東京地裁は11のトリックで詩織さんを贔屓

「裁判所が伊藤詩織さんを勝訴させたのだから、レイプは本当にあったんだ」

昨年12月18日の民事訴訟第一審、東京地裁判決は詩織さんに軍配を上げました。
これは、山口敬之さんを擁護していた人たちを動揺させました。彼を見限る人さえ出てきました。

普通の日本人の感覚では、裁判官という法律のプロフェッショナルが判断を下したのなら、それは確かなものなのだろうと思ってしまうことでしょう。
それだけ司法に対する信頼が篤いのですね。

詩織さんが勝ったのは、あるいは東京地裁が詩織さんを勝たせたのは、ある意味当然です。
彼女に都合の悪い論点は無視。彼女の嘘を証明する記録はムチャクチャ強引に彼女に有利な方向に解釈。
反面、山口さんに絶対な有利な指摘・記録はことごとく却下。

喩えるなら、ボクシングで、レフェリーが徹底的に一方を贔屓して、反則をしても無視、ダウンしてもスリップ扱い。逆に相手側にはすこぶる厳しく当たって、何をやっても反則をとったら、勝敗など簡単に左右できます。

つまり、裁判官の堂々たる贔屓のおかげで詩織さんは勝訴できたのです。
が、マスコミはこのことを書きません。

山口擁護派のなかでも、たぶん判決文を読んだ人はごく少数でしょう。
だから、裁判官が不正をしたことがバレないのです。

というわけで今回は、いかに東京地裁の判決がひどいものか、指摘してみたいと思います。

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1. 詩織さんがシャワーを浴びなかったのは不自然?

詩織さんは事件の日の早朝、シャワーを浴びずにホテルを後にしました。
これについて、東京地裁判決は……。

『原告は居室においてシャワーを浴びることなく、4月4日午前5時50分に本件ホテルを出てタクシーで帰宅したことが認められるところ、これらの原告の行動は、原告が被告との間で合意の下に本件行為に及んだ後の行動としては、不自然に性急であり、本件ホテルから一刻も早く立ち去ろうとするための行動であったとみるのが自然である。』
JUSTICE FOR NY 裁判資料 https://www.justiceforny.com/cont7/32.html(閉鎖されてしまいました)
以下、『 』内は断りがない限り「JUSTICE FOR NY」から引用した東京地裁判決文。

裁判所は、詩織さんがシャワーを浴びなかったことを以て不自然とみなし、早く立ち去ろうとしていた証左だとしています。
が、そもそも、「合意の上の性交渉=シャワーを浴びて帰るのが当然」という基準そのものが変です。

詩織さんの例で言えば、自宅に帰ってゆっくりシャワーを浴びたかったのかもしれないし、髪を乾かすのが面倒だったのかもしれません。
第一、山口さんはこの日アメリカに出発しなければならなかったのだから、悠長にシャワーを浴びて、髪を乾かしたりなんかしていたら、邪魔でしかたないでしょうに。
だから、さすがの詩織さんも、ゲロを吐きまくって迷惑をかけた上に、さらなる悪印象を与えるのをはばかったとすれば、不自然でも何でもありません。

もちろん、レイプが本当なら、シャワーなど使わずに、ホテルの部屋から飛び出るのは当然です。
しかし、詩織さんがホテルから出て行く姿を映した防犯カメラの動画を見れば、髪がきれいにまとめ上げられています。
レイプ犯のいる部屋から急いで逃げだそうとする時に髪のことなど考えもしないのが通常ではないですか。

【フル映像】 伊藤詩織さん ホテル退出時の防犯カメラ映像 (ツイッターから転載、記者会見、ビデオ、動画、イラスト、はすみとしこ)
https://www.youtube.com/watch?v=zwGrIdTVlRM


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2. 避妊具の不使用はレイプと無関係

詩織さんとの性交渉に避妊具(コンドーム)が使用されなかったことについては、両者の間で争いがありません。
避妊具の不使用についての東京地裁の判断がこれです。

『原告は、同日にイーク表参道を受診してアフターピルの処方を受けているが、このことは、避妊することなく行われた本件行為が、原告の予期しないものであったことを裏付ける事情といえる』

これは巧みな論点の誤魔化しですね。
詩織さんが妊娠を望まなかったことは明らかです。が、それは、山口さんとの性行為を詩織さんが望まなかったことを意味しません。
ネットで「コンドームを使ってくれない」というキーワードで検索すれば、性行為はOKであっても、避妊してくれないことに困っている女性がたくさんいることが分かります。

