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拡張性が魅力なVIVE Cosmosレビュー+4モデル解説【5300文字】


2020年6月1日 更新


こんにちは、なでしこ大和です⚔

今回はフェイスプレートを交換できるのが特徴なHTC社製のハイエンドVRゴーグル『VIVE Cosmos』のレビューをしていきます。

VIVE Cosmosは、同じくハイエンドVRゴーグルのVALVE INDEXと名前が似ていたり、フェイスプレートの換装で4つのモデルにチェンジできたりと、少々ややこしいVRゴーグルだったりします。

特に、VR初心者からするとなかなか手の出しづらいイメージを持ってしまうかもしれません。

なので、この記事ではVIVE Cosmosの

・基本スペック
・本体解説
・使用感(レビュー)
・4タイプの違い

などを紹介していきます。
実際にVIVE Cosmosを体験してきたので、生の感覚が伝わるんじゃないかと思います。

他VRゴーグルと比較しながら紹介するので、VIVE Cosmos購入の参考にしてみてください👼


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1-1VIVE Cosmosの概要


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画像:公式HPより


VIVE CosmosはHTC社製のVRゴーグル(ヘッドセット)で2019年10月に発売されました。

HTCと言えば、2016年4月に発売されたHTC VIVEが有名ですよね。
VIVE CosmosはHTC VIVEの後継機にあたります。


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HTC VIVE


VIVE Cosmosの主な特徴として以下の4つが挙げられます。

・インサイドアウト方式
・フリップアップ構造
・高解像度
・換装式のフェイスプレート



・インサイドアウト方式

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インサイドアウト方式とは、身体や顔の動きを外部センサーを使わずに、ゴーグル本体に内蔵されたカメラでトラッキングする方式のことです。

外部センサーを設置する手間や、ゴーグル起動時のセッティング時間を大きく減らすことができます。


・フリップアップ構造

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写真:パンフレットより


VIVE Cosmosはバイザー部分とゴーグル部分との間にヒンジがあり、写真のように上下に可動させることができます。

この構造により、裸眼で周囲を確認することが容易になりました。


・高解像度

VIVE Cosmosは2880 × 1700(片目1440 × 1700)というトップレベルの解像度を誇ります。

前世代機のHTC VIVEと比べて88%も向上しました。
(HTC VIVEの解像度は片目1080x1200)


参考までに、ハイエンドVRとして有名なVALVE INDEXの解像度は2880 × 1600(片目1440 × 1600)です。
VALVE INDEXと比較してもVIVE Cosmosのほうが高い解像度であることが分かります。



・換装式のフェイスプレート


何より最も特徴的なのはフェイスプレートを換装できるところでしょう。

これにより

・VIVE Cosmos(無印)
・Cosmos Play
・Cosmos Elite
・Cosmos XR


の4種類にモデルチェンジすることが可能です。

利点としては、例えば無印Cosmosを所有していればフェイスプレートを変えるだけで上位版Cosmos Eliteに換装することができます。

Cosmos Eliteの本体ごと買わなくて済むため、コスパがいいという訳です。



1-2 基本スペック


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画像:公式HPより


それではVIVE Cosmosの基本スペックを以下に載せます。


・タイプ:PCVR

・トラッキング:インサイドアウト方式

・自由度:6DoF

・解像度:2880 × 1700(片目1440 × 1700)

・リフレッシュレート:90Hz

・視野角:110度

・オーディオ:ステレオヘッドホン

・重量:約650g


〜軽く解説〜

PCVRはVRゴーグルの起動にPCの接続が必須なタイプです。

ゲーミングPCレベルのスペックが要求される代わりに、パワフルな処理性能の恩恵を受けることができます。
(逆にVRゴーグル単体で起動するタイプをスタンドアローン型と言います。)


6自由度(DoF)対応なので、回転+移動を検知することができます。

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(VR初期の頃は回転しか検知できない3自由度のVRゴーグルが主流でした。)


