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[22]誰そ彼に夕顔

誰そ彼に
沈む世界に
  残る灯を
  集めて浮かぶ
        夕顔の花


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昔、実家の庭先に夕顔が生えていました。

夕顔の実はかんぴょうの材料です。

母も植えた記憶がないそうで、
鳥が運んできたのだろうということでした。

陽が落ちて辺りが涼しくなった頃、
夕飯の支度のために
庭先の菜園に野菜を採りに行きます。

野菜を採り終えて目を上げると、
いつの間にか、
草も木も色を失くし
溶け合ってひまとまりの影になっています。
自分の手さえその影に溶け込むようで、
急に足元が不安定になります。

何やら心細くなって、
微かに昼間の名残を留める空を見上げると、
影になった庭木の一本に絡みつき、
空高く伸びたツルのその先に
大きな漏斗状の花が白く浮かびあがっていました。


草木も虫も、
そして私さえ、
ひとまとまりの影になったその世界で、
ただ夕顔だけが、
空に微かに残った太陽の光を、
この庭に漂う生命の輝きを、
一身に集めて静かな存在感を放っている、
その生命力に惹きつけられるのでした。

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