スコーンをたずさえて
彼に食べ物の名前が伝わらないことが多々ある。
決して馬鹿にしているわけではない。トマトとか卵とかそういった食材名や、カレーや肉じゃがなんかは問題ない。つまりは、カタカナの料理の名前にうといのだ。
ウィークエンドシトロンを焼いたと言えば「ウィーケンだ…シトロン…?」と返ってくるし、トーストに何かのせると「サンドイッチだね!」とか的外れなことを言い出す。お家にお邪魔する時、スコーンを焼いてくね!と言った時も、「楽しみ!スコーンってなんだっけ!」「わかるよ、ケーキかなんかの仲間だったよね…」と返ってきた。わかっていないことだけは分かった。
そして思い立ったように決意する。
スコーンの虜にしてやる…!
いつも焼いてるスコーンは、クックパッドのnyontaさんのプレーンスコーンのレシピで作っている。家にある材料で手軽に作れるので重宝している。
型はいつだったか百均で入手した菊型のもの。サブレを焼く時にも使えるので便利。
何回も作っているうちに掴んだコツは、「適当に作る」ことである。生地も一晩じっくり寝かすより、数時間適当に寝かせたほうがなんかうまく膨らむ気がする。(これは気のせいかもしれん)
オーブンって半開すると「IT」思い出すよね。「ハロー、スコーンいる?」ってな感じでペニーワイズ出てきそう。
間違いのない組み合わせ
スコーンの美味しさを知ってもらうため、手始めにアプリコットジャムとアーマッドティーの紅茶を用意した。この世で一番美味しい組み合わせではないか。こんな王道の組み合わせで食べたならばスコーンを愛さずにはいられないだろう(謎の自信)。
もちろんリベイクも怠らない。「何個食べる?」「とりあえず2個」なんてやりとりをして、小さなレンジオーブンにスコーンをぶち込む。外はカリッと中はふわっとが合言葉だ。
山盛りにすると気分が良い
オムレツとかベーコンをおかずに添えてもおいしい。
「もう一個食べる?」「食べる」
そしてふたりしてもう一個食べる
6個焼いてきたスコーンは瞬く間に胃の中へ収容されていく。(おやつを軽く済ませられない二人である)
それ以来、お休みの日に遊びに行くとき、何か焼いてこうか?と聞くと、覚えたての単語をすぐに口にする幼児のように「スコーン!」と言うようになった。時間があるから手の込んだものでもいいのになと思ってる時も、30分で作れるスコーンをリクエストしてくる。
ちゃっかり味をしめたようだった。
今では「ジャムもらった!スコーン食べたい」とリクエストしてくるし、スコーンのある朝は私より早く台所に立ち、スコーンをトースターで温めながらにこにこしている。
おやつにも朝ごはんにもなるスコーン。最初の頃はおしゃれな紙袋に入れたりもしていたが、最近はジップロックにまとめてどさっと入れて持っていってる。
美味しさと愛情は変わらない。
いつかふたりで、イギリス本場のアフタヌーンティーをいただくのが遠い夢である。
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