最高裁が山口さんの上告を認めず:詩織さんは裁判では勝った、が・・・

レイプ加害者の濡れ衣を着せられた山口敬之さんが名誉のために裁判で戦っていましたが、最高裁は上告を退けました。
『上告理由がないとだけ判断した』そうです。
これで日本の地裁・高裁・最高裁のレベルが分かってしまいましたね。

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伊藤詩織さんの性被害、元TBS記者への賠償命令が確定 最高裁決定
7/8(金) 朝日新聞デジタル
https://news.yahoo.co.jp/articles/3fee728fe19d316cabb37af885622a1757abe60e
『ジャーナリストの伊藤詩織氏(33)が性被害を受けたと訴えて元TBS記者の山口敬之氏(56)に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は山口氏の上告を退けた。山口氏が同意なく性行為に及んだと認定して約332万円の賠償を命じた二審・東京高裁判決が確定した。7日付の決定で、第一小法廷は憲法違反などの上告理由がないとだけ判断した。

 二審判決は山口氏の反訴について、伊藤氏が著書などで「(山口氏が)デートレイプドラッグを使った」と表現した点は真実と認められないとして、伊藤氏に55万円の賠償を命じた。第一小法廷は伊藤氏の上告も退け、二審が確定した。

 二審判決によると、伊藤氏は2015年、就職先の紹介を山口氏に求めて都内のすし店などで飲食した後、ホテルの部屋で、酒に酔って意識がない状態で性行為をされた。山口氏は「(伊藤氏が)誘ってきた」と反論したが、伊藤氏が直後に知人や警察、病院に被害を伝えていたことなどから、判決は「信用できない」と退けた。

 東京地検は16年、準強姦(ごうかん)容疑で書類送検された山口氏を嫌疑不十分で不起訴処分としている。

 伊藤氏は17年に記者会見して被害を公表。実名や顔を出して発言を続け、性被害を告発する「#MeToo」運動の高まりに影響を与えた。性交に同意がないだけでは処罰されない現状の刑法の問題点も訴えた。

 一方、ネットやSNS上で激しい中傷やバッシングを受け、投稿者らに賠償を求める複数の訴訟を起こしている。(根岸拓朗)』

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『伊藤氏が直後に知人や警察、病院に被害を伝えていた』とありますが、これは客観的事実と違います。
事件直後の4日から6日までの三日間、詩織さんはレイプ被害があったとは知人にも病院にも伝えていません。警察を訪れたのは9日になってからです。

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朝日の記事は山口さんの言い分をわずかでも載せているだけ、まだましです。

『山口氏は「(伊藤氏が)誘ってきた」と反論した』

そうです。山口さんの主張は詩織さんのそれとは全く違うのです。
しかし、裁判所は山口さんの主張をほとんど無視しました。

今回の事件を通して、日本で冤罪がなぜ無くならないのか、その理由がよく分かりました。
冤罪問題は裁判官(を含む法律家)問題なのです。

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結果的に詩織さんの側が裁判では勝利を収めたことになるのでしょう。
人権派弁護士たちの何でもありの訴訟戦術とエゲツない情報戦略。これに、正攻法で立ち向かった山口さんは分が悪かったです。

詩織さんがブラジャーに忍ばせたレコーダーで録音していた警察との会話の内容が公開されていたら。
彼女が中学生時代に患った大病と鮨屋での失神との関連の有無が明らかにされていたら。
・・・なんてことを考えてしまいますが、今さらどうしようもありません。

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しかし、裁判で勝ったはずの詩織さんの現在のジャーナリストとしての活動は低調ですね。

他方、山口さんはジャーナリストとして復活しつつあります。
橋下徹・元大阪市長の上海電力疑惑をはじめ、地道に調べて発表した記事が好評価を博しています。

裁判では嘘八百を並べ立てたらクズ裁判官は簡単に騙されてくれますが、広く世間を相手にしたジャーナリストとしての勝負では詭道は長くは通用しません。

2017年以降、詩織さんと山口さんは衆人環視の下、長い戦いを続けています。
より邪悪なほうが勝つという結末は受け入れたくありません。

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最高裁の決定が出たことにより、私の中でこの事件についての区切りがつきました。
この事件についての発信は疎らになるでしょう。あしからず。

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