詩織さんが「ホテルに引きずり込まれた」論に執着する理由

山口敬之さんが意識不明状態の伊藤詩織さんを無理矢理ホテルに引きずり込んだ、なんてことは人体の重量を考えると不可能であることは前回書きました。

それにしても、なぜ詩織さんはこのことを異常に執念深く主張するのでしょうか?
本質的にどうでもいいことなんですけどね。

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山口さんの主張では、酩酊して具合の悪くなった詩織さんを介抱するためにホテルの自室に連れ帰ったのです。ホテルに入る前に性交渉の同意を得ていたなんて言ってません。
これは彼が一貫して主張していることです。詩織さんに事件から2週間後に送ったメールからも窺えます。

「Black Box」P84-85
『あなたは私が強制したわけでもないのに自ら進んで飲んで泥酔し、タクシー内や私のスーツや荷物に嘔吐して正体不明となりました。路上に放置するわけにもいかないから、やむなく逗留先に連れて行ったんだよ。ホテルの部屋でもトイレでも嘔吐し、それを全部片付けたのは私です。(中略)
あなたが普通に食事して普通に帰ってくれたら何も起きなかった。私だってこれから一緒に働こうという人に、最初からそういう意図で接するはずがありません。私が一度でも、職権を使ってあなたを口説いたり言い寄ったりしましたか?一切していませんよ。単純に自分が被害者で私が加害者だというなら、私がそもそもそういう悪意を持っていたと考えるなら、とても残念な事です。
(中略)
あの夜の事でコストがかかっているなら、それはそれで考えます。しかし、自らの行動も振り返ってみて下さい。冷静にやり取りが出来るなら、もう一度メールを下さい。」Y 2015-4-18 21:50』

実際、詩織さんは部屋に入ってすぐに嘔吐しまくって、その後いびきをかいて眠ってしまいました。
客観的に観察すれば、ホテルに連れ帰って彼女を介抱するという山口さんの判断は妥当だったと言わざるを得ません。

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そもそも、詩織さんの設定では、鮨屋のトイレに入ってから翌朝5時に目覚めるまでは意識がなかったことになっています。

意識喪失の間の自分の行為に責任など持ちようがないのですから、山口さんに従ってホテルに入ったとしても、性行為についての合意は存在しないはずです。

だから詩織さんは、「ホテルに無理矢理引きずり込まれた」なんてことは主張する必要はないのです。

にも関わらず、詩織さんは異常に「ホテルに無理矢理引きずり込まれた」という主張にこだわります。
なぜでしょうか?

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答えは簡単です。
詩織さんは「鮨屋のトイレに入ってから翌朝5時に目覚めるまで意識がなかった」なんてことは自分でも信じていないからです。(あくまで私の推理です)
完全か不完全かは不明ですが、意識はあったのです。

鮨屋のトイレから出た後、詩織さんは意識喪失とは到底思えない行動を取っています。

JUSTICE FOR NY
裁判資料(控訴審)
https://www.justiceforny.com/cont7/40.html(このサイトは閉鎖されました)
「喜一」聴取書
乙第84号証
『4 来店中の2人の様子
(中略)
(2)午後10時前頃のことでしたが、伊藤さんは裸足で店内を歩いていて驚きました。午後、時頃になって、伊藤さんは「もう一本。」と日本酒を注文してトイレに立ちました。山口さんは、「まだ飲むの?」、「飲むなら付き合うけど・・・」と帰りたそうな雰囲気でした。その時刻頃から、山口さんは、当時当店で働いていた店員(私の甥)と話し込んでいました。午後10時30分頃、店員が、トイレに行った伊藤さんが戻ってこないことに気付き、山口さんと店員がトイレに様子を見に行きましたが、トイレで座り込んでいたそうです。店内に戻ってきた伊藤さんは、元のカウンター席ではなく、別のお客様の隣のカウンター席に座り、そのお客様と話し始めました
(中略)
(3)伊藤さんがトイレから出て10分くらいして、別のお客さんと話し込んでいた伊藤さんに対して、山口さんが、俺、先に帰っていいかな?」と言っていました。私は、来店した山口さんから「明日アメリカに帰る」と聞いていたので、山口さんの伊藤さんに対する上記の発言を聞いて、(山口さんは)「早く帰りたがっているのだ」と思うと同時に、(伊藤さんを)「置いていかれると困る」と思いました。(中略)
当店を出るとき、伊藤さんは、かなり酔ってはいたが、ベロンベロンとか、フラフラといった様子ではなく、しっかりとした様子で、普通に店を出られました。』

