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SUPER LOVERSと過ごした青春

最近Instagramで「SUPER LOVERS」を見かけるようになって懐かしさMAXになったので、SUPER LOVERSの思い出を語りたい。
SUPER LOVERSと今も好きなカルチャーの話。

https://www.instagram.com/superloverstokyo/?hl=ja


私が中学生だった頃、世は安室ちゃんブームだった。コギャル文化に馴染めなかった私の愛読雑誌はPeeWeeとCUTiE。そういう子が目指す先は、BETTY'S BLUE、HYSTERIC GLAMOUR、OZONE ROCKS…

なかでも私はSUPER LOVERSがお気に入りでよく見に行った。その日いつものように大好きなSUPER LOVERSに向かうと、聞き覚えのある曲が流れてきた。

あれ、これもしかして電気グルーヴ…?

大好きな電気グルーヴ!!!当時youtubeはまだなくて、私はスペースシャワーTVでMVをみまくる日々を送っていた。96年頃スペシャで電気グルーヴのShangri-Laがパワープッシュされており、とにかくShangri-LaかCHARAのやさしい気持ちの2択!って感じで放送されていた。スペシャの世界では誰もが知るShangri-Laだったけど、発売当初はまだそんなにヒットしてなくてクラスの子は誰も電気グルーヴを知らなかった。

大人になるにつれカルチャーは横のつながりがあって、影響を受けあっていて、結構な頻度で自分の好きなもの同士が繋がることが分かったしよくあることになった。でもその時はそれが初めての経験だったから、大好きな電気グルーヴのライブ映像が大好きなSUPER LOVERSのテレビデオから流れていた衝撃は今も忘れられない。

夢中でテレビデオを眺めているとショップのお姉さんが声をかけてくれた。「電気グルーヴが好きなの?」

その人はクール目の美人なお姉さんで金髪刈り上げボブにボディピアスをたくさん開けていてた。芋中学生だった私はそのオシャレさにビビリ倒しながら頷くと、めちゃくちゃ気さくに、私も電気好きなんだ!と笑いかけてくれた。いつからファンなの?と問われShangri-Laから好きになったなんてニワカすぎて恥ずかしい!!と思いつつ正直に話すと、ああグリラーね!と笑顔で返してくれた。芋中学生にも優しいショップ店員さんって神…?新規にも優しい古参のお姉さんって最高すぎませんか…?そしてグリラーとは…

それからSUPER LOVERSの洋服はお姉さんがいる時にしか買わなかった。お姉さんからくるDMがとても楽しみだった。ショップで自分担当の人がつくというのが初めての経験だったのでものすごく嬉しかった。何度も何度もお姉さんに会いに行った。会いに行くたびに卓球と撮った2ショットの写真を見せてくれたり(中学生にとってそれは衝撃的すぎた)、買わない時でもノベルティのステッカーを内緒でくれたりした。

SUPER LOVERSが毎年だすチェックパターンのスーツが憧れで大人になったらあれを着てキメたいとずっと思っていた(今思うとVivienne Westwoodオマージュ)。たまに母と行くと看板キャラクターのパンダのメリーがM字開脚で陰部をモロ見えさせてるという刺激あふれるプリントTシャツが並べてあったりして心臓がとまる思いをしたこともある。 姉妹ブランドのLOVERS HOUSEも大好きだった。特にこちらはケン&メリーやOH!スーパーミルクチャンといったキャラクターのデザインが、電気グルーヴのMVやアートワークを手掛けている田中秀幸氏だったので田中秀幸リスペクトの私にとっては好きの二乗の神商品であった。
そう、あのお姉さんが趣味で電気グルーヴのビデオを店舗で流していただけじゃなかった。実際に電気グルーヴとSUPER LOVERSはちょいちょい繋がりがあったのだ。電気のMVを撮ってる人がケン&メリーを描いている。多感な時期だった私にとってその事実はひたすら感動でしかなかった。他にもピエール瀧と田中秀幸のユニットであるプリンストンガの商品はよく置いてあったし、私はピザ箱入りのWIREチケット付Tシャツを買っていつまでもそのピザ箱が捨てられないでいた。今思えばお姉さんは電気グルーヴが好きだからこそ電気グルーヴと縁のあるSUPER LOVERSで働いていたのかもしれない。

田中秀幸が手掛ける小中学生向けのLOVERS HOUSEはステーショナリーグッズが充実していてクラスの子たちもケン&メリーやOH!スーパーミルクチャンのペンケースやボールペンを持っていた。クラスの子達はおばさんとおじさんと女子高生がゾンビになってループする謎のMVとその監督のことを知らない。でもケンメリとミルクチャンのことはみんな知っている。それがとても不思議なことに思えた。それどころかガキ使のセットやダチョウがスキーするCMや慎吾ママやあらゆる所に田中秀幸は潜んでいた。才能がある人の仕事はジャンル問わずどこででも会える。そんな体験が10代だった私の夢を大きく膨らませていた。