また、詩織さんの側が積極的に誘ったのなら、山口さんがコンドームを使わなかったとしても不自然ではありません。
詩織さんにしても、アフターピルはアメリカ在住中に使った経験があるのだから、避妊についてはそれほど心配していなかったのかもしれません。
実際、その日のうちに、産婦人科を受診してアフターピルを手に入れていることですし。
東京地裁の裁判官樣は、女性のほうが積極的である場面を想像することができないのかもしれません。

そもそも避妊具を使わなかった(=用意していなかった)ということは、山口さんは性行為を企図していなかったということです。
山口さんが最初から下心を持っていたなら、当然コンドームを用意していたであろうし、ベッドで寝入った詩織さんを見ているうちにムラムラしたなら、近所のコンビニで避妊具を調達することも可能でした。
コンドームは避妊のためはもちろん、感染症予防のためにも必須ですからね。

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3. 詩織さんがレイプを思いついたのは3日後

山口さんが具合の悪そうな詩織さんを投宿するホテルに連れ帰ったのが4月3日の夜。
二人の間で性行為があったのは翌4日です。

『原告は、同月7日及び8日に友人2名に本件行為に係る事実を告げて相談したほか、同月9日には原宿警察署において本件行為に係る事実を申告して相談したことが認められる。原告が、本件行為に近接した時期に、本件行為につき合意に基づかずに行われた性交渉であると周囲に訴え、捜査機関に申告していた点は、本件行為が原告の意思に反して行われたものであることを裏付けるものといえる。』

東京地裁の裁判官樣は肝心なことを見落としています。あるいは、気づかないフリをしています。
詩織さんの供述ないし態度を時間軸に置いて見ると、7日に大きく変遷しているのです。
すなわち、最も事件から近接した時期である4〜6日には、彼女はレイプ被害など訴えていないし、そんなものが無かったかのように振舞っています。

4月4日(事件当日)に受診した産婦人科医のカルテには『coitus(性交)AM2~3時頃、コンドームが破れた』と記載されています。
レイプについて言及していないのはもちろん、時間帯についても詩織さんが「Black Box」に書いている早朝5時ではありません。

同日、山口さんからかかってきた電話にも普通に応対しています。(「Black Box」P59)

4月6日、詩織さんは、アメリカに戻った山口さんにこんなメールを送っています。

性被害者を侮辱した「伊藤詩織」の正体 【後編】|小川榮太郎
2019年11月20日
https://hanada-plus.jp/articles/231
『「山口さん、お疲れ様です。無事ワシントンへ戻られましたでしょうか? VISAのことについてどのような対応を検討していただいているのか案を教えていただけると幸いです」』

やはり4月6日、詩織さんは整形外科を受診します。
『カルテ上は、医師に「3月31日に変な姿勢で座っていて」 (乙6)云々と受傷日を特定して述べている』(山口さん側の反訴状)とのことです。
「Black Box」の記述が大嘘であることが分かる一文ですね。
そのうえ詩織さんには、絶対にバレる嘘を後になって堂々と付け加える傾向があることも分かります。

要するに、4日から6日にかけては、詩織さんにレイプされたという認識がなかったと考えるほうが自然なのです。
……と言うか、レイプなど存在しなかったのだから、被害者としての認識など持ちようがありません。

それが急転直下、7日から準強姦被害を訴え始めます。
詩織さんの内面で何があったのかは、彼女の性格から推し測るしかありません。

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4. 詩織さんはこの事件で富と名声を得た!

詩織さんがなぜ山口さんをレイプ犯に仕立て上げ、記者会見まで開いて大々的に宣伝したのか、その理由は簡単に分かるはずですが……。

『被告がTBSワシントン支局長を解任されたのは同月23日であり、原告が本件行為に係る事実を警察に申告した同月9日の時点では、被告は同支局長として原告の就職のあっせんを期待し得る立場にあったものであるから、原告があえて虚偽の申告をする動機は見当たらない。』

判決は『原告があえて虚偽の申告をする動機は見当たらない』と言っています。
が、詩織さんがレイプ被害者であることを顔出しで公表することによって、どれだけ多くのものを得たのか東京地裁の裁判官は知らないのでしょうか?

