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検閲に関するコモンセンスの重要性:子どもたちと禁書

米の保守メディアTownhallの記事抄訳

誰だって「検閲者」などと呼ばれたくはない。
けれど、12歳の少年が書店にやってきて、女性のヌード写真集を買おうとしたとしても、性的に露骨な内容とわかっている本の販売は、法により禁止しされている。

純真無垢な子どもたちを守るため、文明社会において、ある程度の検閲法や規制は必要である。
もっとも、アメリカ図書館協会の知的自由オフィス(OIF)のデボラ・コールドウェル=ストーン所長は、「読者にとっても、レファレンスを担う職員にとっても、現代は危険な時代です。読者、特に学生が重要な情報にアクセスできなくなりつつあります」と述べ、異論を唱えている。
コールドウェル=ストーンのような活動家や、ALA(賞の授与や、図書館の蔵書選定を担う組織)は、2022年9月18日から24日までを「禁書週間」と定め、積極的に活動している。
"本は人をつなげる、検閲は分断する"という理念のもと、全米の図書館を対象に、禁止書籍の特別展示を推奨するものである。

ALAは、子どもが露骨な内容にアクセスすることを禁じる検閲法はすべて不当であると主張するのだろうか?
もし彼らが、冒頭で述べたように、12歳の少年のヌード雑誌購入を許可すべきだと主張するならば、少なくとも彼らは論理的に——堕落しているとしても——一貫している。コールドウェル=ストーン氏は、子どもたちがこれらの書籍へのアクセスを阻害されることで、「重要な」情報を得られなくなると指摘している。
果たして、ポルノは子どもたちにとって「重要な情報」になりえるのだろうか?

OIFのリストにある禁止書籍のトップ10は、すべてとは言わないまでも、ほとんどがポルノである。子ども向けの書籍を検閲することなど、親の知らないところで、生徒がとんでもない資料にアクセスできてしまう状態になるまで、筆者は考えたこともなかった。
たとえば、禁書週間の議長であるジョージ・ジョンソンは、2021年のリストの第3位にランクインした『All Boys Aren't Blue』の著者である。
この本には、13歳の少年が17〜18歳の従兄に痴漢され興奮している様子が、9ページにもわたって目をそらしたくなるほど克明に描かれている(p.199-207)。最も不適切な児童書の第2位を飾ったのは、ジョナサン・エヴィソン著『Lawn Boy』だ。この本には不適切なシーンが数多くあるが、そのひとつに、主人公が10歳のときの性的接触を詳細に語るというものがある。

もし僕が他の男のペニスを触ったと言ったら?それを吸ったと言ったら?...そのとき僕はもう4年生だったし、そんなのはたいしたことじゃない。彼も僕のをしゃぶってくれたよ。

(p. 91)

1位にランクインしたマイア・コバベの『Gender Queer』は、ポルノシーンがいくつも描かれた絵本である。オーラルセックスやオナニー、そして主人公とその恋人との詳細な「セクスティング」メッセージがコミック調で描かれている。

早く君のアレをしゃぶりたい。君の人生ごとフェラチオしてあげる…挿れてほしい。

(p.167)

他の本と同様、『Gender Queer』も全国の中学校の図書館に置かれている。コールドウェル=ストーン曰くの「重要な」情報というものを、本書をはじめリスト内の多くの本から見つけることはできなかった。

誤解しないでいただきたいのだが、異議を唱える親たちの大半は、ALAがほのめかすような、著者や主人公が黒人/LGBTQIA+だからという理由で声を挙げているわけではない。
2021年12月、コールドウェル=ストーンは、「人種やジェンダーの多様性に関する本を排除しようとするこれほど広範なアクションは見たことがない」と述べたが、重ねて言うと、私たちは公立学校の図書館にある白人の異性愛者のポルノにも、黒人の同性愛者のポルノにも、等しく反対しているのである。
そうした偏見に満ちた論難は、本当の問題から社会の注意を逸らすためのものだろう。12歳の子どもたちが近所のコンビニでポルノを売ってもらえないのだから、公立学校の図書館でポルノへのアクセスを禁じるというのは、至極当然のことではないだろうか?

ALAの次期会長であるエミリー・ドラビンスキーは、「マルクス主義レズビアン」を自称し、これらの禁書は不合理であると主張する。注目すべきは、米国の教育委員会に大きな影響力を持つ、アメリカ教員連盟の組合長ランディ・ワインガーテンが、ドラビンスキーを支持したことである。要するに、ALAと教員組合は、子どもたちが学校でポルノに触れることができるようにするために協力しているのだ。

本当に禁書の歴史を記念するのであれば、ジョージ・オーウェル『1984 』の読書会でもひらいてみたらどうだろう。公立学校が親の権利を蹂躙し続ける現状にあって、肥大した政府という権力の危険性について、皆で考え直すべきだ。

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