カスタマーサクセス―サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則(更新中-11/18更新)

こちらの本を読んだメモです。自分の関心に絞ってまとめています。
※まだ途中なので、読みながら更新していきます。

第1部 カスタマーサクセスの歴史、組織、必要性-カスタマーサクセスの緊急性が急に高まった理由
第1章 サブスクリプションの津波

・サブスクリプション型ソフトウェア登録の更新はハードウェアのアップグレードやメンテナンス契約(=「儀式のようなもの」)とは異なる
・更新は勝ち取るもの。契約更新しないという決定権は顧客側にある。
・チャーン:解約、離脱。

心理ロイヤルティと行動ロイヤルティ
・カスタマーサクセス=ロイヤルティ
・ロイヤルカスタマー
 1.そうすべきと考えるひと(行動または理性の側面)
 2.ブランドや商品が好きなひと(心理または感情の側面)→ベンダー的にはこっちが好ましい。構築も維持も大変。
カスタマーサクセス=心理ロイヤルティを生み出す手段
・CSM(カスタマーサクセスマネージャー)
 ・顧客が自社製品の価値を最大限に引き出せるように手助けする
 ・アップルストアのジーニアス(ベンダーと顧客の関係性が単なる購入のみの関係ではなくなった。天才でなくても、ジーニアスが存在して顧客の手助けをして関係を構築していること自体に心理ロイヤルティが発生している)

サブスクリプション・エコノミー
・「従来のビジネスでは、顧客との関係の終着点は購入だった。サブスクリプションビジネスでは、購入は顧客との関係の始まり。」

SaaS→サブスクリプション→カスタマーサクセス
・顧客はハードウェア、ソフトウェアの購入不要に
・SaaSが提供方法となり、サブスクリプションが支払い方法になる
 →力の大部分がベンダーから顧客に移動した(顧客の切り替えコストが激減、買いに行く前にインターネット上で商品についてディーラー以上に詳しくなれる)

財務の話
・ARR(年間的収益)、ACV(年間契約額)、MRR(月間定期収益)
・価格上昇、値引き率低下、ライセンス増加などにより自社ソフトウェアを別の顧客に販売せずとも、毎年顧客の支払い金額を増額することが可能(インストールベースの価値が上がる)
・カスタマーチャーン:かつて顧客だったがもう顧客ではなくなった人
・自社のインストールベースの管理が重要!
 ・定期収益を増やしてチャーンを減らす
 ・チャーンを制御するための手段がカスタマーサクセス

カスタマーサクセスに関係する3つの概念
1.組織
・カスタマーサクセスとはリテンション率とLTVを最大限引き上げることを目標として、カスタマーエクスペリエンとに特化した組織のこと
・市場を支配できるのはこの点で極めて優れた企業のみ
2.原理原則
・カスタマーサクセスは新たな原理原則(ほかには営業、品質管理、カスタマーサポート)。
・カスタマーサクセスの原理原則を実践する人をCSMと呼ぶことが多い。
3.理念
・カスタマーサクセスは理念でもあり、会社全体に普及しなければならない。
・トップダウンかつ全社的な取組みこそが、世界に通用するカスタマーサクセスを生み出す。

第2章 カスタマーサクセス戦略-新たな組織と従来のビジネスモデルとを比較する

なぜカスタマーサクセスは重要なのか
カスタマーサクセスがもたらす利益
1.チャーンの減少と管理
2.既存顧客の契約金額増
3.カスタマーエクスペリエンスと顧客満足度の向上
 ・二次収益(second-order revenue):顧客を離さず喜ばせること。二次収益によって顧客のLTVが50~100%増加する(ジェイソン・レムキン)。

カスタマーサクセスではないもの
・カスタマーエクスペリエンス(CX):顧客になってからやめるまでの管理。CSと若干重なる部分もある。
・顧客関係管理(CRM):主に市場を表す言葉。
・カスタマーアドボカシー:成功して満足している顧客がもつ重要な役割に対して主に用いられる。CMに似ている一方で、CMを補完する存在。
カスタマーサポート:「break/fix(壊れたら直す)」。
 