ある日電気お姉さんは、今はなきSUPER LOVERS原宿路面店に移動になった。栄転である。私も高校生になっていて世はいよいよ原宿ブーム。必然的に原宿路面店にも足繁く通った。

原宿路面店は2階建てで、2階の奥がDJスペースだった。そしてターンテーブルの奥には電気グルーヴ「FLASHBACK DISCO」のMV(監督 田中秀幸)に登場した2体のキグルミが居座っていた。本物!!スペースシャワーTVから録画して5000回くらいみたFLASHBACK DISCOのMVのキグルミがそこには居た。めちゃくちゃデカかった。あれは電気ファンにとっては垂涎ものだけどSUPER LOVERSファンにとっては謎の巨大オブジェだったと思う。服と全然関係ないし。

服と全然関係なかったからなのかその巨大キグルミはある日忽然と姿を消した。お姉さんに理由を聞くと嘘か真か、SUPER LOVERSの社長の田中康晴さんと田中秀幸さんは兄弟であり今兄弟喧嘩してるから撤去されたときかされた。

兄弟だったのか!!!だからLOVERS HOUSEのアートワークは田中秀幸がやっていたのか。だからプリンストンガの商品も取り扱ってたのか!どうでもいい話だけど、プリンストンガの真っ赤なスウェットをうまく着こなせなくて放置していたらおさがり服として近所の子供に渡ったあげくその子供も着なかったのでその子のおばさんが着ることになりおばさんがそのスウェットを愛用したためかなりの頻度でプリンストンガのスウェットを着たおばさんと鉢合わせなんとも言えない気持ちになった)

それにしても兄弟とは。兄も弟も才能ありまくりでスーパーマリオブラザーズなのか?そして兄弟喧嘩って面白すぎる。今は仲直りしたのかな。

その後徐々にSUPER LOVERSは路線変更していった。私が好きなのはROCKでオールドスクールでポップでボーイッシュみあるSUPER LOVERSだったけど、いつのまにかロック色強めのロリータ服を扱うブランドになっていてKERA御用達のお洋服ブランドになった。(KERAもいまや廃業)

当時ロリータといえばラフォーレ1.5階で、SUPER LOVERSもそこに居をかまえた。ポップだった店内は赤と黒とスカルとフリルの世界になった。あの電気お姉さんはいつのまにか居なくなってしまい、そして路面店も閉店した。
なんか一瞬ポップ路線にもどってギャル雑誌に登場したりしつつ店舗はどんどん縮小し、ついに最後は楽天市場だけになった。

私は大好きだったSUPER LOVERSの面影を求めて何度も楽天市場を覗きに行った。とっくにSUPER LOVERSを着る年齢は過ぎてたけれど。楽天市場にある商品はめちゃくちゃ縫製も商品撮りも安っぽくて、かつて愛したブランドの終焉に私は泣いた。安っぽいっていうか実際とても安い。スカートが1600円とか。かつて15,000円のロゴTシャツと2500円のミルクチャンのキーホルダーを購入した私の魂が泣いた。キーホルダー以下の値段で買えるスカート…。でもこの楽天市場に何年も売れ残ってるスカートが結構かわいくて私がティーンだったらちょっと欲しい…。 

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この商品撮りの素人感ね!!!!!

このスカートのパターンがJUDY AND MARYのベストアルバムThe Great Escapeのジャケットに描かれている花と一緒のパターンなのだ。アルバムジャケットのアートワークは田中秀幸。ガーベラなのかマーガレットなのかこのお花の絵が本当に可愛くて好き。ポーチだったら確実に買っていた。ジャケットの絵も田中秀幸テイスト爆発してて可愛い。このタッチは見慣れると一発で田中秀幸だなって分かるようになる。TVにも広告にもたくさん出てくるしノンクレジットでもすぐわかる。

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※画像見比べるとお花の形が結構違いますね…てか違いましたね…上の文章嘘ですね。


そしてこのままゆっくり終わると思われたSUPER LOVERSが去年まさかの復活をとげた。

90年代に流行「スーパーラヴァーズ」がドネーション型ブランドとして再出発、パンダのメリー&ケンも復活
https://www.fashionsnap.com/article/2019-07-03/superlovers-reblanding/

今はX-girlやWC等とコラボ商品をだしていて、全盛期の頃のテイストで、とても可愛い!購入にはいたってないけど(ロゴがでかくて30代には難しい)今後自分とマッチするものがあったら是非購入したい。

SUPER LOVERSと電気グルーヴがあったから私はサブカルチャー街道を爆進してしまったし、あの素敵なお姉さんと出会え、お店で担当さんとお買い物をする楽しさを知った。田中秀幸さんの作品が大好きだったから今は映像業界の末席で監督したり編集したりしている。思えば私の人生に多大な影響を与えているSUPER LOVERS。私の青春の傍らにはいつもSUPER LOVERSがいた。

新しいSUPER LOVERSもたくさんのキッズにカルチャーとトーキョーカワイイを届けてくれることを願って。


From Tokyo with love



※文中ところどころ敬称略



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