名前はまだないの独り教育再興戦略日記③

(1)GIGAスクール構想わくわく編①
前回の続き
 インターネットは、世界中の情報のスピードを格段に上げた。瞬時に世界中の情報を得ることができる。情報の広さ、速さはそれ以前とは比べ物にならない。今日、インターネットを使っていない大人の方が少ないのではないかと思う。朝、スマホで天気を確認し、出張先までの行き方を確認し、その日感じた出来事をSNSでつぶやいたり、気になったことがあれば、すぐに検索したりする。遠くにいる友人に、仕事の相手に、場所を移動するまでもなくコンタクトを取ることもできる。
 さて、wi-fi環境が整い、児童生徒一人一台タブレット時代に突入したとしよう。上記のインターネットの恩恵をそのまま児童生徒にも与えたい。もちろんできない理由を考えれば、数限りなく挙げることができるだろう。しかし、前々回も述べた通り、楽しい学びに使うという前提で話を続ける。
 例えば、国語の話す・聞くの単元において、自分の学校や町について調べ、発表するという定番の課題がある。クラスの友人に向けて、あるいは保護者に向けて、地域の方々に向けて……。教員が頭をひねり、児童生徒のやる気を引き出すよう、相手意識・目的意識を醸成する。が、結局はすでに知っている面々に、すでに知っていることと、ほんの少しの自分しか知り得ない豆知識を披露し合い、聞き合う展開になることが多い。
 これをGIGAスクール構想後の環境で行なうときにも、同じことを繰り返していてはもったいない。インターネットは遠く離れた町にいる、会ったことのない人と簡単に話ができる。例えば、暖かい地域の学校と、寒い地域の学校で発表し合ってはどうか。児童生徒は自分たちの地域を完全に知らない相手に紹介しなくてはならない。自分たちが当たり前だと思っている地域の日常が、そうではないと気が付く。相手にわかりやすく伝えるために言葉を吟味する。また、見知らぬ地域で生活する相手の発表を本気で聞く姿が想像できる。
 実現すれば、国語の学習にとどまらない。社会科の学習と、カリキュラムマネジメントしてもいい。それぞれの地域のくらしの工夫や努力を知る学習となる。また、外国の児童生徒と英語で紹介し合っても面白い。どのような英語を使えばよいのか、相手に伝えるための英語を本気で学ぶことになるだろう。日本国内でのコラボ授業、外国とのコラボ授業が、wi-fi環境整備によって実現する。子どもの学びの世界は一気に広がる。知らない人と話すのは、緊張するが、友達と一緒なら頑張れるという子も多い。
 また、教員にとってもメリットが大きい。教員は基本的に自分の地域のことしか知らない。それが悪いと言っているのではない。地域に密着し、地域社会の要として、地域の子どもを育てることこそが、教員の仕事なのだ。しかし、教員は隣の学校で何が行われているのかすら、わからないのが普通である。日本国内の様々な学校と、世界中の様々な学校とコラボ授業を行うことで、「狭い世界の常識」を簡単に壊すことができる。
 子どもも大人もわくわくする授業。GIGAスクール構想の達成によって、このわくわくを一層大きくすることが可能である。いや、そうしなくては意味がない。
2020年7月30日(木)

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