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見守る天使みたい、ありがとう


映画を見るために、一人で駅前に来た
折角だしと思って数日前に予約を入れて、髪も切りに行った

髭を生やした、パーマの素敵な長髪の美容師
けたけた笑うわたしに「面白いね」と言ってくれた本当に面白くて言ってくれたのか、なんかちょっと変わってるねという意味なのか
わたしって褒められているのか貶されているのか、自覚できない

昨日存在を知った古着屋に訪れた
小柄でショートパーマの店員が一人、店に入ってすぐに鉢合わせる
咄嗟に「あ、すみません」という言葉が口を走った

二人きりだった

客が二人入る、二人出ていく、また、二人入る、一人入る、全員がいなくなる

3着の試着をした、試着室の鏡で顔に前髪の残骸が付いていることに気がついてこれつけたまんま歩いてたんか…と恥ずかしくなる
あたりまえに全部落とした

この日のわたしは、確かな可愛さがあった

店を出てのんびりと氷結のロング缶を買った、グレープフルーツ味
のろのろしていたら映画の上映開始時間に遅れてしまった、こんなことばっかりだ

走って走って、歩いて、走って、「まだ間に合いますか」と息もままならない勢いで聞いた
「今から上映します」
時間を確認した、確かに過ぎている

大きなドアを開けて中に入る
誰もいなかった、ああ、そういうことか
こじんまりとした映画館でちょっと笑った

私のためだけの映画をこじんまりと観た
上映中、なんかぼそっと呟いたりもしてみた

塩塚モエカちゃんが観たくて、足を運んだ映画
彼女が出てきた場面は、前のめりに、釘付けになった

綺麗だなあ、素敵だなあ


やっぱり安っぽい言葉しか出てこなかった
一人で映画を観たのは
恥ずかしながら初めてだった



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