平和だから、豊かだから、ひとは無駄に考えそして悩む
平和で豊かな社会、便利な情報化社会は、『ひとが求めてきた理想の社会』のはずなのに、あろうことか ひとの心を病ませてしまう。
今よりも貧しくて、携帯もパソコンもなくて不便だった時代を生きてきた昭和生まれ世代と、ネットが普及しスマホがひとり１台持つようになった平成生まれの世代とでは、思うようにいかないことや苦痛に対する耐性の差があることを感じさせる。
（携帯がなかった頃は、意中の子（又は友だち）に連絡をとるのに自宅の電話にかける必要があり、親が出ることがあったのでかなり勇気がいりドキドキしたものだ。あと出かけてたりして居ないと、「また電話します」と言って早々に切り、話したい時にその子と話せなかったということもざらだった。今思えばなんて不便で手間な時代だったことだろう）
平和で豊かな社会になっていく過程で、
それまで不便で、手間で、時には不合理で、思い通りになることが少なかったことが当たり前の環境から、
便利で、選択肢が増え、多様性が叫ばれ、ある程度のものなら手に入る環境へと移り変わっていった。
また、教育における指導や、職場での教育が、愛のあるもの、愛のないもの問わず、体罰やハラスメントととしてひとくくりにされ過剰に問題視され撲滅されていった。
（ボクらが学生の頃は熱血教師がいた。特に体育の先生は怖かった。けれどその存在は口だけでは言うことを聞かない生徒が多かった（ヤンキーも多かった）学校にとって必要な存在だと思えた。親の手に負えない生徒を愛をもって指導した先生は、親に感謝されていたこともあったので、何でもかんでも禁止というのは正直少し行き過ぎを感じている）
そうなっていくうちに、ひとは「思いどおりになってしかるべき」、「私のこの権利は守られてしかるべき」という感覚なり錯覚を持つようになり、我慢することができなくなった。
これが顕著に現れているのが、増加傾向にある自己肯定感の低下、メンタル不調、ネットでの誹謗中傷、ストーカー行為、ちょっとしたことでの殺傷事件などだろう。
※東洋経済ONLINEの以下の記事に、もう少し詳しく同じようなことが書かれているので参考までに。
日々生きていくのに精一杯の狩猟時代、「鎌倉殿の13人」を観て大変だなと思う戦国時代、戦争に負け 這い上がることで団結･復興した高度成長時代、皆より良い生活と社会のために歯を食いしばって頑張っていたから、ちょっとしたことで悩んでいる暇はなかった。
また、近所や町内ぐるみでの助け合いもあって、人の繋がり、支え合いがあった。近所やいとこのお兄ちゃんが悩みがある時は聞いてくれたりもした。
けれど、今は平和で豊かだから、歯を食いしばって頑張らなくてもいい。
LINEなどで友だち登録はあるけれど、腹を割って悩みを話せる信頼する友人は少ない（又はいない）。
というのが現実ではないだろうか。
平和で豊かだから、
無駄に悩む時間が生まれ、
思いどおりになってしかるべき（私のこの権利は守られてしかるべき）感覚から攻撃的になったり、攻撃をされたり、
思いどおりにならなくて自己肯定感を低下させたり、
何が自分に合っているのか、何がやりたいのか、何のために生きているのか悩んだり
そうこうしているにメンタル不調に陥ったり。
そもそも「何のために生きているのか」を考えたところで、答えはない。
親が生んでくれたから、生きていく。
ただそれだけだ。
ボクたちは何かの目的や使命感をもって自ら生まれてきたのではない。
生を受けたから、生きていく。
それが生きものとしての本能だから。
ただ、ひとは他の生きものと違って脳がかなり発達している。
だから生きることを続けているうちに、後天的に自分の目的や使命感を強く抱くひともいる。そんなに抱かないひともいる。
人それぞれだ。
目的や使命感がなくても悩むことはない。
自分にとって大事なもの、夢中になれるもの、心地よいこと、を知るために生きていくこともアリだし、家族のために生きるのもアリだし、そんな中で何か生きがいを見つけれたらそれもアリだ。
何のために生きているのかと考えたところで、答えはない。
生きる目的や使命感が明確にあるわけでもない。
ただ僕は、生きているうちに いろんな所に行き、いろんな人に出逢い、いろんな物を食べて、いろんな経験をして、「ヒト」を楽しみ全うしたいなと思っている。
しかしボクが子供の頃の昭和から、令和の今、とても社会は変わった。子供の頃は想像もしていなかった世界が広がっている。
スマホや、Amazon、メタバース、5G、なんて子供時代の自分が聞いたら、びっくりするだろう。
そして人の繋がりがこんなに希薄になるなんて思いもしないだろう。
これから先、もっと世界は変わっていく。
そんな中で「ヒト」を楽しみ、「ヒト」らしい人情を大切に生きていく。
それが今言える、ボクの目的や使命感らしきものかもしれない。
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