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動物の死は、かなしい?


今回は、最近出会った本の紹介。

先日、娘が急に将来なりたい職業の話をしはじめました。


学校で、将来の夢を俳句にしてカルタを作り、カルタ大会をするという授業があったようです。

娘は小さい頃から動物が大好きで、動物園の飼育係になると俳句に書いたそうです。

そこで、飼育員ってどうやったらなれるの?どんな勉強をしたらいいの?につなげるために「図書館に調べに行こう!」と娘を誘ってみました。


なかなかいい本が見つからず困っていると、司書さんが声を掛けて手際よく見繕ってくださいました。

村上龍さんの有名な「新 13歳のハローワーク」は残念ながら貸出中だったので旧版の本でしたが、他にも飼育員の仕事を紹介する本や獣医さんの本などを数冊借りました。

その中の一冊が素晴らしかった!

娘が読む前に私が全部読んでしまいました。

あべ弘士さんの「動物の死は、かなしい?」です。

あべさんは旭山動物園の飼育係をされていました。


この黄色い表紙の絵本「どうぶつえん ガイド」であべ弘士さんの絵を知っていましたが、読み物は初めてです。


本のタイトルは非常に重いのですが、読みやすい話口調でぐっと引き込まれます。

あべさんの家族のこと、幼少から学生時代、そして青年期のこと。(あべさんは学生時代なんと合唱部だったそうです!)そして就職して、絵本作家になるまで。

そういえば、3年前、旭山動物園を訪れたとき、園内はあべさんの絵でいっぱいでした。

あべさんの動物の絵は、文字と一緒で柔らかく、動物愛にあふれていて大好きです。

娘にとっての今回のテーマである「どうしたら飼育係になれるのか」については、あまりにもあっさりしていましたが、それ以上に考えさせられる本でした。


「命とは」はもちろんのこと、「自分らしく生きるとは」を大人もじっくりと考えさせられます。

おもしろいもの 不思議でワクワクする「興味」のあるものを見つけたら、それに熱中したらいい。熱中の時期を一生懸命過ごそう。でもいつかそのことへの情熱は冷めるだろう。それでいいと思う。冷めたらまた今度の「興味」を見つけ、熱中すればいい。

とあべさんは書いています。

あべさんは初めに就職した親戚の鉄工所を2年半で辞められました。絵描きになりたいと思ったからです。後継にと言われていた職場でした。

でも辞める時、社長も両親も反対しなかった。

その後、絵の勉強を一生懸命されましたが、突然動物園の飼育係になられました。


私は今まで、なぜか子どもには習い事や自分で始めると決めた事はやめずに続けてほしいと願っていました。

娘が頑張って習っていたバレエをやめたいと言った時も、ピアノの時も、ダンスを次の発表会が終わったらやめると宣言された時も悲しかった。

今やめたら今までの苦労が、お金が、時間が水の泡になると思ってしまいました。


でも途中で辞めると決めること。今は違う事をしたいと思うことはすごく大事で、受けとめておおらかな気持ちで見守っていいんだなと思えました。

一見とても遠回りに思える事でも、まわり道したからこそ出来た経験が、その人の人生の糧になり人生を豊かにする。

大人も子どもも自分の心に正直に、ワクワクするやりたいことに熱中すればいいんだ。

冷めてもいいんだ。


今はまだ習い事程度だけれど、この先娘や息子が大きくなり、私が思ってもみないような人生の選択をすることがあるでしょう。

そんな時にきっとこの本を思い出すと思います。


そして大人になった私も「興味」へのアンテナに引っかかる、これだな!の瞬間を見逃さないように。

ワクワクする「興味」のあるものに敏感に反応して、熱中したいです。




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