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モグラのトッポス(・稿)2

 1086 文字

 暗闇に浮かぶ光り輝く赤い電光掲示板の温度計の数字は ー10℃ 路肩の木々の枝、低木、草原に付いた水滴は氷の球体になり、ダイヤモンド色のイルミネーション、神様からの贈り物。
 キャッキャ〜私だけの為のイルミネーションよ、キラッキラッ~ルンルン気分だが、痛い程寒過ぎ~。


 トッポスは皆が置いて行った食べ物をいつの間にか食べて、そして、いつの間にか眠り込んでいました。
 虚ろにジワジワと目覚めたトッポスは飛び起きました。
 あああっ ⁉ 眠ってしまったんだ、どの位眠っていたんだろう、眠っている間に虹色の海が出て来たかも知れないのにと、ひとしきりグチグチブチブチと自分を攻め頭を抱えてしまいました。
 そしてノロノロと巣穴から笹や草が生い茂る所にポコッと出てみました。
 
「よお トッポス 久し振りじゃぁないか今迄何していたんだ、お前の友達がたいそう心配して行ったり来たりしていたぞ」

 ウサギのビゴルはやつれたトッポスをジロジロ見ながら

「それにしても・・なんだよ~いつもの元気がないなぁ~、そんなんじゃぁ心配されても仕方がないかな」

「えっ 僕はそんなに心配されていたんだ」

「当たり前だろう 食べ物も食べないでジッと何かを見つめていりゃあ誰だって心配するだろうよ」

「そっか~」

「そっか~じゃぁないよ まぁ 頭は正常らしいな 話したい事があったら聞いてやってもいいけどよー」

 トッポスは思わずウサギのビゴルに不思議な虹の海の事を聞いみようかと思いましたが、待て待て、ビゴルは悪い奴ではないが口がめっぽう軽い、次の日には森の隅々まで話しは行き渡り、足が生えて頭は大きな怪物になってしまうのが関の山だろう。
 えっ と言う事は僕の事はもう既に超有名な話しになっているんだろうな・・・困りはしないけど

「なんだよ~俺をジロジロ見てー あ~分かった俺が色々話すと考えているんだろう ?」

 トッポスは慌てて首を振り

「心配してくれてありがとう 僕は元気だよ ほ~らこの通り」

 と言うと腕をバタバタ足踏みして見せた。
 その様子を見てビゴルは怪しいな~と思ったがトッポスの性格を知っているビゴルはひとまずトッポスの肩をポンポン叩いて

「じゃっ この所雨続きで今日は久し振りの曇りだけど、お天とう様が拝みたいよ、なんかあったら何時でも聞いてやるからな」

 ウサギのビゴルはそう言うとあっと言う間に茂みを飛び越え、見えなくなりました。
 トッポスはビゴルが走り去った方を見ながら、別にたいした事でも秘密でも何でもない様な気がして来た。
 ただトッポスはもう一度、あの虹色の海を見たかっただけだった。

つづく
 
 



 

#エッセイ

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