・カスタマーサクセス:データで予測することで先回りして顧客の困難を回避する。一般的にはリテンション率で測定。/カスタマーサポート:殺到する顧客の問題に対応する。指標は「効率」。  
 ・財務上の性質:収益ドライバー/コストセンター
  活 動:先回り型/要望対応型
  指 標:成功重視型/効率重視型
  モデル:分析中心/人手集約
  目 標:予測性/応答性

カスタマーサクセスとは
収益ドライバー
 ・カスタマーサクセスは以下の二点で収益を動かす存在。
 1.契約更新(チャーン回避)
 2.アップセル:顧客にさらに製品を買わせる行動。
 ※実際に対応するのは他部署でも、成功した顧客が行うのが契約更新ともっと買うこと。CSの職務は顧客が製品によって成功できるようにすること。つまりCSは収益を生み出す組織。
能動的
 ・データや分析結果から働きかけが必要な顧客を決める。
  ※カスタマーサポートは顧客の要望に対応する
成功重視型
 ・更新率、アップセル率、顧客基盤全体の成長率が重要な指標
分析中心
 ・先を見越した予測分析
 ・アップセルなどの成果やチャーン予測の分析が、部署が費やす時間を最大限活用するのに役立つ
予測性
 ・顧客が電話する必要を感じる前に、カスタマーサクセス担当者は話すべき相手を見つけることができるようになる

第3章 定期収益型でないビジネスモデルにおけるカスタマーサクセス

カスタマーサクセスの提供方法
・顧客価値と顧客数によって、さまざまな顧客は3つのカテゴリーに分類される。
1.ハイタッチ(ピラミッドの最上層)
・最も人手が必要だが、かかった費用は顧客が製品に支払う金額で元が取れるというモデル
・定期的/不定期的なやりとり
・ほぼすべてのやりとりが個人単位で行われる。
2.ロータッチ(ピラミッドの中間層)
・中間にあたる顧客が対象
・ジャストインタイム(JIT)のカスタマーサクセス:顧客が求めていることをぴったりのタイミングで行う。ギリギリ必要な量。
・必要最低限を目指しつつ、ある程度の個別対応も必要。
3.テックタッチ(ピラミッドの最下層)
・顧客の一人ひとりの価値は戦略的にも金銭的にも大きいものではないが、全体としてベンダーの収益に大きな役割を果たすことが多い
・価値の低い顧客のロングテール
・すべての顧客との接点がテクノロジー主導で行われる。Eメールを使ったターゲットマーケティング。

第2部 カスタマーサクセスの10原則

本書で紹介されていた原則の内容をメモ書き程度にまとめています。
各原則のより詳細はこちらの藤島さんの記事がわかりやすいです。
詳細が気になった原則があればこちらをご覧いただくのがおすすめです!

①正しい顧客に販売しよう・新規の契約が正しいと言えるのは、顧客がPMFにはまっている場合だけ
・間違った顧客は組織を阻害し、成功や効率化への取り組みの妨げになりうる
・正しい顧客は会社のビジョンやコンテンツ、従業員や提供会社やこきゃっくのオンボーディングを磨き上げてくれる
・収益のTOFU(Top of the Funnelの略で、購買プロセスの最初期ステージ)が肝要
・「チャーンの90%は販売時に起きる(デイブ・ケロッグ)」=チャーンの大部分は間違った顧客への販売
・間違った顧客に販売したことによるコスト=オンボーディング、チャーン回避

