23.06.2018|風土記

・テレビ朝日が嫌いです。
・ドラマも観ない。家にテレビないし。
・なのにこんなこと書きたくないんだけど、野生の広告屋的にあまりにももにょるので書きます。「幸色のワンルーム」について。
・書こうと思ってたら当該note消えちゃったよ。

・まずBPOというのはお上ではないので、その理念については広く共有してほしいところですね。

・テレビ局には「考査部」といわれる、またはそれに類する役割の部署があります。

・最初に挙げたフジの例がわかりやすいと思いますが、ドラマも収録前にすべての台本をチェックされ、細かく指導されます。//
“…最も注意しなければならないのは、犯罪や不道徳な行為を助長したり肯定したりすること。ドラマだから当然、『殺しのシーン』や『いじめのシーン』が出てくるが、“悪い事は悪い"と伝わるように描いているかというところをチェックする。 去年放送された『極悪がんぼ』では、劇中で主人公がお金を稼ぐため犯罪に加担しようとするシーンがたびたび登場した。そこで考査担当者からのアドバイスにより、主人公が台詞の中で、その行為が犯罪である事を強調するシーンが数多く盛り込まれた。さらにドラマのエンディングには、約20秒にわたって出演者が注意を促し、最後には注意書きまで加えた。”
・騒ぎになったnoteの人が求めたような配慮は、そもそも局の内部で指摘され、実装されるケースもある事案です。これ、ご存知だった方はどのくらいいるでしょうか。主張を真っ当なものにしたいなら、叫ぶ前に調べてほしい最低限の部分ではあります。※個人の感想です。
・テーマは誘拐、それはまあセンシティブな扱いも考えられていたでしょう。それなら寄せられるご意見に「やってます」と答えればいいだけだ、というむきもあるかも知れません。でも、なんの但し書きもなく「放送中止を求める」という過激なツイートばかりが流れてくるのを見ていると、「放送自体許さん!」という声が少なかったようにも思えません。※個人の感想です。
・BPOでも「ご意見」への総括が見られるので、どんな声があったのか報告があるかも知れませんね。注意して見ていようと思います。

・CMやインフォマーシャルの現場にいても思いますが、局考査は本当に厳しい。キー局だけだろ?とお思いかも知れませんが、キー局の考査が問題なくても地方でひっかかる、なんてことはザラです。作り手の言いたいことを一応全部入れて、考査の内容別にダメと言われたところを切っていく。「考査対応」といいます。最悪の場合、「何に効くのか言えない健康食品のCM」みたいな悲しいキメラが生まれる。

・考査を通った台本なら、なんらかの理念に基づいて制作が進められたはずです。制作現場も決してバカではありません。売れている漫画の中にはもっと手のつけやすそうな、怒られなそうな作品だってあるのではないでしょうか。いじめや虐待などのニュースが後を絶たない中、波紋を呼んだ漫画を敢えて選んだには、それなりの思いがあっただろうと思うし、たとえ企画会議の暴走だとしても、だとすれば余計に、現場は多くの懸念を持って描くはずです。
・そもそも、テレビ局は営利企業であり、そこで作品を作る人にはもちろん視聴率や売上といった数字が課されますが、ターゲットを設定してそこに訴求するものを作るために(熱意や誠意には個人差あるかもしれませんが)伝えたいことの骨子は完成前に示されます。(企画会議で言っとけよ!みたいな仕上げのタイミングで指摘が出てくるとヴァーとなりますが、できる限り対応します)
・手足となって働いているアシスタントや外注さん達だって、仕事だから一律思考停止しているわけでもない。これが社会でどんな意味を持つのかなど、個人の中で思うところはあります。長い時間をかけて作っていくのだから、完全に無で作業し続けることなどそうそうできません。
・美学や倫理観に反する案件であっても、納品物として割り切ってクオリティ上げに精を出す人もいるけど、そうであれば余計に、「どう伝わるか」にはとても神経質になります。いろんな人と仕事したし、ほんとクソだなと思う人もいましたが、私からすれば「そんなんどっちでもいいのでは…」と思うような枝葉末節までこだわる人は多い。
・また、制作を決め、発表されるに至った以上は、賛同する企業もあり、オファーを受ける役者さんもいたわけです。すごく不思議なのは、それだけの関係者が、そして放送中止の要望を批判する人達が、全て「金目当て」「何も考えていないバカ」なのですか?人数を考えても、ちょっと現実的ではないと思います。その人たちにはその人たちの言い分や正義、何より全く違う世界観があるだけだと考えた方が、いろんな意味で賢明だと思います。
・いつも思うのですが、こうした規制要求を見るだに、表現者の側の人格や見地を全く認めない発言が多いので、反対派には余計広まりにくく、軋轢を生みまくっているように思います。そろそろ学んだらどうか。
※個人の感想です。

・ところで、7月放送とのことです。
・ワンクールは通常、13回の放送になります。
・30分のドラマの撮影、いつも1ヶ所で、リアルタイムぐらいの時間で終わると思いますか。
・翌週の土曜に放送される分を、1週間前から撮影編集で事足りると思うのでしょうか。(実際には、スケジュールに貯金を作っておけるのは前半ぐらいのもので、放送終盤はいつも死人が出るのじゃないかというデスマになるのが多くのドラマです、深夜帯などお金がなければよけい)
・原作があるから、全13話、脚本も2、3日でチョチョっと書けるぜ!というイメージですか?脚本=台本だと思いますか?
・さて、ドラマ化が発表されたのは3月です。どのぐらいお金と人が動いて、どのぐらいのスケジュールが押さえられたあとでしょう。
・関東圏を中止しただけでも、英断だと思います。制作局で流しても回収は危ぶまれるかもしれない。突っぱねた場合との利益衡量で下した判断かもしれませんが、制作会社やキャスト、様々な外注さんのクルーに影響が及びます。きちんとギャラが支払われるのか、現時点では心配。

・そういうこと、考えましたか?
・それがどうした?加担した奴が悪い、自業自得だろ?と、言い切ってしまえるような、明白な「悪事」でしょうか。これ。踏み切ったからには、問うてみる価値があると思う人が一定数存在するだけの、「難しい問題」なのです。共有できない人間が人でなしなわけでも、頭が悪いわけでもない。ただ、考え方が違うんです。
・はるかぜちゃんに賛同を示したファン、原作ファン、表現の自由に重きを置く人達、そういう人達が「何も考えてない、わかってない、指摘する私たちの方が賢明で十全に正しい」と思うとしたら、かなりの認知の歪みが懸念されます。他人はそんなにバカではない。一定数の人が反対意見を述べるようなことは、「自明」で蹴っ飛ばせるようなことではないですよね。
・どんな見地にも極端でダメな一派はいます。殴りやすい声だけを取り上げて、自分なりに考えている人たちの言葉を無視するの、誠実な態度とは言えないし、自分の正しさを信じている人のふるまいにも見えない。

・商業でモノを作っている人達の表現を、ナメないでください。数字に縛られる中で、「これをテーマに作れ」と上から言われる中で、どんな表現ができるかを真剣に考えています。
・「人気にあやかってなんのリスクヘッジもせず、ホイホイ単行本化したり実写化したりしてんじゃねーぞ」。なるほど承りました😊
※感想には個人差があります。

・一番しょうもないなと思ったのは、「掘り下げが足りない、作品のできが悪いから社会問題を扱うに値しない」みたいなアレで、私が書くと罵詈雑言になりかねないので、とても感銘を受けたスレッドをぶら下げておきますね。


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