詩織さんは高輪署にレイプ被害の申し立てをしてから、ブラジャーに隠したレコーダーで警察とのやり取りを秘密録音し続けました。
ほかにも録音した2年以上の音声データをもとに、文藝春秋の安藤泉・編集者の助けを得て「Black Box」を出版するに至ったのです。
要するに事件を利用して、名門の老舗出版社から本を出すことができたわけです。

それだけではなく、詩織さんは天下のBBCのドキュメンタリーにも出演し、世界各国のメディアの取材を受け、カルバンクラインの下着のCMにも起用され、日本の各媒体に連載枠を持つに至っています。
マスコミ業界の底辺の無名の雑魚から、一気に世界的に有名なジャーナリストに成り上がったのです。

また、詩織さんは、彼女を聖女として崇める信者のお布施によって、弁護士を何人も雇えるほどの資産家になることもできました。

『原告があえて虚偽の申告をする動機は見当たらない』と本気で思っているとしたら、東京地裁の裁判官の脳味噌は腐ってますね。

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5. 記者の仕事について裁判官は無知

『被告は、午前0時までに米国の政治の動向を確認する必要があったため、やむを得ず原告をホテルに連れて行くこととしたなどと供述するが、前記1(4)サのとおり、当時、被告はTBSから出社に及ばずとの通知を受けていたのであるから、米国の政治の動向を確認することが職務上必須であったとも認め難く、この点においても、被告の供述はにわかに信用することができない。』

裁判官というものが如何に世間知らずであるかがよく分かります。

仕事によっては「上司から指示された職務を社内で処理したら、それで終了」というものがあります。
が、テレビや新聞の記者の仕事はそんなものではないでしょう。
優秀な記者なら、自分の中に問題意識を抱えて、常時アンテナを張って情報を集める生活を送っているはずです。
要するに情報収集能力と実行力がモノを言う仕事だから、『TBSから出社に及ばずとの通知を受けていた』としても、『米国の政治の動向を確認することが職務上必須であった』わけです。

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6. 朝5時のレイプはどう考えても不自然

詩織さんは、4月の3日の夜遅くに山口さんのホテルに到着し、部屋に入るなり嘔吐しまくって、その後眠ってしまいました。
彼女の主張によると、レイプがあったのは朝5時以降とのことです。

『ウ  被告は、原告と被告が本件ホテルの部屋に到着したのは午後11時頃であるにもかかわらず、本件行為があったのは翌日午前5時頃であることになる点で、原告の供述は不合理であると主張する。
しかし、原告は、被告が宿泊する部屋に入った時点で、嘔吐して吐瀉物が髪や衣服に付着した状態となっていたと推測されることからすると、被告が直ちに原告との性交渉に及ぶ状況にはなかったとしても不自然であるとまではいえない。』

早朝5時のレイプがいかに不自然かについては前に書きました。

東京地裁の裁判官は真性のバカみたいだから何を言っても無駄でしょうが、意識不明の女性をレイプするような輩が、わざわざ意識を取り戻す可能性のある時間帯に事に及ぶなんてことは、不自然でしかありません。

加害者がその気になれば、詩織さんが爆睡している間に、髪に付いた吐瀉物を濡れタオルか何かで拭った上でレイプするなんてこともできたでしょうに。
そもそも、吐瀉物が付着した詩織さんの髪に顔を近づけるような体位で事に及ばなくても構わないわけです。

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7. バスルームの電話機について

『エ  被告は、被告が宿泊する部屋のバスルームには電話機が設置されており、原告が電話機を使用して外部への連絡をしなかったことは、原告が供述する当時の状況と矛盾すると主張する。
しかし、原告の供述によれば、原告がバスルームに入ったのは、目が覚めて被告から性交渉をされていることに気づいた直後であり、動揺して自らが置かれている状況が把握できず、冷静な判断ができない状態であったことは容易に推察されるから、電話機を使用して、外部への連絡をしなかったことが不自然であるとはいえない。』

詩織さんの主張によれば、いったんレイプから逃れてバスルームに駆け込んで鍵をかけたとのことです。
が、なぜか、壁掛け式の電話機については「Black Box」にも裁判の訴状にもその存在が書かれていません。

この電話機、見落とすはずがないのです。

画像1

https://www.youtube.com/watch?v=hnEAwBn3pw0&t=485s
『The Truth of Shiori Ito 伊藤詩織 ~Open Her Black Box~ (Video 4_13)』8:05ごろ

