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嘘という手段を持つ幸福

昨日、実家で夕ご飯を食べていた時のこと。インターホンが鳴ったので出てみたら、プロバイダ切替の営業さんだった。「電線の工事が終わって通信速度が上がったが、いまお持ちのルーターだと残念ながらその性能を100%発揮できない。その切り替えのご案内に伺いました」という感じの、ありがちなトークスクリプトを披露してくれた。

しかし驚いたのは、その営業さんの話し方や雰囲気。若くて男前で、喋り方がハキハキと気持ちが良い感じだったのだけど、「切り替えないと絶対損ですよ!?」みたいな押しの強さが感じられなかった。100%善意で提案してくれている、と思わず錯覚してしまいそうな感じ。あれは話を聞いちゃう人多い気がする。特に年配のおばあちゃんとか。


一方のおれは、彼の披露するトークスクリプトを一通りうんうんと聞いた後「うち、Wi-fi契約してないみたいで・・全部携帯回線でまかなってるみたいなんです」とサラッと嘘を吐く。営業さんは「あ、それなら関係なかったですね!失礼しました(汗)」と、態度を変えることもなく腰を低くしてそのまま去っていった。

おれは一体、いつからこんな平気な顔して口から出まかせを言えるようになったのだろう。ちょっと悲しい気もするが、でも「嘘を吐いてはいけない」と自分を戒めていた頃よりも、「嘘を吐くのもひとつの手段」と考える今のほうが、断然幸福度は高いように思う。

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