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美術館周辺のおすすめスポット

いい季節になりました。
私はこの時期のミュンヘンが一番好きです。
今年は5月中旬まで雨が多くて、セーターを着ていても肌寒い日が続いていました。6月になって気温がグッと上がり、公園の木々はうっそうと葉を茂らせています。

私の職場はミュンヘンの官公庁や大学が並ぶ地区にあり、お昼休みにはすぐそばのEnglischer Garten(英国式庭園)を散歩しています。
 
375ヘクタールという広大な敷地をもつEnglischer Gartenは18世紀末にドイツ人の宮廷庭師によって設計されましたが、その名前は、当時流行し始めていた、風景を自然の形態そのままに残す英国スタイルに倣って設計された庭園という意味でEnglischer Gartenと名付けられました。ちなみに、ベルサイユ宮殿の庭園が左右対称で花壇が幾何学模様にあしらわれているフランス式庭園です。

 私は庭園内を流れる川沿いを歩くのが好き。たっぷりとたゆたうエメラルドグリーンの流れは見ているだけで心洗われるよう。

こんなに素敵な場所、誰かにお伝えしたいわ~、と常日頃思いながら、そうこうするうちに…もう7月ではありませんか!
 
ヨーロッパの気候は夏でも朝方や夕方になると肌寒くなるので何か羽織るものを持参してください、なんてガイドブックにありますが、朝出かけてから夜までジャケットを持ち歩かなくてもいいほんの僅かの期間が、今です!
 
そして運よく、私が参加させていただいているメンバーシップ「オトナの美術研究会」の投稿企画「月イチお題note」、7月のお題は「 #美術館周辺のおすすめスポット 」です。

実はこの英国式庭園の南の端っこに、Haus der Kunst(ハウス デア クンスト)が位置していますので、美術館周辺のおすすめ散歩道スポット、として紹介させてください。

Haus der Kunstはヒットラーの肝入りで建築家トローストの設計により建設された美術館で、もともとはHaus der Deutschen Kunst(ドイツ芸術の館)として1937年に開館。ナチス政権時代の文化政策の本拠地となりました。
 

裏手・庭園側

いわゆる1930年代のナチス建築です。
石材・大理石などの建築資材をふんだんに使って、簡素化された古典様式で建てられた美術館は重厚な趣です。

玄関ホールはまるでホテルのよう。

自館のコレクションはなく、現代アートの企画展示を行っており、最近では 「中谷芙二子 Nebelleben (霧の彫刻)展」、がありましたね。
 
 Haus der Kunstのすぐ脇を流れる川にかかる橋にはいつ行っても人だかりがしています。ちょうど橋の下では、若者たちがサーフィンをしています。
アイスバッハという川で人口の波が作られて、恰好の波乗り場になっているのです。
 

初夏。子供たちが学校が引けるとすぐにやってきて川遊びを楽しんでいます。

どんどん流れに身を任せて、ここら辺りはもう観光客はほとんどいません。

ここは最近できたミニ波乗り場。

“泳ぐな危険” 💀マーク付きの看板のすぐ横で...

上流から流れてきた子たちは、ここに張られたロープに捕まって待機します。ときどきサーファーが合図を送って、子供たちを下流に流させてまた自分のサーフィンを続けています。 

 

キリスト教系の学校の遠足でしょうか、修道士が付き添っています。 

庭園内には1972年のミュンヘン・オリンピックの際に、裏千家から寄贈された茶室・閑松庵があります。昨年の秋から屋根の葺き替えなど大掛かりな修築工事が行われていましたが、毎月2日間行われるお茶席も再開されました。 お茶室は川の中州に建っているのですが、春に敷地内に巣を作って卵を温めていた白鳥のひなが無事孵ったようです。

まだまだ遊び足りなくて上流に戻る子供たちを見送りながら、私はお昼休みを終えるのでした。