NHK「目撃!にっぽん」:詩織さんとメディアが隠す強姦致傷

13日の早朝に放送されたNHKの「目撃!にっぽん 声をあげて、そして」。
徹頭徹尾、自称レイプ被害者の伊藤詩織さんの側に立って番組を構成していました。

公正さのかけらすらなかったことはさておいて、番組では、詩織さんがどんな被害を受けたのかさえ具体的に説明していませんでした。
詩織さんがこれまで主張してきた準強姦の訴えは、高裁判決が強姦致傷を認めてしまったために使えなくなったのだと、私は思っています。

高裁判決は強姦致傷の被害を認めました。強姦致傷という表現は使っていないものの、「Black Box」に書かれているような朝5時からの暴行によってケガをしたと認定したのだから、強姦致傷の存在を認めたことになります。

準強姦よりも罪が重い強姦致傷を高裁が認定したのだから、NHKのみならず、民放や新聞も大々的に報じていいはずですが、どこもやろうとしません。
なぜなら、高裁の判断は、詩織さんがこれまで主張してきた準強姦の被害と整合性がとれないからです。

ちなみに、高裁がでっち上げた強姦致傷と詩織さんが主張してきた準強姦の関係は暴行の有無で分けると次のようになります。

画像1

赤丸部分が「Black Box」で描写された強姦致傷の被害に該当します。

     *     *     *

ケガについて詩織さんが語るのは、私が知る限りでは、週刊新潮の記事が唯一です。が、膝の大怪我については言及されていません。

握り潰された安倍総理ベッタリ記者「山口敬之」の準強姦逮捕状 “下着だけでもお土産で…”被害女性が明かす一部始終
週刊新潮 2017年5月18日菖蒲月増大号掲載
https://www.dailyshincho.jp/article/2017/05180800/?all=1&page=4
『「意識が戻ったのは早朝5時頃で、痛みを感じてのこと。仰向けの私に相手が跨っている状態で、抵抗してトイレに逃げ込みました。その際に避妊具をしていない陰茎が見えました。なんで自分がここに、裸でいるのか全く分からなくて。でも頭はすごくクリアで二日酔いという感覚は皆無ですぐに動けた。ベッドの上に彼のノートパソコンが開かれたままだったのも覚えているし、直感的に撮られているんだと思ったのも事実です。後でわかったのは乳首から血が滲んでいたことで、膣内もそうだったかもしれませんが。トイレから出たらすぐ逃げようとしたんですが、そのまますごい勢いでベッドに顔と身体を押さえつけられました。とにかく力が強かったです。何とか抵抗して2度目のレイプをされることはありませんでしたが、怒りが収まらず感情のままに英語でこう言ったのです」』

「Black Box」にある「膝を無理矢理こじ開けようとされた」話は出てきません。

     *     *     *

「Black Box」と若干内容が重なるのは「Japan's Secret Shame」(=「The woman who broke the silence on rape in Japan」)です。
検察審査会の成り行きを追っているので撮影時期は2017年でしょう。

The woman who broke the silence on rape in Japan
https://www.youtube.com/watch?v=MncTvUkJ0-s

詩織さんの自称レイプ被害についての話は13:30ごろからです。
「トイレに逃げ込んだ後、ベッドに押し倒されて、覆い被さられて窒息死するかと思った」という趣旨の話を詩織さんは披露しています。が、ケガの話題は出てきません。
「Black Box」にある「トイレから引きずり戻されて」と「膝を無理矢理こじ開けようとされた」話がなぜか省略されています。

     *     *     *

つまり、2017年のある時期だけ、それも(私の知る限りですが)「Black Box」と「Japan's Secret Shame」と週刊新潮の3つの媒体でだけ、暴力的に扱われた話が披露されます。
しかも、ケガの有無についてはこの3つの中でも違っています。

その後、強姦致傷の話は出なくなります。

     *     *     *

ちなみに、他のメディアは伊藤詩織事件を「強姦致傷」扱いしたことはありません。これは一貫しています。

山口敬之(元TBS記者)から“性的暴行”女性被害訴え
https://www.youtube.com/watch?v=15APv6jYo0k

2017年の最初の記者会見直後のこのテレビ報道では「意識が戻ると性的暴行を加えられていた」(2:30)。
もちろん、トイレから引きずり出され、ベッドに押し付けられ、膝を無理やりこじ開けられようとして大ケガを負った、なんて話は出てきません。

