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あみあみちくちくのつづきへ

冬のあいだ、あみあみちくちくしつづけた靴下。
もう、春ですね。

ひと冬、この靴下が持ちこたえた達成感は、もちろんある。
お直しを始めた時、できるだけ目立たないように、穴を広げないように、を目標としていた。春まで持てばラッキーくらいの気持ちで。

だから、冬の終わりに、こうやって並べてみて、「かわいい」という嬉しい感情がわくとは思いもしなかった。

このお直しのために、特別なにかを用意したり、練習したりしたことはない。ひとつあげるなら、SNSで流れてきた動画を、頭の片隅に置いておいたこと。あとは、自分の中に蓄えてあった知識と感覚、たくさんの糸。
それを、穴が空くたび、こつこつあせあせ、もうかんべん!とか思いながら、約5ヶ月。

こんな勉強をしたら、こんな仕事につながって、こんな生活ができるのではないか。
それって、自分の能力や体力、気力にあてはめてみたらどうなの?
現実的?
現実的かどうかは置いといて、無理してない?
そんなことがしたかったの?
自分からどんどん遠ざかる思考のやりとりの中に、うもれてしまっていた。

ようやく、自分の中にある、小さな経験や知識を活かしてみよう、少しずつ広げてみようという考えに至ったところだった。

ほぼ同じタイミングで、この靴下を目の前にして、今から向かおうとしてるところの、ひとつの答えが出ていることに気づいた。
特別なことはしてない。
自分の中に積み重ねたことを、こつこつと。

ちゃんとかたちになる。
それが、ちいさな自信になっている。



靴下と糸と私・2023−24


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