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無垢であれかし、 高らかな金糸雀、 目覚め前の都会、 小さき自鳴琴、 片付かぬ文机、 手…
幾枚の透明なフィルム サアサお選びくださいな 薄く色があるでせう どうぞ 閃きの向くまま…
明日の出立早くして 憎き眼の冴え冴えに さうだ 塗つてしまはう いたづらごころをうち起こ…
夜中 子の刻 本たちが、狹しと騒ぐものだから 童話、上 辭書、左 詩集、下 圖鑑、右 論…
小さな箒を持つて、硝子の外れた展示臺に上る。 ──なるほど、見世物は此のやうに。 仄かな…
盃をふるりと見る 浴びるほど、溺れるほど、 酒を飮まうとは思はぬものだが ゆら…… 大切…
ひとり、默つて讀みます 未だ呟いてしまふけれど ひとり、默つて讀みます 聽かせる人も居りません ひとり、默つて讀みます 周圍はインテリ許りです ひとり、默つて讀みます 新しい|詩を見渡して ひとり、默つて讀みます 歸らぬ積りで耽るのです
マンドリンが聞こえる 硝子の彩光を壁に透かすやうな 續く螺旋の段を天まで昇るやうな 踊る…
キヤラメルを三粒しのばせて歩く 驛舎に停まる列車の吐いた 白い白い溜め息に お生憎樣、と…
兩手で構へてゐたものが なんと片手に收まつて ぽつぽとだいぶ上氣した 丸い林檎を切つてゐ…
そろそろ通る ほら通る 今紫の美人傘 小鳥のやうなレエスの御手が 長柄の先に留まつてゐる…
冬の下 あうあう三毛の遠吠えが 縋つてゐるよ 去りし昨日に 其れを聞く ただ其れだけであ…
ものをば書けど閑古鳥 働けば心休まらず ものをば書くは遊びにあらず されど飯には成り難し…
今年も梅が咲きました 雪の解けるを待たずして メジロの醒めるも待たずして 一輪ぽつちで咲きました 去年もかうして待ちました 月が昇れど其のままで 里が眠れど其のままで 仲間の咲くのを待ちました 今年の梅も落ちました 枝のあちこち紅や白 ふわりと薫るを見屆けて 一輪ぽつちで落ちました