みかん県からのおくりもの
両親がみかん県の出身で、小さい頃から、みかんに不自由することの無い、ありがたい環境にいる。それでも、親戚もずいぶん少なくなり、どこからともなくみかんが流れてくることは、もう無い。
唯一、時期が来れば、みかんを分けてくれるのが、父の姉である伯母。みかん好きの父のために、畑になるみかんを食べきれないくらい送ってくれる。それなのに、もっと欲しがる父に、伯母は少し呆れた顔をしながらも、良さそうなみかんを選り分けてくれる。
今年もまた、八朔の季節が来た。「少ないから大事に食べよう」そう味わっていると、小さい2つのみかん箱の隣に、大玉の八朔がぎっしりと詰まった大箱を発見。やられた。「食べきれるだろうか」と一応心配してみる。
大切なものが、少しずつなくなっていくことに、漠然とした不安を抱える。「考えすぎだ」とか「まだ考えるのは早い」とか。何と言われても、わたしには、今から心構えをしないと、その気持はとても消化しきれそうにない。
もうしばらく、この幸せを味わっていたい。
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