ドコモハッカソン参加ログ
以前ドコモハッカソンに参加しました。せっかくなので今後参加する人のために記録を残しておこうと思います。
はじめに
現在はてなブログから記事の移行をしているので、記事が重複している点はご容赦ください。また、読みにくい部分や変な表現で書いている部分は元記事から修正して書いています。
聞きたいことや疑問などありましたらコメントを書いたりTwitter(@_7cancer)にアクションをもらえればと思います。
応募したきっかけ
研究でプロペラディスプレイを球体にしたいなぁ...と思う機会がありました。調べてみると、ドコモが出しているとのことでした。
しかもこれなら、内側のドローンによって飛ばすこともできる...つよい。
それまでの僕は、「ドコモと言ったら通信キャリア」というイメージしか持っていなかったです。そのためHCI系の研究もしていることが当時の僕には衝撃でした。
これがきっかけでドコモに興味を持ったので応募してみました。
ドコモハッカソンとは?
以下のリンクから詳細を見ることができると思います。
NTT docomoが主催するハッカソンで、3日間かけて行われます。
実際にやる内容はほかのハッカソンと同じです。学生でグループをつくり、メンターが付き、テーマに沿ったアイデア出しからプロトタイプの実装まで行います。
概要
自分が参加したハッカソンは、2019/9/18~20で開催されました。会場はドコモ・ベンチャーズのオフィスであるアーク森ビルでした。
学生側は30名ほど参加していて、各5人程度の6グループに分けられました。それぞれのグループにはメンターの社員が付く形式でした。ハッカソン中はこのグループで活動していくみたいです。
ハッカソンのテーマは「2021年 世界的スポーツイベントが開催される時代に、社会をワクワクさせるようなサービスの提案」でした。
シナリオとしては、学生グループがスタートアップ企業を運営しており、ドコモへコラボを提案し共に社会をワクワクさせよう!という設定で進めていきました。
スケジュール
3日間の大まかな流れとしては以下のような感じで進行していきました。
- 1日目: アイデアソンと中間発表
- 2日目: プロトタイプ実装
- 3日目: コラボレーションのプレゼンと懇親会
せっかくなので、この記事では1日ごとに記録を書いていきたいと思います。
1日目: アイディアソンと中間発表
まずはドコモ側であらかじめ決められていたグループ内で自己紹介を行い、企業名を決めました。僕のグループは自分を含めて修士の学生5人で組まれました。企業名は「インフルエンサー」となりました。
このときの僕は、行きの電車で空前絶後の腹痛に見舞われ遅れてしまいました(本当にご迷惑をおかけしました...)。
この後に、ガイダンスや考え方のヒントなどを講義してもらいました。特に考え方のヒントでは、マーケティングで用いられるペルソナ分析の利点ややり方、コツなどを、例を挙げつつ解説してもらいました。この時点では、「テーマが2年先の未来に関してだし、ペルソナ像をどう設定するかが肝になるのかなぁ」くらいのふわふわしたことを考えてました。
そして講義が終わり、3日間メンターをしていただく社員の方が加わり、お昼休憩を挟んだのちにいよいよアイディアソンがスタートしました。
# アイディアソン
思っていた以上にグループメンバーの専門分野が違ったため、まずはメンバーの思う2021年のイメージを共有するためにブレストをしました。そこでざっと出た意見としては、「訪日外国人が増えてそう」、「満員電車が今以上の混雑になってそう」などが挙げられました。
そこからさらに発展させて、2020年の東京オリンピックの開催や2025年の大阪万博などのタイミングから見て、訪日外国人は重要そうだという流れになっていきました。
ある程度意見が出そろってまとめると、2021年のイメージは「日本に来たい外国人が増加している」「VRデバイスが一般に普及して誰もがHMD持っている」の2点になりました。
ここからさらに話し合いを続け、メンターのアドバイスをもらいつつ練りこんでいきました。最終的にペルソナ像は「日本食に興味があって訪日したい外国人」、提案内容は「日本食の香りを体験することができる、HMDの香りアタッチメント」としました。
# 中間発表
アイディアソンでの内容を丸めて中間発表をしました。
当時はペルソナ像の提案内容も根拠が甘くふわっとしていたのでかなり緊張して臨みましたが、意外に評価は悪くなかったです。
指摘された点に関しては、
- ワクワクするか?
