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カレーの歌

昨日。絶対に笑ってはいけない急な仕事で東京に来たので、在京の幼なじみ(以下、相方とする)と神保町でカレーを食べた。私にとっては必要のない情報なので、性別は伏せておくことにする。それだけで想像にだいぶ困難を抱えるというのだから、世の中の大多数の人はそりゃたいへんですね、と思う。
東京あったけーな。

有名店らしい。TLで友人にすすめてもらったのだけど、写真をあげたら別の友人やフォロワーさんからもリアクションが来た。美味かったですよ。
メニューを見て、カレーの包容力すげーなー、というステレオタイプな話をする。何入れてもだいたい美味いもんな。そして、この場にいない第三の幼なじみ(料理下手なのにチャレンジする)が、隠しきれない隠し味としてカカオ100%のチョコレートをブチ込み、修復不可能にした奇跡のカレーの思い出話をする。
食前のじゃがいもを食べすぎると後で後悔するよ、と、すすめてくれた友人から忠告をもらっていたのに、我慢できず食べてしまった。本当に後悔した。

それにしても、と、食べながらふと相方が言った。カレーはまあ嫌われないが、それでも苦手な人はいるし、具材はどうあれ米の方をつっこむかルーをかけるかで戦争になったりするのだから、死角がないわけでもないんだよな、というようなことを。
理系はすぐそういうことを言う。この場くらい、世界平和の象徴にしておけばいいものを。

しかし、なぜ戦争になるのかね?
食ってる時の見た目が汚いとか?
どっちも汚いよな。 
何をもって汚いとするかなんて不確かなものだしなあというような話に着地する。だいたい、この人間と話すとこんなことばかり言っている。
本当にカレーを食べに来ただけなので、神保町の駅で別れた。中途半端な時間で、その割に随分混んでいた。

「ミッドサマー」がAセクに向いてないってなんで誰も教えてくれなかったの!とインターネットが盛り上がっていることに、帰ってきて気づいたんですが、これはもう主語デカ問題もありますけど、あれだけ古典的な集落で「繁殖できないと生きられない」っていう規範がない方が怖くないです?だって人間は生物だからね?その部分も加味して気持ち悪がるための効果ではないの?と思ったりもした。というかあの村は生殖できるシスヘテでも怖いでしょ。まあ感想は自由だ。
どっちかといえば、他人の色恋は好意的に見れる、フィクション恋愛モノもあなたと一緒に楽しんでいる、そんな私たちはいつも隣に埋没していますよ、という感じで世の中を鑑賞してもらった方が多様性マターなのではなかろうか。あの映画/小説/漫画/ゲームその他の指向が最後まで明らかでなかったあの人は、ひょっとしたら「無色の人」かもしれませんよ。
見たくもないという人もいると思うけどね。

そんなことより、AセクAロマのステレオタイプを描いた周知用の漫画に「女がみんなクズに描かれてて、あーまたかと思った」と言ってるフェミニストの人を見てゲンナリしましたね。いやホントお前がまたかだわ。
非常に面倒くさいので手短に済ませますけど、AセクAロマの男性身体の方を描く時、直接の加害者がシスヘテロ女性になり、無理解だけど辛うじてカムアウトなしでもシェルターとして機能するのがシスヘテロ男性になりがちだというのは、普通に考えたら当たり前だと思うんですよね。
ひっきりなしにやってくる無数の加害者の描写に個性と事情を与えよ、たまにはいいヤツに描けというの、なんかすごいっすね。これ女性身体だったら全く逆の構図になるだけで描き方がそう変わるとも思えないんですけど、その場合全く文句が出ないだろうことを考えても、女性身体者以外のことは本当にどうでもいいんだなと感心しました。長くなってしまった。

あの漫画で言えば、当事者以外を勢いよく周縁化する割り切った描写をしていたと思いますよ。友人のボンクラさだって相当でしょ、あんなヤツいねーよ。


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