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ヴィッセル神戸2020スカッド考察

昨季振り返り ボール非保持編↓
https://note.com/7634548/n/n6511d69a6403

ボール保持編↓
https://note.com/7634548/n/ne0fbf55d7456

はじめに

天皇杯優勝・初のACL出場ということもあり楽天マネーでの大補強が期待されたヴィッセル神戸だが、ここまでビックネームの加入はドウグラスのみ。
レンタルバックも控え目で、ACLとの2足の草鞋を履くことを考えると心許ないスカッドになってしまった。
移籍市場での振る舞いを反省するには少々遅すぎるためこの記事では今季の編成について考えていきたいと思う。

昨季の基本メンバー

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今季のスカッド展望

GK

IN:なし
OUT:荻晃大(→未定)

絶対的守護神である飯倉が健在のため大きな入れ替わりはなく、J1で実力を証明し動きがあるかと思われた吉丸も残留。特に層を擦り減らすこともなくシーズンを迎えそうだ。
来季34歳とベテランの飯倉をJ1で、やらかし癖はあるがハイボール耐性は相対的に高い前川をACLでというのが既定路線のはずだが序列変更はあるだろうか。

CB(右利き)

IN:菊池流帆(←山口)
山川哲史(←筑波大)
OUT:那須大亮(引退)

現状数少ない“補強”がなされたセクションで、12月中の早い段階に山口の有望株菊池を確保し那須の引退だけで流出を留めた。
その菊池は霜田監督の山口が志向するハイライン戦術で鍛えられた裏への対応力と身体能力を活かしたハードな守りが特徴で、和製ダンクレーといっても差し支えないだろう。
ビルドアップに長けたタイプではないというのがもっぱらの評価だが、フィンク神戸の3バックでは右HVに純粋なフィード能力を求めていない(ロンドの外枠を作り隣のプレイヤーに繋げればOK)ため、さほど問題にはならないだろうというのが個人的な見立てだ。

CB(左利き)

IN:なし
OUT:宮大樹(→鳥栖)
小林友希(→横浜FC)※レンタル
ジョアン オマリ(→FC東京)

今オフで最も議論を呼んだのがこのセクションだ。
フェルマーレンがEUROで離脱するのはほぼ確実なため控えの補充は不可欠に思われたが、蓋を開けるとレンタルバックの宮と小林を放出し、残留濃厚だったオマリも東京へ新天地を求めた。
未だに現役代表でキャップを重ねているフェルマーレンという明確なレギュラーがいる以上彼と肩を並べる実力者の加入が困難であることは承知の上だが、ACL出場を考えるとアジア枠として起用できるオマリはせめて残しておくべきだったのではないだろうか。(昨季のような冷遇を受け入れるかはさておき)
フェルマーレンが起用できない場合はサンペールを補助CBに配置し大崎を左に回すC大阪戦で導入した所謂セルジシステムなどが次善策として挙げられる。

LWB

IN:初瀬亮(←福岡)
OUT:橋本和(→岐阜)

このセクションも酒井の控えが実質存在せず、補強が必要なように思われたが初瀬のレンタルバックのみでどうやら対応するようだ。
小川もWBには対応可能だが、イニエスタをボランチで起用するならシャドーの枚数が減ってしまうためあくまで緊急時のオプション扱いだろう。
初瀬は守備面での注意力散漫を改善するのは勿論なのだが、アピールポイントのはずだった攻撃面でも
ワイドな展開に対応できていないのが気がかりなところで、少なくともサイドチェンジの受け損ないだけは減らしてほしい。
比較的移籍の決定が遅かった小池(C大阪)など狙える人材は多かったはずだが、敢えて手を出さなかったのはやはりレギュラーとサブの力量差が大きいという問題が関係している印象を受ける。

