本とネット 知識と意識の網
本を読むと知識が増える。
しかし、その知識は自身の体験に依らない。
料理本でいくら美味しそうな食べ物の作り方が出てきても、初めて調理をする人がそのとおりに作って最初から美味しい料理が作れるとは限らない。
だが、全く本を読まない、知識がない状態から作るよりは成功の確率が上がる。
本を読むことで近道が出来るのだ。
一度、これに嵌まると何かをする時に、本等で事前に調べて作業をするようになる。
しかし、本に書かれていることはいかに言葉を尽くしても全てが書かれている訳ではないし、読み手によって受け取り様も変わる。
2度目に読むだけでも、新しい発見や考え方が見つかる程だ。
本から受け取れる知識は断片に過ぎない。
インターネットが現れ、本以外にも様々な知識に触れることが容易になり、より多くの知識が溢れかえるようになった。
この知識の網は、隙間なく張り巡らされた近道のようだ。
この網の目は便利だ。
この近道を行けば、試行錯誤する時間を省けるし、他の人との知識の共有も素早く行える。
しかし、この網に慣れてしまうと、そこにあるもの以外が目に入らなくなってしまう。
どうやら、便利な網は人の意識を捕らえるのにも便利なもののようだ。
上を歩いていたつもりで、いつの間にか中に捕らわれてしまっている。
そして、網の目というのは、いかに細かくとも多くのものを取りこぼしてしまう。
まるでフィルターで濾過するかのようだ。
本を読む時、ネットをする時にふとそんなことを考える。
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