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名前を呼ぶ

名前を呼ぶ
君が「はい」と笑顔を向ける
いつでも、どこでも
たくさんの音が降り注いでいても
君は私の声を必ず見つけて
「はい」と返事をする

私の言葉
君は「はい」と答える
頬を赤くして、
うつむきながら
あふれる涙を、
指先で拭いながら
幸せを隠せず、
目を細めて微笑みながら

名前を呼ぶ
「きっとまた会えるから」
私の言葉に、君が応える
「いやです」
電車の発車アナウンス
動けない
手を触れられているだけなのに、
何かに捕まったように、
私の足が、体が、すべてを拒む
「離れたくないです」

君は絶対に「はい」と言わない
私が何を言っても、全部嘘になる
「また会おうね」
「手紙書くね」
「電話するね」
全部、嘘
本当は、

だから
だから、私は

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