RWB

IN:なし
OUT:なし

単年契約のため名古屋に0円移籍説が囁かれた西大伍が残留し、去年と変わらず西・藤谷体制が有力。急場を小川などで凌ぐのが規定路線だろう。
西の使い方は昨季と変わることはないだろう。
ある程度オープンな状態で生きる選手のため、シャドーには中で仕事をできるプレイヤーを置いておきたい。
藤谷は五輪イヤーということもあり勝負の年になりそうだ。純粋に走力を活かすタイプであり、サイドレーンを制圧できる能力を備えてはいるのだが小川との差別化のためより守備的なロールに対応できる適正を示しておきたい。

アンカー/リベロ

IN:なし
OUT:なし

サンペールと大崎というリベロとしてもフリーマンとしても高いレベルで機能する2人が軸なのは間違いないのだが、彼ら以外にこのタスクをこなせる選手がいないため(山口は他のポジションで使うだろう)文字通り大車輪の働きを求められる。
もし故障者が出た場合は安井や渡部あたりをコンバートするしかないだろう。

CH

IN:なし
OUT:三原雅俊(→柏)
野田樹(未定)

三原のレンタルバックを見送ったため本職は実質3人で、サンペールをこのポジションで起用してもなお頭数は足りない。
山口が昨季並の獅子奮迅の活躍を見せてくれるならいいものの、彼が抜ければもはやフル稼働は望めないイニエスタとプロ4年目の安井しか控えていないのはどう考えても厳しいものがある。
フィンク及びクラブとしては安井に期待を寄せているようで実際彼ならイニエスタが離脱しても穴をある程度埋めることは可能だと思うが、せめてここにもう1人加えるのはマストではないだろうか。
と書いていたがどうやらシャドーにもう一人加わることで郷家辺りがコンバートされる可能性がありそうだ。中央の選手はポジショニングの理解度などが必要となるまさしく神戸の肝であり、ここを自前で埋めるのは自然な動きかもしれない。

シャドー/SH

IN:中坂勇哉(←京都)
OUT:増山朝陽(→福岡)※レンタル
ルーカス ポドルスキ(→アンタルヤスポル)

英雄ルーカスが惜しまれながら神戸を去り、他の動向はレンタルによる入れ替えのみ。古橋,小川とレギュラー格はいるものの彼らに続く人材の名を挙げるのは厳しい状況で、TMで結果を残している小田や五輪世代の郷家らの奮起に期待したいところ。
イランリーグでプレーする杉田友希也の練習参加や、ペドロの獲得報道などまだ動きがありそうなセクションではある。

ストライカー

IN:ドウグラス(←清水)
OUT:ダビド ビジャ(引退)
ウェリントン(未定)
向井章人(→タラサFC)

ビジャ引退の穴は確かに大きいが、後釜として清水で孤軍奮闘したドウグラスを獲得。
神戸2年目のシーズンということもありさらなる順応が期待できる藤本や昨季復活の狼煙を上げた田中順也などコンスタントに活躍が期待できるプレイヤーの多い数少ないセクションで、ある程度はリーグとACLでターンオーバーなどやり繰りが利くだろう。

システム,選手起用など

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昨季主流だった3つのシステムで予想図を作ってみたが、改めて見ても層の薄さが目に付く。
焦点になりそうなのは一部の選手しか務められないポジションのやりくりで、現状その枠が3つ(左CB,リベロ,アンカー)あることを考えると3-1-4-2のようなウィークポイントに丸ごと被ってしまうシステムの使用機会は減ると予想していたが、30日付の記事によると今年も基本はこのシステムのようである。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200130-01300760-nksports-socc
3-1-4-2の場合サンペールと大崎がスペースを消し合うことも難点で(明らかにアンカー/リベロ役の方が生き生きとプレーしていた)、サンペールに対するマンマークのような中央をブロックアウトする方策を準備された場合に昨季と同じ轍を踏まずにどう対応するかは今季の課題だ。
後ろこそ心許ないが2列目から前はそれなりに数が揃っており(イニエスタの置きどころは左IHが妥当だろう)、ここに関しては異論は少ないだろう。
過密日程下では常にクローズな展開を志向するわけにもいかないため、昨季の夏場のように古橋,ドウグラスらを前に残してのロングカウンターがやりやすい2トップ型でトランジションの局面を狙っていくことは行っていきそうだ。