詩織さんが法廷で何と言ったか知りませんが、裁判官樣は『原告の供述によれば』不自然ではないと判断しました。

この『原告の供述によれば』という部分が重要なのです。
なぜなら、その供述が嘘・捏造であっても、それに依拠するということですから。
これが、東京地裁判決における隠されたルールなのです。
常識的に考えればあり得ない事柄であっても、特殊ルールの「詩織さんの供述によれば」を適用すると、アラ不思議、それは『不自然であるとはいえない』行為に魔術的に変換されてしまうのです。

この特殊ルールで東京地裁は詩織さんにポイントを稼がせて、勝訴に導いたわけです。
詩織さん側の弁護士ならともかく、公正中立なはずの裁判官がこんな詐術を使ってしまったら不正でしかありません。

なお、山口さんはバスルームに電話機があることも、中から鍵がかけられることも知っていました。にも関わらず、詩織さんがバスルームに入ることを許したことになっています。(あくまでも彼女の主張によれば、です)
こちらのほうが不自然です。というより、あり得ません。
こういうところに、詩織さんの嘘の尻尾があるのですが、東京地裁の裁判官樣は完全に無視しました。

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8. Tシャツについても特殊ルール適用

詩織さんはホテルから出る際に、山口さんのTシャツを着用した上で、その上にカーディガン、コートを羽織りました。

『オ  被告は、原告が被告から渡されたTシャツを着用したことは、被告が原告に対し、同意なく性交渉を行ったという原告の供述内容と整合しないと主張する。
しかし、原告の供述によれば、原告の衣服を探したのは、本件行為の直後であり、現奥が動揺し、一刻も早くその場を離れたいとの心理状態であったことが合理的に推察されるところ、同時点において、現奥の着用していたブラウスが濡れたままであり、着用できない状態であったことからすると、原告が被告から差し出されたTシャツをとっさに受け取り、着用したことが不自然であるということはできない。』

どう考えても、レイプ被害者が、他に着る服があるのに、自分をレイプした男のTシャツを借り受けるのは不自然です。
しかし、特殊ルールがまた東京地裁裁判官によって発動されました。
『原告の供述によれば(中略)不自然であるということはできない』わけです。

本当に便利なルールですよね。
これを使えばどんなムチャクチャでも通ってしまいます。

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9. 詩織さんの「お疲れ様」メール

『カ 被告は、原告が4月6日に被告が無事にワシントンに戻ったかを確認するとともに、ビザに係る対応の検討結果を尋ねるメールを送ったことは、本件行為があったことを受け入れたうえで就職活動に係る協力を求める行為であり、本件行為が原告の同意に基づくものであったことを裏付けるから、原告の供述には信用性がないと主張する。
しかし、同意のない性交渉をされた者が、その事実をにわかに受け入れられず、それ以前の日常生活と変わらない振る舞いをすることは十分にあり得るところであり、原告の上記メールも、被告と性交渉を行ったという事実を受け入れられず、従前の就職活動に係るやり取りの延長として送られたものとみて不自然ではない。そうすると、原告が上記メールを送ったことにより、本件行為が原告の同意に基づくものであったことが確認されるということはできず、原告の供述の信用性に影響を及ぼすものとは認められない。』

もう一度くだんのメールを引用します。

性被害者を侮辱した「伊藤詩織」の正体 【後編】|小川榮太郎
2019年11月20日
https://hanada-plus.jp/articles/231
『「山口さん、お疲れ様です。無事ワシントンへ戻られましたでしょうか? VISAのことについてどのような対応を検討していただいているのか案を教えていただけると幸いです」』

ちなみに、冒頭の『山口さん、お疲れ様です。』の部分は、「Black Box」では削られています。

文面だけから判断すると、「レイプなどなかったから『お疲れ様です』メールを送ったのだ」と考えるほうが自然です。

確かに、人間が本心とは違う意思表明をすることはあります。
レイプが本当に存在したのなら、このメールは被害者たる詩織さんが『従前の就職活動に係るやり取りの延長として』送信したと解釈せざるを得ません。
が、それはレイプが他の証拠によって証明された場合に、初めて言えることです。
しかし、レイプの存在を証明できる証拠・記録など一切存在しません。
むしろ、事件当日に詩織さんが山口さんのTシャツを来て帰ったこと、ホテルから闊歩して出て行く彼女の映像、彼女が受診した産婦人科のカルテ、その後妹とカフェに行き、友人たちと花見をしたこと等、「レイプなど無かったのでは?」的な言動が多いのです。
「レイプなど無かったから、詩織さんはTシャツを借り受け、夜は花見に興じたのだろう」と推測してもバチは当たりません。

