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変わりゆくChatGPT業界において、京都発スタートアップが決めた「3つの方針」とは?

ChatGPTなど生成AIの登場により、ChatGPTで何ができて、どのようにビジネスルールが変わるのかに注目が集まっています。そこで、ビジネスルールの変化とChatGPTの活用方法について、80&Companyが取り組んでいる事例をCOO吉野に聞いてみました!

ChatGPTに興味はあるけれど具体的な活用方法に悩む事業者の方々に、ビジネスや社内で活用するためのヒントとなれば幸いです!

COO 吉野 崇史(Takafumi Yoshino)
東京大学/大学院を卒業後、三菱商事に入社。 農業分野にてインドJV現地マーケ・経営改善や、日本最大農協とのJV設立・経営基盤確立に尽力。 SkymatiXへ転職後はAI画像解析・GIS技術等を活かした革新的サービスを複数世に出す。 その後独立し教育事業を行いながら2021年10月に80&Companyに参画、翌年1月にCOOに就任。 大企業/ベンチャー双方の経験を活かし、組織成長やビジネス全体を統括。趣味は妻子との平日焼肉。


そもそもChatGPTって何?

ChatGPTとは、イーロン・マスク氏やマイクロソフト社が出資している、サンフランシスコのOpenAI社が生み出した最新の対話型AIチャットボットです。大規模なテキストデータを事前に学習し、わずか数列のタスクを与えただけで、様々な言語処理タスクの実行が可能。今まで手動で行っていた作業の大幅短縮が期待できるツールです。

ーーChatGPTでできることは?

たくさんのデータや情報を覚えさせることで、その中から情報をまとめたり質問に対して答えてくれたりします。主な機能は下記の通りです。基本的に情報×言葉の場面で活用されることが多いです。

ChatGPTでできる主なこと

では、早速COO吉野に聞いていきたいと思います!

ーー80&Companyはどんな風にChatGPTを取り入れましたか?

元々社内にエンジニアが多いので、みんなChatGPTが出てすぐに自分たちで触っていましたが、今回ChatGPTが大きく出てきて、うちのCTO大川が「これはもう時代に乗らなきゃ置いていかれる。とにかくちゃんと考えよう」と提起したら、一瞬で役員や各部署のリーダー陣が集まってそのままキックオフをしました。ベンチャーあるあるですね。

ただ、これだけ変化が激しいので、方向性を決定しても必ずチューニングやピボットは必要です。走りながら変更する前提ですぐに方針を決めました。そして決まったのが次の3つです。

<80&Companyの事業の方針>

  1.  ChatGPTのような生成AIを活用するノウハウを社内にためて業務効率化を図る

  2. 生成AIノウハウを既存事業に活かしてPRをし、既存事業の売り上げ増やリード獲得増、技術広報による採用増に貢献する

  3. 自社プロダクトや自社サービスを立ち上げて収益化していく

ーーその事業方針をどのように業務に繋げましたか?

具体的には、切り口別に5つプロジェクトを立ち上げて、全体の定例会議やプロジェクトごとの分科会を組んで、それぞれ進めていき今に至っています。
初期段階のプロジェクト1としては、「社内業務の効率化」というテーマで進めていきました。そして、プロジェクト2として、「リード獲得のための自社メディア」を作ろうとしていましたが、これはクローズしてしまいました。プロジェクト3は、「PRを主目的とした自社プロダクト」を作りました。これはパッと作ってすぐにリリースしました。そしてプロジェクト4として、「パートナー企業の新規事業開発を前提にしたプロダクト」を作りましょうということで、“ChatAIPro”というサービスを立ち上げました。これは今も拡大中です。そして、プロジェクト5つ目として、「toC向けの自社プロダクト」という話が出ていたのですが、これも一旦クローズしました。

このような感じで数ヶ月かけて意思決定しましたが、プロジェクトって当然ながら「こういう軸でプロジェクトとして立ち上げてやっていきましょう」って決めても人が必要で、どれぐらいのお金や時間をかけるもざっくり見積もって、スケジュールも見積もって。撤退基準、例えば「300万円ぐらい人的投資をして、ダメだったらやめましょう」みたいな基準を設けた上で、とにかく早く動き出したというのが、実態として起きたことです。

具体的にどんなことに取り組みましたか?

