが問題となることは少ない。ボバースでは、さらに評価として上記の観察レベルだけでなく、足の状態をよくして上行性に運動連鎖が起きやすい足部の状況を作ったにもかかわらず、股関節が屈曲/伸展している。上肢がリーチしやすい/しにくいといったことをハンドリングを通じて評価を行い。問題点をしぼっていく。この、仮説検証をクリアしていくためにもベースとなる足部の状態が大きく影響を及ぼし、修正を行うことを重要と考えている。

Gjelsvikは、足部が与える姿勢制御として①活動の背景に適応する②動的な変化を可能にする③四肢の活動の動的変化のための前提条件となると述べている。

Summway‐cookは安定性とオリエンテーションという二重目的のために空間での身体の位置を制御することに関与していると述べている。

Foot Core systemにおける3つのサブシステムはそれぞれが重要となっている。筋の活動は運動連鎖を生み出すのに重要であるが、筋活動がだせないケースは正しいアーチやドーム構造を満たすことで筋活動がえられやすい状態をつくることができる。passive systemはアーチ構造で重要である。特に内側縦アーチと前足部の横アーチは重要である。横アーチは中足部レベルが一番高い構造になっており、前足部レベルはそこまで高くなっていない。治療の中ではまず、中足部の横アーチを形成していくことから開始する。前足部のアーチを形成させる際にはこの中足部のアーチをつぶさないことを注意する。次回の治療編で述べるが、中足部の横アーチにタオルを巻いていくのはこういう理由からである。足底腱膜とアキレス腱は構造上でつながりを持ち、下腿三頭筋からアキレス腱は踵骨への連結は、足底腱膜の張力を増加させる。足部における内・外側の安定化の為、後脛骨筋と腓骨筋が内・外側から引っ張り合う構造をしている。足部のMP関節を伸展可動域はかなり重要で、MP関節を伸展することによって内側縦アーチを上に持ち上げる機構が働く(ウィンドラス機能)。立脚後期においてウィンドラス機能が働くと舟状骨を持ち上げ内側縦アーチを持ち上げる。足部の安定性と剛性を高め、アーチが元に戻るときに推進力をうみだす。MP関節が屈曲していると地面をとらえたときにアーチがつぶれた状態の歩行になる。推進力は働かず股関節を持ち上げて振り出すことがふえ、歩行CPGを上手く駆動できない。立脚初期においても足底腱膜の緊張がゆるみ、立脚中期での床反力をとらえることが出来ない。体は抗重力方向へ持ち上がらず、股関節屈曲や膝の過伸展の状態を生み出しやすくしてしまう。

active subsystemは足部の内在筋が重要となる。足装具は変形した足部を強制し外在筋の機能を高めることを目的としている。passive subsystemをサポートすることに焦点をあてられている。一方で、オリエンテーションを得るために、足部の機能を最大限に作り出すため運動連鎖を回復するために内在筋のトレーニングをしたり足部のコントロールを高めることをしたりする。早期からの装具療法は外在筋と内在筋に対する治療としてリンクしていない可能性があるとMackeonによりいわれている。内在筋の感覚機能について内在筋は足のドーム構造の変化に対して知覚情報を提供するといわれている。(皮質脊髄路の役割)地面の凸凹や状況を測定からの感覚情報を捉えやすくするために形状を維持させる。足は感覚器でもある。足底からの固有感覚情報を処理する過程は姿勢制御にかかわりバランスの改善につながる。第一中足骨の運動は背屈と外返しする際には、内返しの方向に第一中足骨が働く必要がある。内在筋のなかでは、小趾外転筋は二腹筋で近位部はstabilizer/tonic partとして持続的に働く。遠位部はphasic partとして運動の際に働く。治療を行う上で、足部の内側を安定させる。第一中足骨を内反方向へ誘導しつつ長軸方向へ牽引させることが重要。

足部の治療では初めに、筋の動員・活性化させること。そして筋活動を用いて安定させること。最後に動的安定性である。

治療展開では体幹を安定させ足部の内在筋を活性化させる。静的場面で強く足部を使う練習を行い、動的場面で足部を使う練習をしていく。