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とんでもないおばけ

海と毒薬/小説。後半にちょっとだけネタバレあり。実際にあった捕虜の人体実験事件を題材に、特定の神を持たない日本人の流されやすさを描いた話。これ解説読まんかったらいまいち刺さらんあどういうことやねんで終わってた。本編読んで解説読んだらおもろ!!ってなった。日本人は八百万の神々とか仏教とかそういう信仰はあるっちゃあるけど、キリスト教とかみたいに戒律が徹底しているわけではないから、良心とかモラルとかが社会の大きな流れを作る。でもそれってかなり個体差が大きくなるし、時代の変化とかでブレが起きやすい。男尊女卑とかね。もちろんそれがいい方向に働くこともあるけど、基本的になんとなく流されてしまいがちな国民性が生まれてしまう。人間ってもともと個々が確立してなくて流されやすいって性質なんやろうな。生きたまま肺をどのくらい切り取ったら死ぬのかみたいな臨床実験を行うことを持ち掛けられて、主人公は断り切れずになんとなく参加してしまう。そしてその場で恐怖に凍り付いてなにもできなくなるんやけど、その時の参加者もいろんな感情をもってて、その対比が面白い。戦争っていうのは私も含め知らん世代が増えてやっぱり薄れつつあって、それだけにこういう話は敬遠されがちやしあんまりピンと来んかったりするね。そこにも思うところはあった。考えさせられたな。

乙女の密告/小説。芥川賞受賞作らしい。うつつ・うつらの作家さん。外語大学に通う乙女とアンネの日記を軸に自分のほんとうの言葉を探す話。この人京都出身なんやなあ。私はアンネの日記読んだことないから簡単なあらすじくらいしか知らんけど、これは一回アンネの日記読んでから読んだほうが絶対面白いと思う。だんだんおかしくなっていく境界のぼやかし方が絶妙で、あれ?あれ?と思っているうちに変な方向に進んでいく感じ。好きな人は好きやと思う。小川洋子さんとか。短くて読みやすい。

ソウル・キッチン/映画。ウォッチパーティで。最近いいことがない料理人。でも物事がうまく回り始めて楽しくなってきたと思ったら…!?って話。テーマというか主人公が奮闘するんやけど、いろんな要素があって多角的な感じ。でもうまくまとめててすごいなあ。注意深く聞いたらダンケシェーン(ありがとう)とかアインツヴァインドライ(1,2,3)とか本場のドイツ語聞けておもしろかった。ギャグ要素も多くて笑えて、そんなことあるかい!って思うシーンもあるんやけどそれもなんか良さになってて。登場人物がみんな自己主張強くて見ててすっきりする。良くも悪くも突き抜けてる感じで。タイミング的なものやけどいまから新しいことを始めようか悩んでて、主人公ジノスの情熱に背中を押された気分になれたからそれも含めてよかった。

劇的な人生こそ真実 私が逢った昭和の異才たち/萩原朔美の出会った昭和の異才たちのエピソードを綴った手記。家畜人ヤプーという小説は知ってる、寺山修司さんはかろうじて名前知ってるくらいの予備知識ほぼゼロで読んだ。やっぱり家畜人ヤプーの人のはおもしろかった。読みたいなあ。あと土方巽さんのところは全体的に温度感から違って、暗くてぼんやりしてて、でもそこに〝倦んだ光”がぼうっと浮かび上がってる情景がずっとあって、引き込まれた。何してる人かも男か女かもわからんくらいやのに、この人の章はずっとそんな風で怖いけどもっと知りたいような感覚を久々に感じた。昭和って今では考えられんようなまったく違う世界やったんやなあ。


ひぐらしのなく頃に業見終わった! 卒も楽しみ。クリームチーズ買ってレモンタルト作ったらレモンカードゆるすぎてスプーンですくいながら食べた。余ったクリームチーズで作ったチーズケーキはめちゃおいしくて安心した。スプラトゥーンへたくそで落ち込んだ。確定申告の本読んだ。DMMのセールで2万円分買った。髪の毛40センチくらいのヘアドネーションできそうやから近々切りたいけどこれが不要不急の外出なんかわからず行けてない。過去最高のロングで頭が重い。

かしこ。


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