推奨PC動作環境は以下の通りです。

・CPU: Intel® Core™ i5-4590 もしくは AMD FX™ 8350 の同等品またそれ以上

・グラフィック: NVIDIA® GeForce® GTX 1060 もしくは AMD Radeon™ RX 480 の同等品またそれ以上

・メモリ: 8 GB RAM以上

・ビデオ出力: DisplayPort 1.2 以降

・USBポート: USB 3.0 以降 1口

・オペレーティングシステム:Windows® 10以降



1-3 本体解説


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ゴーグル前面に2つ、上下に2つ、左右に2つの合計6基のカメラでトラッキングを行うインサイドアウト方式です。

外見はOculus Questのようなのっぺりした感じはなく、通気性の良さそうな見た目になっています。


ディスプレイはピクセル間の距離が短く、スクリーンドア効果(画面に網目模様が見える問題)を最小限に抑える工夫が施されているようです。

実際に見てみると確かにキレイに見えました。


また、ゴーグル右側面にIPD調整ダイヤルが付いており、瞳孔間距離に合わせて両目のディスプレイの間隔を調節することができます。

VR酔いを低減できたり、画面のぼやけ防止に繋がるのでこれはありがたいです。


1-4 コントローラ


コントローラの形状はOculus系列のOculus Touchコントローラにとても似ています。
逆に前世代機のHTC VIVEとは大きくかけ離れた見た目になりました。

輪っかの部分でトラッキングするので、インサイドアウト方式のVRゴーグルだと自然にこの形に落ち着くのでしょう。

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Oculus Touchとは違い、人差し指用のトリガーボタンがR1、R2(L1、L2)の2つ付いています。

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電池は単三電池を2本ずつ(計4本)使用します。
そのせいか、Oculus Touchと比べて若干ずっしりした印象でした。

コントローラの問題点としてはトラッキング精度に難があり、しばしば不満の声が見受けられます。



2-1 使用感


VIVE Cosmosを使っていて感じた主な感想は以下の3つでした。

・やっぱりキレイ
・重さほど重くない
・フリップアップは便利で贅沢



・やっぱりキレイ

やっぱり解像度が高くてゲーミングPCの力を借りれるのでキレイでした。
ぼくが愛用しているOculus Questと比べると、その差は段違いに実感できます。

特に、画面を網目越しに見ているような感覚になるスクリーンドア効果が低減されているのがよく分かりました。
Oculus Questよりも網目がよりきめ細かくなり、"気になる"よりも"気にならない"ほうに寄っている印象です。

没入感を高めるためにはやはり画質は大切なので、さすがはハイエンドVRと言ったところです。


・重さほど重くない

VIVE Cosmosは基本スペックの通り約650kgあり、カタログスペック上はOculus Questよりも80kg重いです。

しかし、いざ被ってみると重量バランスがとても良くQuestよりも重さを感じませんでした。


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画像:公式HPより


VIVE Cosmosの装着法は、頭頂部のマジックテープに加えてメインはおでこと後頭部をダイヤルをまわして締め付ける構造になっています。

なので、Questのように目元を強く圧迫されるような不快感はありませんでした。
むしろVIVE Cosmosの付け心地はトップレベルで快適に思えます。


・フリップアップは便利で贅沢

気になるフリップアップ構造の感想ですが、とても良かったです。

「ゴーグルが動くから現実空間が視界に入って没入感を損なってしまうのでは?」
と心配していましたが、そんなことはありませんでした。
むしろ自由に調節できる分、フィットさせしやすいです。


ヒンジも片手でひょいと動かせました。
わざわざVRゴーグルを脱がなくても現実空間を見れるのはとても便利です。
一度経験してしまうと「もはやなくてはならない存在」と思えるほどでした。


