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映画『リバー、流れないでよ』感想

予告編を見た時からずっと「これは観る!」と決意していた作品、無事公開直後に観に行くことが出来た。
(余談だが、ヨーロッパ企画と聞くと某Vtuberの「わたくしで隠さなきゃ」が真っ先に思い浮かぶ)


2分間のタイムループに閉じ込められた人間の多種多様な末路を、主人公の視点を通して群像的に観察するのが非常に面白かった。
タイムループという異常事態に陥った直後、その不安・恐怖をなんとか誤魔化したくなるのか、しばらく『従業員』と『客』という役割をそれぞれ果たそうと努めていて、その姿が滑稽であり興味深かった。

それでも、正常な時系列という『秩序』が、タイムループという 『無秩序』に浸食されていくにつれて、その役割は徐々に破壊されていき、個々人の欲望・感情が露わになってゆく。
あれはまさに超自我からの解放そのものだった。『未来』という概念が崩壊するのと同時に、『役割』というシステムも存在意義を為さなくなっていたのだろうと思う。

そのまま自分中心的行動が際限なく加速し続けるかと思いきや、作家先生や猟師さんの死によって『良心』という名のブレーキがかかる。
そしてループ脱出手段の糸口が見つかれば、全員が一致団結して目的達成のために協力しあう。
これって、まさに人類が歴史の中で繰り返してきた流れそのものなんじゃないだろうか。「死への恐怖」「目的ありき」という人間の性質を、映画を通して垣間見た気がする。


もし自分が本作のようなタイムループにハマったらどうするだろう。
作家先生みたいに、一度は自殺を試してみそうではある。絶対。


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