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#番外編 抗がん剤「パクリタキセル」「ドセタキセル」になった植物・イチイ

古来より、木や草花、虫、鉱物など、自然界にあるものが薬として使われてきたことは周知の通りです。

古事記・因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)にも白兎の体を治すものとして蒲(がま)という植物が出てくるように、神話の中でも植物が薬として登場しますね。(蒲の花粉は傷薬に良く使われた)

どんなものがどんな病気に効くのか、いろいろと試しながら私たち人類は発見してきたんですね。本当にスゴイ!


薬と言うと、どうも今の私たちは固定概念で人工的な化学物質としての印象が強いかと思うのです。よく分からないけど、なんとなく抗がん剤に対する印象があまり良くないのも、こういう固定概念のインストールが少なからず影響しているのではないか?

今日はそんな私独自の妄想的な仮説から、ちょっと別の視点で抗がん剤のことを知ろうということで、企画的に番外編をお届けしてみたいと思います。
(情報収集が出来たタイミングで上書きしていきます)

◆イチイの樹皮や葉から抽出された抗がん剤

抗がん剤はいくつも種類がありますが、その中の「タキサン系」に属する抗がん剤で乳がん治療にも用いられる「パクリタキセル」と「ドセタキセル」は、それぞれ「太平洋イチイ」の樹皮、「ヨーロッパイチイ」の針葉の抽出物に由来する抗がん剤です。

ただ、治療に要する植物の確保は種の保存の観点からも非常に困難なため、
イチイから抽出した成分を原料として半合成された化合物から現在の抗がん剤が作られているようです。

パクリタキセル・ドセタキセル共に、細胞が分裂する際に必要な細胞構成成分の一つである微小管を安定化および過剰発現させることにより、がん細胞の増殖を阻害する抗がん剤です。


◆イチイが面白い!どんな植物なのか!?

イチイは日本全国どこでも見ることが出来る常緑針葉樹です。
この赤い実に見覚えがある方も多いのでは?

イチイのここがスゴイ!!
早速いってみましょ~!

①【最高位と賞賛された「笏(しゃく)」の原料。スゴイ木である】
笏は、聖徳太子とか官位にある方が右手に持っているあの細い木の棒みたいなやつです。仁徳天皇に献上した笏がとても素晴らしい出来であったことから「正一位」という最高位の位が授けられたそうです。
この笏を作って上納したのは、岐阜県高山市の飛驒一宮水無神社と言われています。
※岐阜県飛騨高山の一位一万彫りの背景はここにあり。
※岐阜県の県木はイチイ。

②上記の通り、仁徳天皇によって「正一位」という位を授かったことから笏の原材料となったこの木が「イチイ」という名前になったと言われています。
このイチイ、「一位」というところから、【学業や商売で一位になることを祈念した縁起の良い木】として親しまれています。
受験のお守りや、表札などにも使われています。

③【古代ケルト人は輪廻転生のシンボルを託した】
杉原梨江子さん著「古代ケルト聖なる樹の教え」には、老木となったイチイの枝が地面に届くと大地の下へと沈んで根付き、古く弱くなった主幹を支える新しい幹に育っていくことから、イチイに再生と変化の繰り返しを見出し、輪廻転生の象徴となったと記されています。

科学の賜物である抗がん剤の原材料にこのような神話を重ねると、命を繋ぐための抗がん剤にいくばくかの愛情が芽生えるのは私だけでしょうか。

◆縁起が良いイチイ!!

「イチイ=一位」から、とても縁起の良い木と言われているイチイ。
学業や商売にもご利益ありそうだし、国が違えば輪廻転生の象徴ですよ!
めちゃくちゃ尊い!!

(イチイ=地域によっては、あぶらぎ・おんこ・あかぎ・しゃくのきなどと呼ばれているようです)

イチイを庭木にしている方も多いですよね。
開運目的で選んでいるのではないでしょうかね~。


乳がん治療にも使用される抗がん剤を、原材料である植物の視点からご紹介した番外編はいかがだったでしょうか。
「パクリタキセル」や「ドセタキセル」の原料となるイチイの木をお守りにしたくなった方も多いのではないでしょうか!


がんは誰にとっても決して喜ばれるものではありません。
ですが、私は紛れもなく乳がん患者ですし、生涯において2人に1人は罹患すると言われています。
時には、違う角度からがんを見てみる。そんなユニークさもがんを捉える技として持ち合わせておくと、意外な希望が得られることもあるなと思ってこの記事をまとめてみました。

少なくとも私は乳がんになったことでイチイの木を愛おしく思うようになりました。知的財産と愛の獲得です!



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