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第9話「光る石と宙の竜」

<<宙の猫島(そらのねこじま)の物語>>
『宙の猫島』では、昔ばなしの要素をたくさん取り入れて、心の中のどこかにある実りのある豊かなイメージを象徴的に描いています。できれば何も考えずに『宙の猫島』の物語や絵を楽しんでください。『宙の猫島』はいつでもみなさんを歓迎します。

<<ストーリー版の配信について>>
「宙の猫島」は天空の島で暮らす7匹の猫の物語です。毎週金曜日に1枚の新作絵画をアップロードします。4枚の絵でひとつの物語になっています。4週目に作者・なかひらまい が書いた物語をアップロードします。絵と一緒に摩訶不思議な物語を楽しんでください。インスタグラムのフォローもよろしくお願いします。
●ストーリーのまとめ読み:https://note.com/7cats/m/m8d855af0c689
●インスタグラム:https://www.instagram.com/soranonekojima/

<<スマホ用の壁紙をフリーダウンロードできます>>
気に入った絵があったらスマホ壁紙をダウンロードしてください。画像を長押するか、PCの場合はマウスの右ボタン(Macはcontrolを押しながらクリック)で画像を保存できます。皆さんの日常に7匹の猫を連れ出してください。

<<マンガ版『宙の猫島(そらのねこじま)』>>
『宙の猫島(そらのねこじま)』のマンガ化プロジェクトです。ストーリー版を作者自ら脚色してマンガに落とし込みました。4枚の挿絵はそのままにアート(絵画)とマンガのコラボレーションを楽しんでください。
●マンガ版『宙の猫島』のまとめ読み:https://note.com/7cats/m/m455cd21fe3c2

<<毎月、額装用の絵画をプレゼント>>
宙の猫島(そらのねこじま)のメールマガジンでは毎月額装用の絵画をプレゼントしています。絵をダウンロードして額装し、お部屋のインテリアとして使ってください。額装の仕方はメルマガ登録フォームのあるオンラインショップサイトに掲載しています。IKEAの10✕15cmの額にちょうどいいサイズにプリントアウトできます。
●メルマガ登録URL:https://mainakahira.base.shop

絵と文:なかひらまい

なかひらまいプロフィール:作家・画家・昔ばなし愛好家・ユング心理学研究会理事・多摩美術家協会会員。著作は『スプーの日記』シリーズ3部作(トランスビュー刊)。千年の間、口伝のみで伝わってきた紀国の女王伝説の謎を追ったノンフィクション『名草戸畔 古代紀国の女王伝説』、毎日新聞大阪本社版に連載された童話『貝がらの森』ほかをスタジオ・エム・オー・ジーより刊行。ハンドメイドの絵本「小さな絵本」や『宙の猫島(そらのねこじま)』などオリジナル作品を随時発表している。
Contact:info@studiomog.ne.jp

「光る石と宙の竜」〜その1
「光る石と宙の竜」スマホ用壁紙〜その1
「光る石と宙の竜」〜その2
「光る石と宙の竜」スマホ用壁紙〜その2
「光る石と宙の竜」〜その3
「光る石と宙の竜」スマホ用壁紙〜その3
「光る石と宙の竜」〜その4
「光る石と宙の竜」スマホ用壁紙〜その4

第9話 光る石と宙の竜

 地下の妖精からもらった巾着袋からは、まだまだたくさんの光る石が出てきました。
「そろそろ出なくなると思うのだけど、まだ出てくる」
 キキがいいました。
 7匹の猫たちはどめどもなく出てくる石を、どうしたものかと思うようになりました。
「光を集めるすてきな石を、自分たちだけでこんなにたくさんもっていてもつまらないね」
 リリがいいました。
「島のみんなにプレゼントしたらどうだろう」
 モモがいいました。
「それはいい考えだ。そうしよう」
 ココもそういいました。
 猫たちは石を持って、島のあちこちに出かけて行きました。今まで出会った桃の木の妖精たちや明るい林に住む妖精たち、森の洞窟の妖精たちに、たくさんの鳥や花や魚など島に住む生き物たちみんなにひとつずつ石を配っていきました。
「まあ、すてきなプレゼントをありがとう」
 妖精や生き物たちはとてもよろこびました。みんなが光る石を手にするとまるで島全体が光かがやいているように見えました。

 とうとう最後のひとつを配り終えると猫たちの部屋はスッキリと片付きました。猫たちは島のみんなと同じようにひとりひとつずつの石を持つことにしました。
「これで十分だよ」
 ココがいいました。
「これで、すべての仕事が終わった。ばんざーい!」
 キキはそういうと巾着袋をもって両手を上げました。その時、ついうっかり袋を逆さに持ってしまいました。「しまった!」と思った時にはもうおそく巾着袋からドドドという音とともに何かが出てきました。
 それは見たこともない大きな竜でした。
「猫さんたち、こんにちは。やっとこの小さな袋から出られたよ。どうもありがとう。では、これにて失礼いたします」
 竜はそういうと、空高く舞い上がって行きました。

 猫たちは大空を行く竜を呆然と見送りました。猫たちが急いで外に出てみると、ゴウゴウと風が吹き荒れ、空は昼間なのにお日さまが隠れて薄暗く、ゴロゴロと雷も鳴っています。
 そのうち、不思議な風が吹いて、島中に配ったたくさんの光る石をくるくると空に巻き上げていきました。猫たちの石も空に吸い込まれてしまいました。空の上では竜がガツガツと石を飲み込んでいます。
 猫と島の妖精と生き物たちは、嵐の中、ブルブル震えながら家に隠れてじっとしていました。

 お日さまがすっかり隠れて真っ暗な夜になりました。
 竜は暗い宙に向かって飲み込んだ石を吐き出しました。そして、どこかに飛んでいってしまいました。
 すると、猫の島のまわりにたくさんの小さな島が生まれました。
 お月さまは、遠くからその様子を眺めていました。

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