- もっと掘り下げたほうがいい
- HMDで何を見たら面白い?
- 何を見せたいのかがわからない
- これを利用した時に、利用者は何をメッセージとして受け取るのか
- もっと状況を掘り下げるべき
- もっとオリジナリティが欲しい
- コンパクトにまとまりすぎている
といった指摘をいただきました。
このとき、「本当にワクワクするのか?」という問いに対して「間違いなくします!!」と答えられなかったことが悔しかったのを覚えています。
思い返してみると、ドコモとインフルエンサーがコラボした時のメリットや理由の方ばかり注目していて、顧客(ペルソナ像)目線をないがしろにしていたんだと気づきました。
# 1日目のおわり
中間発表で指摘されたことが提案内容のコアな部分ばかりだったので、1からやり直すとしたら完成しなくなってしまいます。そこで、香りアタッチメントの実装を進めつつ、そこに着地するようなシナリオを考え直してみることにしました。
といっても、おそらく2日目は、実装・スライド制作・発表練習で寝られるかわからないので、早いところ帰って寝ました。
2日目: プロトタイプ実装
この日はまるっと実装にあてがわれていました。朝に会場へ集合すると全体連絡もほどほどに行い、すぐに自由な作業時間に入りました。
1日目の中間発表で指摘された点に関しては、有効な案が出なかったのでひとまず変えずに進めていくことにしました。
# プロトタイプの開発
実装目標は日本の食を香りで体験できることなので、モデルとしては「箸で料理に触れる → 香りを運ぶ風を生成 → ユーザーは香りを楽しむことができる」というものを想定して進めていきました。また料理としては匂いに特徴のある日本の名産品「納豆」を使うことにしました。
以上から開発のゴールは、VR空間で納豆を混ぜると現実空間で匂いを含んだ空気が送風されるところまでとしました。
メンバーにVRの研究をしている学生(以後F君)がいたので、F君と僕で実装の舵をとっていきました。物理デバイスが必要だったので電子工作を少々して、UnityでVRアプリケーションを作っていきました。
VRアプリケーションの方は、Oculus(HMD)を使って実装していきました。こちらの実装はF君が主体となって行い、グループメンバーに指示を出したり分業しながら進めていたみたいです。最終的に、VR空間で納豆を混ぜたときに物理デバイスへ信号を送るアプリケーションを作ってくれました。
デバイスの方は、ESP32(マイコン)を使って実装をしました。こちらは僕が主体となって進めていきました。動作としては、VRアプリケーションから送られた信号を受け取り、ファンを回転させて香りを送出する風を発生させます。
以上のようにインフルエンサーは実装を進めていきました。ですが、ほかのグループはドコモAPIやらAWSやらを使ってウェブアプリやスマホアプリを作っているみたいで、ハードウェア的な実装をしているのはうちだけでした。
また、実装するにあたってドコモ側が用意してくれたデバイスもいろいろありました。(ステッカーを集めるのが好きなのでほくほく顔でいただいて帰りました。)
# ペルソナ像と提案の修正
プロトタイプの開発を進めながらメンターと方針のディスカッションをしました。
3日目のプレゼンで重要なのは「ペルソナ像が適切であるか」と「ペルソナ像に対して有効な手段を提案できているか」ということなので、きれいに一貫性を持たせて説明できる必要があります。なので、その部分に関して何度も練り直し考えては話し合いました。
結果的にどうしてもペルソナ像を日本人にしたほうが話の流れがスムーズになると感じたため、そのように変更することにしました。ペルソナ像を変更したことによって、シナリオももう一度練り直した結果「地方の食に興味がある、首都圏に住む若者」 となりました。
プレゼンでは、ドコモが既に運営しているふるさと納税のサイトを例に出し、既存サービスの体験を向上できる点をアピールしていくことにしました。
# 2日目のおわり
夕方の終了時間間際にレッドブルを支給してもらいました。(深い意味はないですよね...?)