80&Companyの場合は、パートナー企業の新規事業開発支援というメイン業務があるので、まずはその切り口を分解していきました。

新しいビジネスを作るときは、ネタ、人、お金が必要です。80&Companyは、企画立案やチームビルディングのフェーズから運用実行フェーズもずっと一気通貫で新規事業開発をやっています。

社内では、それぞれのところでいろんな部署のいろんなタイプの人間が絡んでいて、いろんな業務をしているからこそ、フェーズごとにそれぞれのメンバーがどういう仕事をしているのか、どうやったら劇的に効率化できるだろうかというところをかなり細かく検証していきました。

業務効率化最優先なんですけども、その結果として、この効率化の手法って“もしかして他の会社さんにも役立つかも”となったらプロジェクト化する前提で考えていました

例えば、企画立案のフェーズでこういうビジネスやると面白いんじゃないかとか、儲かるんじゃないかみたいなことをパートナー企業さんと考えたりするんですけど、そのときに描くビジネスモデルキャンパスとして、いくつかのプロンプトを与えたら自動的に作ってくれるサービスって多分ニーズはあるんですが、いろいろ精査した結果、ビジネスモデルキャンバスを作ってもらうには、ChatGPTからアウトプットするところのカスタマイズをちゃんとやる必要があります。そこにかける工数とか出てくるクオリティに対して、コスパがよくないのでやめたこともありました。

その後も色々試行錯誤しながら、実際にリリースしたのが“新規事業AI”です。打ち上げくん、ペルソナAI、見積もりAIの3つをまとめてリリースしました。

打ち上げくんは、自分の業界と参入してみたい業界を選んで打ち上げるボタンを押すと、“あなたの会社にはこんな新規事業がおすすめです!”ということが出てくるサービスです。

ペルソナAIは、こういう性別のこういう年齢のこういう性格のこういう居住者のこういう内容の人をペルソナとして、例えば「リモートワーク多忙な人のランチは何がいいですか?」と質問したら、その人にになりきって答えてくれるサービスです。あとは、見積もりAIというのを作っていて、システムの要件定義をしてほしいとか、熟練度中級者になってほしいとかプロジェクト規模が大規模だったらこれぐらいの工数がかかるよということをパッと出してくれるサービスです。

この3つは今も使うことができるので、ぜひ遊んでいただけると嬉しいなと思います。これを速攻で作って世の中に出したこともあったりしました。これはあくまでお金をいただいてやるというのではなくて、自社としてちゃんとChatGPTを取り入れる体制を組むというのもそうですし、世の中に対して発信することを目的でまずは速攻で作りました。

ーー他には何かありますか?

他のプロジェクトでいうと、プロジェクト4つ目の「パートナー企業の新規事業開発を前提としたプロダクト」は無事済んでいて、ChatAI Proをリリースしました。パートナー企業さんの独自のデータを使って、そのデータの中からのみ答えてくれるチャットポットを作り、LINEで使えるようにするなど、カスタマイズ開発を前提としたチャットボットをプロダクト化しました。

事例としては、京都・滋賀の新しい地域情報を伝える雑誌『Leaf』を発行している株式会社リーフ・パブリケーションズさんとのプロジェクトです。『Leaf』が27年間の取材で得た膨大な蓄積情報をAIに学習させることで、ユーザーの要望に合わせた京都グルメを提案するオリジナルAIを構築しました。“KYOTO Chat Guide”(β版)としてリリースしているのでぜひ活用してみてください。

80&Companyには、とてもリッチなエンジニアのリソースがあるので、お客さんのニーズに合わせてカスタマイズで作っていくことを最近のリリースでさせていただいて、いろんな会社さんからお問い合わせをいただきながら進めている最中です。これからも世の中の役に立つサービスをたくさん作っていきたいと思います!

吉野さん、ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?少しでも皆さんの参考になっていれば幸いです。

次回は、「ChatGPTや自然言語処理の登場によって世の中に起こる変化」についてご紹介します!ぜひそちらもお読みください!

今回ご紹介したサービス一覧

◆ChatAI Pro

自社サイトやLINE、SNS、Slackなど多様なインターフェース上に構築可能で、ChatGPTを活用したオリジナルAIチャットボットを作れるサービス

◆KYOTO Chat Guide

Chat AI Proを活用した、それぞれのシチュエーションにあう京都の飲食店を提案してくれるチャットボット

◆新規事業AI

必要な情報を入力するとAIが新規事業を提案してくれるサービス「打ち上げくんα」をはじめとし、「ペルソナAI α」「見積もりAI α」など新規事業をサポートする各種AIツール


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