タクシーの中でも詩織さんは山口さんと普通に会話をしていました。
『検察審査会宛に提出されたタクシードライバーの証言』をtassさんのnoteから引用させていただきます。

伊藤詩織事件の闇
tass
2020/08/08 08:38
https://note.com/tass/n/n24baa65dc21a
『乗り込んできたときは、2人とも寿司が美味しかったというような話をしており』
『その後、車内では2人は仕事の話をしていたように思います。男性が女性に対して「いくら貰っているの?」とか「もっともらってもいいのではないか」というようなことを言っていた記憶があります。』

常識的に判断すれば、詩織さんには意識があったとしか思えません。
だから検察審査会も同様の判断を下した、と思われます。

「Black Box」P248
『検察審査会の結果が出た後、何人かのジャーナリストから、次のような「噂」を聞いた。
「防犯ビデオの映像を見たけれど、彼女は普通に歩いていた。タクシー運転手の証言には、彼女が自分で吐いたものを自分で片付けていた、とあった。だから、彼女には最後まで意識があったんじゃないか」。そういう声があって不起訴相当の議決が出たのだ、と話している新聞記者がいる、と。』

BBCのドキュメンタリー「Japan's Secret Shame」で詩織さんは次のように語っています。
彼女が事件の舞台となったホテルを夜、訪問する場面です。(13分50秒ごろから)

彼女は客室に照明が灯るホテルを前にして、聞き取りにくい英語でいろいろなことを言うのですが、最後に「It's the light. I remember, you know this... This light... Yah.... It's same」と呟きます。

画像1

※ 画像は「Japan's Secret Shame」からの引用です。

つまり、その夜、ホテルの照明がどんなだったか覚えているくらいの意識はあったのです。

そもそも、意識を失った状態だったというのは詩織さんの主張があるだけです。
客観的に証明するものは何もありません。
山口さんも事件当夜、詩織さんに意識が無かったなんて思ってはいませんでした。

詩織さんがこれまでついてきた嘘の数と質から判断すると、「意識が無かった」説は信用できません。

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そう。意識はあったのです。

この事実を消去するために使ったのがレイプドラッグであると私は推測します。が、これは通用しないと分かったのか、詩織さん側は主張しなくなりました。
もう一つが、「無理矢理引きずり込まれた」説です。

前回書いたように人間の重量を無視した「無理矢理引きずり込まれた」説は成立しません。私は当初から詩織さんのこの主張は嘘だと気づいていました。
が、世の中のジャーナリスト、知識人の多くは、嘘と見抜くどころか疑いもしませんでした。
それを見て詩織さん側は「これは使える!」と思ったのでしょう。以後延々とこの主張を繰り返すに至ったわけです。

「意識のない私を彼は無理矢理ホテルに引きずり込みました。ホテルの防犯カメラにもその様子が映っています」みたいなことを詩織さんが繰り返し著書やインタビューで強調した結果、まるで魔法にかかったように結構な数の人間が信じてしまったのです。無理矢理連れ込んだというところにだけ関心が集中してしまい、意識の有無は議論されなくなってしまったのです。
ネットに流通している防犯カメラ映像の静止画を見れば、詩織さんは脇を支えながらも自力で歩いているのですけどね。

詩織さんのこのような、事実と全く違っている主張でも怯(ひる)まずしつこく繰り返す度胸と努力は大したものだな、と思います。
でも、嘘はよくないですよ。

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