フェッチランドの本来の強み

久しぶりの戦略記事だ。今回はフェッチランドについて掘り下げようと思う。確率に基づく話と、確率を無視した話が両方出てくるので諸君を混乱させることになるが、切るべきかどうか、という観点だけで言えば結構重要なことだ。
ちなみになんだが、モダンにおけるプレイングについては一切触れない。《レンと六番》のことを考えると自由であることがほとんどだからね。

何故フェッチランドを使う?

フェッチランドはとにかく好きな色を取り出せる魔法の土地だ。ついでにライブラリの土地も減る。ということは入れ得では?となるがそうでないことがほとんどだ。では、実際にフェッチランドが使用されてるデッキは何故、フェッチランドを入れるのか?いろんなデッキを例に見てみよう。

土地の枚数を絞っているデッキの場合

これはほとんどの場合、《渦まく知識》が関連していることが多い。土地は2、3枚引く必要があるが、それ以上引いたら弱く、それを回避するための《渦まく知識》との合わせ技で常に手札を整えるためにフェッチランドを用いる。逆に、土地を引き入れる必要がある時、フェッチを切ることでライブラリ内の土地が1枚減ったり、目的の色が出なくなることがある。フェッチを切る時、本当に今その土地が必要かどうか、というのは常に考えなくてはならない。

《不毛の大地》の存在

基本でない土地をほぼ無条件に破壊できる《不毛の大地》がある。これを対策するために多色化をしたデッキでも最低限の基本土地が採用されてるだろう。それはつまり、フェッチランドとは基本土地である可能性もある。自分の動きを優先して色を集める使い方も当然間違いではないが、むやみに切って肝心な時に取り出せないのが一番困る。それを避けるためにも、特に序盤のフェッチというのはしっかり考えなくてはならない。基本土地が少ないということは、色を出すのに苦労することがあるということだ。それにばかりこだわって色が足りなくて死ぬのもバカバカしいのでね、切るにしても切らないにしても、どっちがいいのかというのは戦況をよく把握しておく必要があるね。

マナの出る土地よりフェッチの方が多いデッキリストについて

本記事におけるもっとも重要な内容であり、誰しも一度は必ず躓くといっても過言ではない。なぜなら見た目ではフェッチが腐ることがあるからだ。ただでさえ土地というカードは何もしてくれないのにマナすら出ないとはどういうことだ?当然の疑問である。
では、どうしてそういう配分が生まれてしまったのか。ここで重要なのは「そのデッキは土地が何枚あれば勝てるか」というところだ。
例えば、少ない土地でゲームを決めるようなコンボデッキは、目的の色が必ず出る必要がある。そして同時に、コンボに必要なカードを揃える間、度が過ぎる土地は基本的に邪魔になる。ということは、最低限必要な土地が戦場に出ればよく、それ以外は不要牌。であればその土地は色が出ようが出まいがゲームの結果に関与しない(そして、この場合はおそらく負けているだろう)

ここまではフェッチランドの性質を詳しく述べただけで、MTGにおける土地の配分等が一切考慮されていない。これについて、さらに話を掘り下げてみようと思う。

ライブラリの色の割合


土地全体の枚数がフェッチの方が少ない

基本的に単色のデッキのようなものだが、対戦相手によって動きが変わったり、サイドボードで別の色が必要になるタイプのデッキは多くのデッキが該当するだろう。【URデルバー】のような、ずっと赤も青も必要なデッキはあまり関係ないが、【エルフ】や【オムニテル】がここに該当しやすい。

必要な土地の枚数はそれなりにあるが、瞬間的に色にシビアになることがある、そういうデッキにおいてフェッチランドの奇襲性は高い。
色が出るかどうか、というのは基本的に手札やライブラリを直接見るか、対戦相手の戦場の土地で判断するしかないので、直接確認できない限り、フェッチランドというのは何をしてくるかわからない土地とも言える。

【エルフ】の白から《スレイベンの守護者、サリア》が出る、【オムニテル】の緑から《夏の帳》で応戦される…こういったものは、当たり前にあるようで本来想定されるものから逸した動きだ。日頃そういったものを当たり前に見てきた諸君には今さらの内容かもしれないが、色が増えるということは警戒すべきものがその分増える、ということを覚えておかなくてはならない。

土地全体の枚数で約半分がフェッチランド

これはめまぐるしい戦況変化に対応した多色化を図ったデッキに多い。あるいは自分から多角的な攻めを行うデッキもこういう傾向にあるだろう。これらのデッキは土地を引く必要があり、かつ色もシビアであるというややわがままな構成であることが多い。そのため《不毛の大地》に強くかつ、適切に色を用意するためにフェッチランドを使う。

基本土地というのは《不毛の大地》に対処されない代わりに自分の動きが限定されやすい。逆に言えば、《不毛の大地》を警戒しない限り、多色化できれば攻防一体で強力なシーンも数多くある。
フェッチランドはそれぞれの弱点を補完している土地なので長期的なゲームメイクを可能にしてくれる存在でもある。何も考えずに条件通りに土地を探してくるようなプレイをすると、最終局面でミスが出ることがあるので今必要な色、あとで必要になる色、それぞれ吟味した上で探す必要があるということを改めて認識したい。

土地全体の枚数でほとんどがフェッチランド

コンボデッキの大部分がここに該当する。基本土地もぎりぎりまで絞ったタイプはこういうことになることが多いだろう。《不毛の大地》からの耐久力をフェッチランドにすべてまかせてもよいくらい、必要最小限の枚数あれば十分ゲームになるようなデッキであれば必然とも言える。

ただし、フェッチランドからとってくる土地は《不毛の大地》に無力であることがほとんどなので、ゲームを進めるのが困難になることもある。自分のプランを見誤るとゲームに勝つ色が足りなくなることもある。色事故を回避するために大量のフェッチで臨むのだが、強い点と弱い点がはっきりと出やすくもなるので構築段階だけでなく、ゲームメイクも難しくなる。だが、それに見合うリターンがあるからこそそういう構成になるのでどうしてそうなのか?と疑問を持った時にこの話を思い出してほしい。

無限択

フェッチというのは1枚で最大5択なのでマジで何をしてくる土地かわからないというのが一番の強みである。デッキバレを防ぐためにぽん置きするだけだったり、確実に伸ばすために極力基本土地のみを探したりと自由度がとにかく高い。そんな土地を適当に扱ったら勝てるはずだったゲームも負けてしまうということはわかったと思う。デッキを作る時も実際のプレイングも、フェッチを切る前に少しだけ考える時間をもつようにしたいところだ。


本記事は基本無料となっているがお賽銭箱を用意させていただいている。
もし、お賽銭が入っていれば喜ぶし入れてくれた方に沿って戦略記事を書くこともあるだろう。あぁ、もちろん聞き流してくれて構わない。しがない地方プレイヤーの戯言なのでね。

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