     *     *     *

やはり最初の記者会見直後のTBSのラジオ番組「荻上チキ・Session-22」でも詩織さんは「準強姦」である旨を説明しています。

紅而note
2021年10月24日
【音声】詩織さんと友人KがTBSラジオ(2017年6月)で語った真実
https://note.com/774weco/n/n603c97a92779

詩織さん曰く・・・。
『私が今回不起訴になった件というのは準強姦ですね』(18:17)
『どういう経緯でそうなったのかっていうのが、自分の中の記憶に一切なかったので』(21:58)
また37:05からは、こんなことを言っています。『やっぱり、こうわかるように血が吹き出してたりしたら、病院に行ったとしてもすぐに手当てしてくれるし、警察でもすぐに何とかしようってしてくれると思うんですね。ただやはりレイプっていうのは本当に見えないところなので、で行われるし、見えない部分だけでもすごく深く傷つくものなので』
・・・つまり、外傷など無かった(=強姦致傷ではなかった)ということですよね。

同席していた友人K(仮名・鈴木さん)も異議をさしはさみません。
トイレから引きずり出され、ベッドに押し付けられて、無理やり膝をこじ開けようとされて大怪我したという話を聞かされていたなら、詩織さんの心情を慮って、友人Kが苛烈な強姦致傷被害を代弁してあげたのではないでしょうか。

ただし、膝のケガの話は一度だけ出てきます。

27:20〜 友人K(仮名・鈴木さん)曰く・・・。
『膝が痛いっていうのも気づいて。で、支えてあげて、どうしたの?っていうことを聞いたんですけど。分からない、仕事かなみたい、ちょっと濁すような感じで答えたんですね、その時は』

しかし、傷害罪や強姦致傷罪の方向に話が進むわけでもなく、別の話題に移ります。
(もしかしたら、ここで膝の話題に触れたのは、暗に詩織さんに「強姦致傷の方に話を持って行け」と促す合図だったのかもしれません)

この時点で詩織さんたちは複数の弁護士から法律的な事柄を相談できる立場にありました。
「Black Box」のP49からP51に描写したような凄惨なレイプ被害を訴えていたなら、当然弁護士たちから「それは強姦致傷罪に該当します」的な指摘があったはずです。
「法律に疎いから準強姦と思い込んでいた」という言い訳は成立しません。


     *     *     *

2017年10月24日の記者会見でも強姦致傷に関する話は出てきません。

【録画】ジャーナリストの伊藤詩織さんが会見(2017年10月24日)
https://www.youtube.com/watch?v=nlYWkciXUrA

詩織さんが受けた自称レイプ被害については8:00ごろから。
目覚めたらレイプされていた旨を述べてはいるものの、「トイレに逃げ込んで〜」という話は全く出てきません。

詩織さんは18:35ごろに「私が訴えていた準強姦の被害」と明言しています。

この時には「Black Box」が出版されていたのに、記者たちは強姦致傷についての質問をしていません。

     *     *     *

「目撃!にっぽん」によると詩織さんは2018年10月に韓国(ソウル)でのジャーナリスト国際会議でスピーチしています。
会議のもようはyoutubeに投稿されていました。詩織さんの登場は45:55ごろからです。

#IJAsia18 - Reporting #MeToo in Asia
https://www.youtube.com/watch?v=jkhgCA-umsQ

詩織さんは51:00ごろから自称レイプ被害について語っています。
強姦致傷を思わせる話は全然でてきません。トイレから引きずり出され、ベッドに押し付けられ、膝を無理やりこじ開けようとしたなんて話は出てきません。

     *     *     *

2019年の12月。一審の東京地裁判決後のニュース番組でも問題にされているのは準強姦のみです。

元TBS記者 山口敬之氏に賠償命令  モーニングショー
(youtubeで検索しても出てきませんでした)

制作スタッフも出演者も「Black Box」を読んでいるはずなのに、まったく強姦致傷について触れていません。
番組では弁護士も出演していたのに、強姦致傷に関しては完全に無視しています。

この番組はメディアと弁護士の無能ぶりが良くわかる好材料だったので、youtubeから削除されたとしたら残念です。

     *     *     *

ちなみに詩織さんの弁護士はメディアに登場しても、強姦致傷について触れません。

     *     *     *

要するに「Black Box」に堂々と描写されている強姦致傷の被害など誰も信じていないわけです。皆が詩織さんの嘘を黙認しているのです。
だから、東京高裁が強姦致傷を捏造しても、メディアは揃って知らん顔をしたわけです。

不正判決を出した裁判所はひどいです。
それを批判しないメディアの堕落・腐敗はさらにひどいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?