好きな安全地帯の歌詞 1
安全地帯とは、玉置浩二(昭和のスーパー色男)率いるロックバンドです。玉置浩二は歌詞を書けなかったので昔の安全地帯の曲の歌詞はほとんどを松井五郎という職業作詞家が書いています。
松井五郎は玉置浩二とは対照的な落ち着いた雰囲気で小説家のような人です。安全地帯の歌詞は浮気や一夜の恋を匂わせるような大人っぽいものが多いのですが、好色めいている玉置浩二の私生活を妄想して松井五郎が書いたと思うと1番心地よく聴けます。(玉置浩二が書いて玉置浩二が歌っていたら生々し過ぎるし、松井五郎が書いて松井五郎が歌っていたらフィクションが過ぎる。)なのでものすごくちょうど良いバランスなのです。他にも井上陽水や松尾由紀夫なんかも書いてます。
❶ワインレッドの心(作詞 井上陽水)
彼氏(元カレ?)の相談を男にする女。男は女のことが好きなのでそんな男忘れろよとワインを飲ませて迫るけど、女は一向に靡かない。
ワインレッドの心とは、一時の浮気心のこと。いつまでも燃え続けたりはしない。一気に燃え上がって一気に消える。だから"消えそうに"燃える。
透き通った瞳とワインレッドの心が彼を思い続ける一途な気持ちと浮気心の対比になっていて、最後はその透き通った瞳にワインレッドの心を写しだしてみせてと言って終わります。帰るか、寂しさを紛らすために抱かれるかという葛藤をここまで妖艶に表せるのは流石は井上陽水だと思います。
この歌、スナックでおっさんが歌う歌No.1だと思うんですけど、玉置浩二以外のおっさんが歌ってたらちょっと引いてしまう。
❷デリカシー(作詞 松井五郎)
1985年リリース。1985年にもう意味深という略語があったことに驚き。清く正しく育てられ、付き合う人も親にあれこれと口を出されてきた箱入り娘が、初めて知った乱れた世界の虜になってしまうみたいなイメージ。綿矢りさの小説に、若い頃からモテすぎたあまりに最終的に自分を全く大切にしてくれないDV男と結婚した女の話があります。可愛いね、美人だねと、行く先々でVIP待遇を受け続け、もてなされることに慣れすぎた結果、タトゥーを入れることを強要されたり、都合の良い道具の様に扱われたりすることに愛情を感じてしまうようになった女。それでも本人は過去の何時よりも良い笑顔だった、という話。それと似た世界観だと思ってます。
「デリカシー」という言葉選びが好き。彼女の壊れてしまっているもののは人格とか貞操観念とか真面目さとかそんなんではなく「デリカシー」なのです。デリカシーという言葉は普通あるか無いかという文脈で使われると思うんですが、人それぞれ、違う繊細さを持っていると思います。だから一概にデリカシーがある人、無い人で語るのはおかしいと思うんですよね。
傷つきたがる、もう後先の無いデリカシーを彼女と私は持って「いる」んです。そこが好き。
こういう歌詞や小説は好きなんですけど、現実の浮気とかは苦手です。ロマンスはフィクションの中でだけ楽しみたいので。(だからこそ前述の通り、松井五郎が書いて玉置浩二が歌っているというバランスがとても良い)
長いので一旦やめさせてもらいます。
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