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アイドル、ときどき、短歌

NEWSがすきだ。

妹が観ていたドラマ『金八先生』をとなりで何気なく眺めていたら、黄色いジャンパーを着て自転車を漕ぐ少年に心を掴まれた。

人混みで待ち合わせしていたみたい君がきみだけが光って見えた

長澤一寿くん。どうやらジャニーズの増田貴久くんっていうらしい。

妹を含め、身近で金八先生を観ている友人たちはみんな主役級だったハセケン(のちに同じくNEWSとなる加藤成亮くん)がすきで、黄色いジャンパーの子をかわいいかわいいと言っているのはわたしだけだった。

当時、テレビでバレーボールの日本代表の試合をよく観ていた。母がかつて部活でバレーをバリバリやっていた影響で、自分も中学時代ちょこっとお遊びでやっていた。ちょうど柳本ジャパンの全盛期で、同世代のメグカナの存在も大きかった。

そこでNEWSと出会った。
スペシャルサポーターとして華々しくデビューしたNEWS。

あれあれ?黄色いジャンパーの子いるやん!

いつも山下くん内くん錦戸くん小山くんが全面に押し出されていたけれど、わたしは、あまりしゃべることなく、後ろのほうではにかんでいる増田くんにやっぱりいちばん目が行った。

NEWSの曲はまっすぐな応援歌が多かった。
ジャニーズはすきじゃないけど、NEWSの曲はなんだかすきかも…?

それから、なんとなく動向を追うようになった。

わたしの誕生日に、内くんの飲酒事件があったことは鮮明に覚えている。

人数が少しずつ減っていって、6人でカウコンで再出発したのも、4人になったのもリアルタイムで見ていた。

ただ、どうしてもジャニーズをすきになれず、熱心に応援する気にはなれなかった。

色々、ほんとーーーーに色々あって、2018年に初めてライブに行き、今に至る。
あんなにジャニーズに抵抗があったのに、笑ってしまうほどずぶずぶだ。


そして。
ある日、Twitterのフォロワーさんが『J31Gate』についてツイートしていた。ジャニーズのアイドルを、毎月テーマに沿って詠む企画。
短歌はもともとすきだし、わたしにもできるかも! そんな軽い気持ちで作り始めた。

そのときのJ31Gateのお題は「色」。

晴れた朝カーテンを開けて想い出すおひさま色の笑顔と歌声

昔からすきだっただけのイエローがきみに出会って特別になる

わたしが生まれて初めて作った短歌。

増田くんのメンバーカラーは黄色だけれど、わたしの中のイメージはオレンジに近くて。健やかに育ってきたひとだなあ、おひさまみたいだなあといつも思っている。

クオリティーはさておき、すきなひとを想うと短歌はいくらでもできた。
これをきっかけに、わたしは短歌に夢中になった。

知らぬ間に置かれたトライアングルは優しくたくましい音が鳴る

デビュー当時9人いたNEWSのメンバーは、今や3人になった。メンバーが減っていくたびに胸が痛かった。
特に手越くんが退所したときは本当にショックだった。

わたしは4人のNEWSが最強だと思っていた。テゴマスを真ん中に、音楽にこだわる4人のNEWSが大好きだった。
「もう、ねえから」って言ったのに。「ごめんね、もう二度と泣かさない」って言ったのに。

いっそ解散してくれたらよかったのに。

だけど、3人はNEWSを続けると言う。
わたしはファンでいられるかわからないや…… そんな距離感で3人のことを見ていた。
なのに。
3人は、3人になってからも…… いや違う、なってからのほうが、優しくてたくましかった。

これまでは序章だったと言うように何度も何度も紡ぐ物語(STORY)

3人のNEWSを受け入れたい。受け入れられない。すきだけど、つらい。つらいけど、やっぱりこのひとたちのことがすき。だけど……

終わらない少年の夢をみているきみの背中を追いかけている

増田くんは、東京ドームに初めて立ったときの客席の景色をずっと覚えている。そのときのことを事あるごとに口にする。
「同じ時間に、同じ場所に、こんなにたくさんのひとが集まっている…」。
たぶん一生、このひとの心にはそのときの少年がいるんだろうなと思う。その少年がいる限り、このひとはアイドルを続けるんだろうな、とも。

ひとひらの雪を何度も見届けて春が来るたび強くなったね

何度もかたちを変えるNEWS。
そこにいるのが当たり前だったメンバーなのに、いなくなってしまえば跡形もなくて、儚くて、まるで雪みたいだと思う。
でもその雪を見届けたあとには必ず春が来た。
この短歌をつくった頃はもう、「3人のNEWSがすきだ」とちゃんと言えるようになっていた。

ガラスの靴はとっくに捨てたどろんこのALL STARできみと走るよ

世の中の多くのアイドルは王子さまみたいな存在だけど、NEWSは決してそうではない。どこまでも泥臭くて、必死だ。
もちろん、わたしたちもお姫さまになんてなっていられない。転んだら引っ張り起こされる。
NEWSがここまでがんばってるんだから、わたしもがんばるしかない、と思う。


そのおとぎ話の最後の1ページが めでたしめでたし だったらいいな

わたしはNEWSのことが大好きだけど、彼らに「ずっとNEWSでいてね」とは思わない。
でも、3人がNEWSでいることを望むなら、NEWSを続けてほしい。
そして、いつかNEWSという物語を閉じるとき、彼らが「しあわせだった」と感じてくれたらいいなと思う。

星を初めて見つけたような少年の顔であなたが手を振るドーム

NEWSの曲にはよく「星」が出てくる。
わたしたちにとってNEWSは星だけど、NEWSにとってのわたしたちもきっと星なのだろうと思う。

増田くんがよく話す、初めて東京ドームに立ったときの景色を想像することがある。ペンライトで埋まった客席は、満天の星空みたいじゃなかったろうか。
彼らが願う限りずっと、そのうつくしい星空を見せてあげられたらいいなと思う。

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