東京地裁判決は、他に何か決定的なレイプの証拠があるなら、それなりに筋が通ります。が、レイプが証明されない以上、「レイプ被害者ならそういう行動をすることもあるかもね」程度の可能性があるにすぎないのです。
『原告の供述の信用性に影響を及ぼすものとは認められない』なんてことは言えないはずです。

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10. 詩織さんの強姦致傷の捏造を東京地裁は無視

東京地裁は、詩織さんの明白な嘘を無視しました。

たとえば、山口さん側の一審での代理人の北口雅章弁護士は、反訴状でこんな主張をしています。
「詩織さんが現在主張しているような怪我の被害を高輪署に申告していたなら、強姦致傷罪の既遂として扱われたはず」的な内容を。

『2.反訴被告(原告)の被害妄想と虚構
(中略)もし仮に反訴被告(原告)が、当初から本件訴訟で主張しているとおりの性犯罪被害を申告していたのであれば、具体的には、高輪警察署の警察官に対して、「…肩をつかまれ、再びベッドにひきずり倒された。」、反訴被告(原告)の「顔はベッドに押し付けられた状態」となり、「息ができなくなり窒息しそうになった」、「無理やり膝をこじ開けようと」された等の態様の「暴行」を受け、かつ、「乳首からの出血」、「右膝内障、右膝挫傷」等の「傷害」を生じた旨の被害申告をしていたのであれば、強姦致傷罪(旧刑法181条)の既遂で受理されたはずだからである。』

この指摘について裁判所がどう判断したかというと、完全な無視です。

北口弁護士の主張は正論なのです。まともに法律を勉強した人間ならグウの音も出ないほどです。いわば、「1+1=2」レベルなのです。
したがって裁判官は、「詩織さんが傷害の被害を申告していたなら、高輪署は強姦致傷罪として扱ったはず。しかし、現実には準強姦罪として処理された。これは詩織さんが当初高輪署に準強姦の被害しか申告しなかったからだ。すなわち彼女は嘘をついている」と答えざるを得ないのです。

しかし、詩織さんが嘘をついていることを認めてしまうと、判決のキモである「山口さんの供述よりも詩織さんの供述のほうが信用できる。だから彼女の主張どおりの事件が存在したのだ」という図式が成り立たなくなります。
だから、裁判官は、詩織さんを勝訴させるために、敢えて都合の悪い指摘は無視した、と私は考えます。

しかし、これ、不正ですよね。

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11. 産婦人科医のカルテについての強引な解釈

前述のように、詩織さんが事件当日に受診した産婦人科のカルテには『coitus(性交)AM2~3時頃、コンドームが破れた』と記載されていました。
これによって、詩織さんの「Black Box」および民事訴訟での「朝5時からのレイプ」の主張が嘘であることが決定的になります。
また、彼女が当初警察に主張したであろう「午前2時からの準強姦(昏睡レイプ)」の訴えも、成立しないことになります。この時間帯に意識があったということを彼女自身が認めているわけですから。

にも関わらず東京地裁はカルテの信用性を簡単に否定しました。

これについては次のnoteが詳しいです。


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まとめ

昨年12月18日に東京地裁判決が下された時、私は衝撃を受けました。
伊藤詩織事件を注視してきた私にとっては、この事実関係では詩織さんが勝てるはずがないと思っていたからです。
が、東京地裁は私の予想をあっさりと裏切ってくれました。

最初私は、「法廷で何か決定的な証拠でも提出されたのだろうか?」と思いました。
が、新聞等の判決要旨を読むと、そんな証拠などありませんでした。

悶々としているうちに、年が明けて、山口さん支援のためのサイト「JUSTICE FOR NY」が開設されました。
訪問してみると、なんと東京地裁判決の全文が掲載されているではありませんか!

判決全文を読んでみると、トンデモ裁判官によるトンデモ判決であることが分かりました。
詩織さんを勝たせるために組み立てられた判決なのだから、彼女が勝訴するのは当然なわけです。
何度も繰り返して指摘しましたが、これは不正です。職権濫用レベルの不正行為を東京地裁の裁判官たちはやってしまいました。

伊藤詩織事件は、結果的に日本社会に横たわる多くの闇に光を当てる働きをしました。
その中の最大のものが、司法の劣化でした。

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