②顧客とベンダーは何もしなければ離れる
・変化は敵。ビジネスモデルや製品の変化に打ち勝つためにはどちらかが積極的に連携しなければ顧客とベンダーは離れる
・部分チャーン
・顧客が確実に自分の製品やサービスを使って成功するようにしなければならない→顧客が自社を選んだ時に目指していた利益を確実に得られるようにする
・顧客がチャーンを選ぶ理由のうちよくあるもの ※危険信号と対応策は本書参照
 ・金銭的リターンや事業価値が得られない→顧客の目標を再検討、製品導入段階にすぐ価値を得られるように
 ・実装が遅れたり完全に止まったりしている→一部に対してでも製品が使えるようにする
 ・製品定着率が低い→製品の中で使える機能をえがいたカスタマージャーニーに顧客を導く
・変化が敵である例:Facebook。実際には機能が増えるなど製品の潜在的な価値が増えているのに、ユーザーが価値を最も高く感じるのは最初の数か月。目新しさが徐々になくなる、価値が当たり前のものとみなされるようになるのが理由。

③顧客が期待しているのは大成功だ
・顧客が買うのは特徴や機能ではなく「事業目標の達成」
・会社が契約を得られるのは「ソリューションから大きな見返りが得られる」という期待値を設定できたとき
・顧客の最終的な成功と同時に、すぐに顧客が成功するための設定も欠かせない
→一つ目の価値に至るまでを追跡する。基本機能程度の簡単なものであっても、顧客は自分が良い判断(買い物)をしたと確信する。価値実現を早めに達成すること。困難に直面した際も頼ってもらえるようになる。
・顧客は機能がかっこいいからではなく、あなたのソリューションが業務向上に役立つと期待したから購入している

顧客が大成功するのを支援するために顧客にとっての成功が何かを理解しなければならない
 ・顧客はどのように成功を測っているか
 ・顧客はその価値を達成しているか、成功しているか
 ・顧客はその過程であなたからどんなカスタマーエクスペリエンスを得ているか、どんな期待をしているか

投資利益率
顧客の目的→それぞれを数値化
 ・チャーンの削減→どこまで削減したいのか?
 ・アップセル機会の創出→新たな機会はいくつあって、どんな規模か?合計金額は?
 ・チームを拡張する力の向上→製品の利用率で達成可能か?一回目の価値実現段階で主要指標を明確に示せるか?

定期的に進捗を確認しよう
・(ハイタッチ客へ)定期的なビジネスレビュー
互いに同じ目的に向かっているのだと理解してくれている顧客なら達成まで協力してくれるはず
・ビジネスレビュー=十分に理解された「成功」を目指す長い旅路の一部

成功は目的地ではなく、旅路だ
・パートナー(あなた)の価値のひとつは、顧客が次に何を考えるべきかを決める手助けができること。自分の製品が顧客に今後どんな価値をもたらしうるか、うまくいっている他の顧客がどのように製品を使っているかといった自分だけが知る情報を活用する。(オンラインで公開すればロータッチ客に対しても達成可能)

理論上は理論と現実の間に差はないが、現実には差がある
・現実:顧客が交渉の場につかない、重要な情報を見せてもらえない、手ごわい対決姿勢を取られる…→適切に取り組んで最悪でも学びの機会に
・あなたの会社が持つべき最善の視点は顧客のレンズを通したもの。顧客の考えは顧客が言葉にするまで絶対にわからない。
・困難な時期は関係を固める機会でもある。

・新規顧客がアプリケーション内の価値地点に到達していなければ、必ず使ってほしい部分について綿密に計画して、ちょうどいいタイミングで適切に介入する

④絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する

⑤ロイヤルティの構築に、もう個人間の関係はいらない

⑥本当に拡張可能な差別化要因は製品だけだ

⑦タイムトゥバリューの向上にとことん取り組もう

⑧顧客の指標を深く理解する

⑨ハードデータの指標でカスタマーサクセスを進める

⑩トップダウンかつ全社レベルで取り組む

第3部 CCO、テクノロジー、未来

第15章 最高顧客責任者(COO)の登場

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?