形式上の終了前にメンターから、「もう一回2年後のイメージを固めなおしてみては?」と意見を頂きました。自分も掘り下げが甘いと感じていたため、終了後にメンバー全員で1階のスタバに集まり前提部分を練りました。
また、実装がかなりきわどかったので、家でもできる作業を進めました。(思ったより寝れました...)
3日目: コラボレーションのプレゼンと懇親会
ついに最終日を迎えました。この日の正午がプロトタイプ、スライドともに締め切りとなっていたため、どのグループも時間ぎりぎりまでデモの準備や発表練習をしていました。
うちのグループも、各メンバーが自宅で進めた進捗をマージして動作確認を行っていました。また、前日に練り直したペルソナ像を固め、スライドに落とし込みました。そして最終発表で見せるデモの練習をしました。デモは寸劇の形式でやることになったので、セリフ合わせも行いました。
# 発表大会
正午で締め切りを迎え、お昼ご飯を頂いてからついに発表大会が始まります。発表では審査員がいるらしく、話し合いで優勝グループが決められるみたいでした。
優勝景品は(確か)embotでした。
形式は、発表時間10分、質疑5分と丁度いい長さで実施しました。
順番決めの結果、インフルエンサーは2番目だったので(先にほかの発表を見れるぞ...)と思ってたら、トップバッターからレベル高くて余計に緊張が増しただけでした。
それでも頼れるメンバーのおかげで、何事もなく発表も終わりゆったりと他グループのプレゼンを聞くことができました。
やっぱりハッカソンだからか、LTみたいな雰囲気でやってるところが多かった印象でした。インフルエンサーは研究者よりの人が多かったからか、テンションが学会発表のような空気感でした。
みんなデモでアプリ画面を見せているのに対して、うちはプロペラを回していました。(シュールすぎる...)
そうこうして楽しんでいるうちに、いつの間にか全グループが終わっていました。1グループだけ、PCとの接触が悪くてデモをうまく見せられなかったですが、プレゼンや前撮りした動画でカバーしていてスキルの高さを感じました。またどのグループも、面白い提案をとても魅力的に語っていたので発表中もずっと楽しかったのを覚えています。聞いている側も楽しめる工夫がされていて、自分のプレゼンにもぜひ活かしていきたい貴重な経験ができたと思います。
結果としては、残念ながらインフルエンサーは優勝を逃してしまいました。
メンターの方が一番悔しそうにしていたので、それほど本気で向き合ってくれていたんだと改めて実感しました。
発表が終わったのちに、各グループで振り返りを実施して、ハッカソンは幕を閉じました。
# 懇親会
最後にメンターや人事、審査員の方や他の学生たちと懇親会をやって解散しました。普段は結婚式場として使われている会場(?)で料理やお酒をふるまってもらいました。僕は、人事の方の就活の話や、思いを伝えてもらえたのでとても参考になる話を聞けました。
おわりに
この3日間がとても短く感じるようなハッカソンでした。
今回のハッカソンでは、大学で意識したことのなかった 「顧客(ペルソナ像)目線」を常に考えながら取り組みました。
この経験は、自分にとってとても新鮮なものに感じたので、これだけでも参加した価値があったと感じます。
また、ディスカッションを行っている際に、「顧客はワクワクしてくれそう?」、「ここの根拠が弱いんじゃない?」とメンターが何度も聞いてくれました。この客観的な視点は研究でも意識しているつもりでしたが、まだまだだと実感したので、これからは一層意識していこうと思います。
メンターの方は、夜遅くまでアドバイスしてくれたり、スライドに詳細な指摘をしてくれたりと、非常にお世話になりました。
最後になりましたが、ドコモハッカソンに参加してたくさんの気づきと経験を得ることができました。主催していただいてありがとうございました!