ただ、VIVE Cosmosはカラー映像でパススルー機能(現実空間をVR映像として見る)が付いています。

同じ目的に2つの選択肢があるのは贅沢だなと思いました笑

Oculus Questにもパススルー機能はありますが、白黒の赤外線映像なので、さすがハイエンドVRです。



ここまではVIVE Cosmos(無印)について解説してきました。

次はいよいよフェイスプレートで変わる4タイプについて解説していきます。



3-1 VIVE Cosmos(無印)


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画像:公式HPより



VIVE Cosmosシリーズの第1弾として2019年10月に発売された、最もオーソドックスなタイプです。

先に紹介した通り、外部センサー不要のインサイドアウト方式で6DoFを実現しています。


VIVE Cosmosシリーズはコア部分が共通していおり、本体前面のプレートを換装することで上位モデルにアップグレードできるのが特徴です。

値段はゴーグル本体とCosmos専用コントローラなどを含めて約99000円(2020/06/01時点)。


3-3 Cosmos Elite


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画像:MoguLiveより


無印Cosmosの上位バージョンです。

フェイスプレートの換装により外部センサー(ベースステーション)を使った高精度なアウトサイドイン方式のトラッキングが可能になります。

その関係でコントローラは従来のHTC VIVEのものを使います。
(トラッキング精度の問題はこれで解決するようです)

ベースステーションは新旧どちらにも互換性あり。

VIVEトラッカーにも対応するので全身トラッキングなども可能になります。
VRChatやバーチャル配信などを楽しみたい人は、最初からCosmos Eliteを購入するのも手かもしれません。



Cosmos Eliteはゴーグル単体だと73810円です。
(VIVEコントローラ、ベースステーション等が必要)

Cosmos Eliteフェイスプレートは26400円です。
無印Cosmosに換装してElite化させることができます。


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画像:公式HPより


3-3 Cosmos Play


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画像:ITmedia NEWSより


Cosmos PlayはVIVE Cosmosシリーズのエントリーモデル、つまりは廉価版です。
内蔵カメラが2つ減って4基になりました。
解像度・視野角・リフレッシュレートはそのまま。

トラッキング方式も無印Cosmosと同様にインサイドアウト方式で、外部センサー(ベースステーション)は使いません。


春頃に発売予定でしたが、現在は未定のようです。
値段も未定(Cosmosよりは安くなるはず。)



3-4 Cosmos XR


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画像:ITmediaNEWSより


Cosmos XRは現実空間に仮想の情報を重ね合わせるMR(複合現実)体験を可能にするモデルです。

前面にパススルーのための高精細・広角ステレオカメラを追加しているのが特徴です。
パススルー使用時の視野角は100度。


Cosmos XRは一般向けではなくビジネス向けに作られているようです。

今年第2四半期に開発者キットをリリース予定とのこと。



4 まとめ・購入時の注意点


現時点で購入できるのは無印CosmosとCosmos Eliteの2種類でした。

VIVE Cosmosを被った感想としては、装着感や画質は申し分なく、とても快適で満足できるものでした。
フリップアップ構造も便利さとフィット感を兼ね備えた実用的な機構でした。

値段も10万円以内に収まっており、ハイエンドVRの中では安い部類に入るでしょう。


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一方で、コントローラのトラッキング問題がネックになっている感が否めません。

しかしその場合は、Cosmos Eliteのフェイスプレートに換装して高精度アウトサイドイン方式のトラッキングにするという解決策が残されています。


その場合に注意することは以下の3つです。

・ベースステーションとVIVEコントローラが必要になること

・ベースステーションは2種類(1.0と2.0)あること

・VIVEコントローラも2種類(無印と2018)あり、無印はベースステーション1.0にのみ対応していること


ベースステーションは新旧の2種類あります。

ベースステーション1.0は3.5m x 3.5m以内の範囲をトラッキングできます。

ベースステーション2.0は10m x 10m以内の範囲をトラッキングできます。


VIVEコントローラ(無印)はベースステーション1.0にのみ対応しています。

VIVEコントローラ2018はベースステーション1.0と2.0の両方に対応しています。


購入時はこれらに注意してみてください。




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最後まで読んでいただきありがとうございました!